平蔵の寺子屋通信

胃がんと漢方薬| 免疫力を高めて癌治療に負けないからだづくり

胃がんはかつて最も多いがんであり死亡率が男女ともに1位でした。今も日本人男性の罹患率は癌の中ではトップであり、女性にとっても乳がん、大腸がんに次いで3番目に多い癌です。胃がんの特徴や検査、治療法、漢方薬の対応など知って頂き、胃がんで悩む方の支えになればと思います。

胃がんの特徴

胃がんは胃の内腔の粘膜上に発生します。ピロリ菌と関係することが指摘されていますが、ピロリ菌による粘膜上の炎症が委縮性胃炎となり胃がんのリスクが高くなるためです。ピロリ菌の感染者は高齢の方に多く若い世代は少なくなっています。また味の濃い食事や加工食品、飲酒や喫煙なども胃がんの要因になります。
◎症状・・・初期は自覚症状がない場合が多いですが、進行すると胃部の不快感やもたれ、胸やけなど、単なる胃炎と勘違いする場合があります。しかしかなり進行すると食欲が減退したり、体重が減ったり、患部から出血することにより貧血になる場合もあります。

胃がんとピロリ菌

ご承知のように私たちの胃袋からは消化のための胃酸が分泌されています。胃酸はPH1~2の強い酸性ですが、胃そものが胃酸から守られているのは粘液が胃壁を保護してくれているためです。ところが胃の粘膜に住み着くピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)はウレアーゼと言う酵素によりアンモニアを作り出し、胃酸を中和し生息しているのです。50歳以上の7~8割の方が保菌者と推定され、委縮性胃炎などの炎症を引き起こし胃がんになりやすいと言われています。

早期胃がんと進行胃がん

胃壁は内側から粘膜、粘膜下層、筋層、漿膜下層、漿膜の5層構造になっています。早期胃がん(Ⅰ型~Ⅲ型)とは粘膜、粘膜下層にとどまっているものを言い、筋層より深く進行している胃がんを進行胃がん(1型~5型)と言います。胃がんの進行度(TNM分類)を表すのにとこまで深く進行しているかは重な要素になります。

スキルス胃がん

進行が速い癌として知られているスキルス胃がんですが、他の胃がんは通常粘膜表面から筋層そして漿膜へと浸潤し腹膜へ転移しますが、スキルス性の胃がんは胃壁内で散らばって存在しているため短期間で広がると考えられています。

胃がんの再発と転移

癌一般に言えることですが手術など治療によって癌細胞がなくなっても再び増殖つまり再発することがあります。検査には引っかからない微細ながんが残っていたり、すでに転移している場合があるのです。
◎血行性転移・・・がん細胞が血流に乗って他の臓器へ転移し増殖します。胃腸を取り巻く血液は肝臓に集まり心臓を経て肺へ向かいます。ですから肝臓や肺への転移の可能性があります。
◎リンパ行性転移・・・胃の周りには血管と同様にリンパ管もあり、がん細胞が内側の粘膜から筋層、漿膜へ浸潤し、胃壁のまわりにあるリンパ管を通りリンパ節に転移する可能性があります。これをリンパ行性転移(りんぱこうせい)と言います。
◎腹膜播種性転移・・・胃の内側の粘膜で発生した癌細胞は胃壁を破り腹腔内にタネを播くように散らばり転移する可能性があります。これを腹膜播種性転移と言います。また腹膜に炎症を起こし腹水が溜まるケースもあります。
◎直接浸潤・・・癌細胞が直に接している膵臓へ浸潤していくケースがあります。これを直接浸潤と言います。

胃がんの検査

バリウム検査

胃カメラ(胃内視鏡)は内部の様子をモニターで確認ができます。またバリウム検査で胃壁の様子なども確認できます。進行度や転移は超音波内視鏡やMRI、CTスキャンで調べます。

胃がんの治療

胃がんの場合は放射線治療はほとんど行われません。内視鏡で切除するか外科手術あるいは薬物療法の3通りになります。
◎内視鏡的切除・・・口から内視鏡を挿入しモニターで患部を確認しながら病変部の粘膜を切除します。癌が粘膜にとどまっている場合にします。
◎外科的手術・・・切除する部位により胃全摘、噴門側胃切除、幽門側胃切除、幽門保存胃切除があります。
◎薬物療法・・・術後に再発を予防する目的で抗がん剤を服用する場合はS-1(テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム)を単独で1年服用し、転移や再発の場合はS-1と他の注射剤と併用するのが一般的です。またHER2というがん遺伝子が増殖にかかわっている場合は

ダンピング症候群

胃を手術で切除したことによる後遺症としてダンピング症候群があります。胃のどこを切除したかによりダンピングの症状も違いがあります。

漢方薬をお勧めいたします

◎白血球や赤血球、血小板の減少・・・抗がん剤の副作用がどうしても心配になるところです。特に白血球や血小板などの減少で免疫力狗が低下したり、からだがだるくなったしするケースは多くあります。その際は是非漢方薬をお勧めいたします。
◎吐気や食欲不振、口内炎、下痢、便秘・・・化学療法剤により消化機能が低下し治療が続けられなくなる場合もあります。まさに漢方薬の独壇場と言えます。お困りの方は症状と体質に合った漢方薬をお勧めいたします。
◎術前術後・・・お客様によっては手術日まで少し時間があるので、体質に合った漢方薬はありますか?あるいは「術後体力が戻らない」、「再発防止のために何かありますか」などのご相談もあります。当店はそれぞれの状況に応じて漢方薬を提供できます。ご相談ください。

胃がん検診を受けましょう

かつて胃がんの罹患率と死亡率は他の癌に比べて断トツの1位でした。それが徐々に減少に推移したのかはやはり検診の普及と早期治療です。私自身毎日漢方を飲んで健康に留意してはおりますが、人間ドックでの胃カメラ検査は欠かせません。是非胃がん検診を受けましょう。

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