平蔵の寺子屋通信

気の病 “気滞”

滞とは気の機能の停滞のことですが、東洋医学では気鬱あるいは気結とも言います。西洋医学的には何らかの原因により交感神経の異常亢進による緊張状態だと言えます。気滞を部位で分類すると以下のようになります。
●胸部気滞・・胸や背部などに重苦しさやゾワゾワとしてじっとしていられない、呼吸が苦しくなったり、咳き込むなど
●胃気滞・・食欲不振、嘔吐、膨満感など
●腸気滞・・腹部膨満感、腹痛、腹鳴など
●肝気鬱結・・憂鬱感、怒り、不眠など精神的に症状

また以下の症状は東洋医学で言う胸部気滞、肝気鬱結とも捉えられます。
●パニック障害・・不安神経症とも言われたように強い不安感があり、動悸、発汗、めまい、呼吸困難などのために電車や人混みなど外出困難なケースがあります。
●ジストニア・・コブクロのメンバー小渕さんがこの症状のために活動を休止したことは、多くのファンの方に知られています。患部は様々ですが、舌がもつれたり、痙性斜頸(けいせいしゃけい)と言って首が凝り固まってしまって来店されるケースもあります。他に眼瞼痙攣、書痙(しょけい)、痙攣性発声障害など局所的です。

主な原因は精神的なストレスだと考えます。肝気の流れが滞り、「肝気鬱結」あるいは「肝鬱気滞」とも言われます。肝は筋をつかさどるとも言われる通り、肝気が鬱滞した状態は患部の異常な緊張状態に追い込んでしまうのだと考えます。他に飲食や生活の不摂生、お血、気虚からもなり得ます。治法は理気剤を用い、生薬としては枳実、枳殻、厚朴、木香、陳皮で自律神経系の調整、鎮静などの作用を有します。代表的な処方としては四逆散があります。体質により様々ですので、状態に応じて選薬いたします。

四逆散・・・甘草2.0 枳実2.5 柴胡5.0 芍薬4.0