平蔵の寺子屋通信

不妊症その8 | 男性不妊

男性不妊女性不妊の現状

不妊症の定義は「子どもを望み夫婦生活を送っていても1年以内に妊娠しない場合」となっています。不妊症に悩む夫婦は少なくとも10組に1組と言われています。これまで不妊症と聞くと女性側の問題と考えられておりましたが、原因不明は別としてもデーターによると、およそ半分位(40%~50%)が男性側にもあると言われています。

男性不妊の検査基準

精液の状態は以下のWHOの基準値に準拠して判断されています。
WHO(2010年)の精液検査の基準値 
①精液量   1.5ml以上
② 精子濃度  1500万/ml以上
③ 運動率   40%以上(A,B,C,Dと4分類の内AとBを合わせた全体との割合)
④ 総精子数  3900万以上
⑤ 正常形態率 4%以上
精液量や精子濃度、運動率、総精子数はすぐにご理解いただけると思います。⑤の正常形態率とは正常な精子の割合のことです。基準値が低いと思われるかもしれませんが基準をクリアしていれば妊娠可能と判断されます。

男性不妊の原因と分類

・部位によって次の3つに分けられます・・・・・・
◎射精障害・・・陰茎(ペニス)の問題で、逆行性射精、インポテンツ、先天性異常がある。
◎造精機能障害・・・精巣つまり睾丸での障害で無精子症、乏精子症、精子無力症、精索静脈瘤が挙げられ、男性不妊の8割以上を占めます。
◎精子輸送障害・・・精管閉塞があります。

・睾丸(精巣)を中心に病因分類・・・・・・
◎睾丸前性・・・視床下部(Gn-RH)や脳下垂体からのFSH,LHホルモン分泌の問題や下垂体腫瘍もあり得ます。
◎睾丸性・・・睾丸での精子形成の問題
◎睾丸後性・・・精子が精管の詰まりなどにより射精できない状態

・症状から以下の2つに分類することもできます・・・・・・
◎性機能障害・・・勃起しない(ED、インポテンツ)ために射精が困難な状態です。
◎精液性状低下・・・精子の運動や数、質に問題がある状態です。無精子症、乏精子症、精子無力症を含みます。

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以下に主だったキーワードについてご説明いたします。

*勃起不全(ED:Erectile Dysfunction)

性機能障害の多くはED、つまり勃起しない状態ですが、精神的なストレスや神経、血流障害などが考えられます。漢方薬をお勧めいたします。

*無精子症

*精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)

血管は心臓から各組織へ送り出される血液を運ぶ動脈と老廃物と共に心臓へ帰る静脈がありますが、静脈には血液が逆流しないように弁がついています。しかし弁の働きが悪く、精巣が瘤状に腫れてしまう状態です。この精索静脈瘤によって精子の運動率を悪くする場合があるようです。

*精液性状低下

男性不妊で一番多いのが精液性状低下です。具体的には精子の運動率が悪かったり、数が少ない、奇形率が高いことを意味します。生活の養生と漢方薬で改善の可能性が多いにありますので、是非お勧めいたします。

膣内に挿入後射精のタイミングが取れず、早すぎたり遅くなってしまいます。補腎系の漢方薬に気血のバランスを整える漢方薬など合わせてお飲み頂きます。

男性不妊に漢方薬

男性不妊は近年増加傾向にあり悩んで来店されるケースは珍しくはありません。中医学では“無子”あるいは“艱嗣(かんし)”とも言われており中医学独自の弁証論治が確立されています。ただ漢方薬はバランスを取ったり不足した分を補う力に優れており、精子の運動率や数だけをターゲットにピンポイントに作用するものではありません。

漢方薬とともに生活での養生法も大切

精巣

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