頻尿は漢方で改善しよう!原因や症状を知り自分に合った漢方薬を!

十字屋平蔵薬局 薬剤師 富居博典

記事監修
十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典
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何度もトイレに行ってしまう、トイレの回数が多いなど、「頻尿(ひんにょう)」でお悩みの人はたくさんいます。夜間頻尿や昼間頻尿の患者数は、年齢を重ねるにしたがって増加し、60歳以上では78%もの人が排尿のトラブルを抱えているそうです。夜間頻尿は安眠の妨げになり、昼間頻尿は外出先や旅行先で常にトイレを探さなければならず、落ち着きませんよね。そんな頻尿のお悩みを解消したい人に向け、頻尿の原因や漢方薬による改善方法などをご紹介します。

  1. 頻尿とはどのようなものか?
  2. 頻尿の原因となる病気や症状は?
  3. 漢方医学からみた頻尿
  4. 頻尿に用いられる漢方薬の例
  5. 頻尿を予防するために心がけること
  6. 漢方薬局について

この記事を読んでいただければ、頻尿のお悩みを改善できるでしょう。ぜひお役立てください。

1.頻尿とはどのようなものか?

頻尿のお悩みを改善・解消するためには、まず「頻尿とはどのようなものか」という基礎知識を学びましょう。

1-1.頻尿の症状と排尿の回数

頻尿(ひんにょう)とは読んで字のごとく、頻繁(ひんぱん)に尿が出ることです。つまり、「尿の回数が多い」「尿が近い」状態を指します。とはいっても、排尿の回数は人によっても異なるものです。1日に何度くらいの排尿を頻尿というのでしょうか?
日本泌尿器科学会によると、一般的には「起床から就寝までの排尿が8回以上」の場合を頻尿としています。しかしながら、その人の体質や年齢などによっても異なるので「8回以上なら頻尿」と断定することはできません。逆に、8回以下でも、本人が排尿が多いなと感じる場合は頻尿になります。目安としては、若いころと比較して「昼夜ともに2〜3回以上排尿回数が増えている」場合は頻尿といえるでしょう。

2.頻尿の原因となる病気や症状は?

頻尿は、何かしらの原因で「排尿筋(※)」が刺激され、頻繁(ひんぱん)に収縮を起こすために起こります。どのような原因があるのかみていきましょう。

※排尿筋:膀胱壁にある平滑筋で、蓄尿・排尿に関わっている

2-1.膀胱炎

膀胱炎とは、尿道から膀胱内に大腸菌や腸内細菌が入り込み、炎症を起こした状態です。頻尿・排尿の終わりごろの痛み・残尿感などの症状があります。

2-2.過活動膀胱

過活動膀胱とは、がまんできない尿意が急に起こる・頻尿・尿意ががまんできず漏らしてしまう、などの症状です。日本排尿機能学会誌によると、40歳以上の男女の「8人に1人」がこの過活動膀胱を患っていることがわかりました。
過活動膀胱は、脳卒中や脳梗塞など脳の血管障害などで、脳と膀胱の筋肉を結んでいる神経回路にトラブルが起こり症状が出ます。また、女性の場合は、出産で骨盤底筋が弱くなることも原因です。そのほかにも、加齢が原因だったり原因不明だったりなどのケースもあります。

2-3.前立腺炎

前立腺炎は、男性の尿道の周辺にある、前立腺の組織が炎症を起こす病気です。大腸菌・腸内細菌・クラミジア菌などによる感染で、排尿時の痛みや頻尿、残尿感が起こります。

2-4.前立腺肥大症

前立腺の病気の中で最も多い病気です。良性の前立腺腫大は、尿道を取り囲む部分で発生するため尿道が狭くなり、頻尿や残尿感を引き起こします。

2-5.前立腺がん

前立腺がんは、尿道から離れた部分に発生するので初期のうちは自覚症状はありません。がんが進行すると、尿道や膀胱を圧迫して排尿時の痛み・血尿・頻尿などが現れます。

2-6.膀胱腫瘍

膀胱腫瘍のほとんどは膀胱がんで、60〜70歳代の喫煙習慣がある男性に多く発症します。7〜8割は膀胱の内側表面にとどまる、悪性度の低いがんが多いようです。初期の症状として、血尿や頻尿がみられます。

2-7.心因性頻尿

心理的な緊張や不安によって起こる頻尿です。精神的なストレスやうつなど、さまざまなことが原因となります。「トイレに行けなかったらどうしよう」と、緊張することで膀胱が収縮しやすくなり、頻尿を引き起こすのです。

2-8.そのほか

膀胱や尿道に問題がなくても、糖尿病・内分泌の病気・水分の取り過ぎ・利尿剤の服用などで頻尿になることもあります。

3.漢方医学からみた頻尿

漢方医学では「頻尿」をどのように考えるのでしょうか。漢方医学からみた「頻尿」をひも解いてみました。

3-1.漢方における頻尿とは

漢方医学では、人間の内臓を「五臓六腑( ※1)」として表します。そして、尿は「六腑(ろっぷ)の膀胱に貯蔵」され「五臓の腎の作用により排せつが調節される」と捉えるのです。
腎と膀胱は密接な間柄にあり、両方が連携することで排尿をコントロールする……と考えます。漢方医学からみた、頻尿の「証(しょう ※2)」をご紹介しましょう。

※1 五臓六腑(ろっぷ):五臓は「心・脾・肺・腎」、六腑は「胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦(さんしょう/リンパ管のこと)」を指す

※2 証(しょう):患者の自覚症状と、漢方の薬剤師が診た所見から総合的に判断した「患者の状態」のこと。処方の決定につながる

3-1-1.「腎陽虚(じんようきょ)」

老化や慢性疾患などが原因で、五臓の「腎」の陽気(「気」のこと)が不足している体質です。排尿をつかさどる腎の機能が衰え、夜間頻尿を引き起こします。体を温めて「腎陽」を補う漢方薬を処方するのが一般的です。

3-1-2.「腎隠虚(じんいんきょ)」

五臓の「腎」に蓄えられる、生きるために必要なエネルギーや栄養の基本物質「精」が減っている状態です。加齢・過労・不規則な生活・大病・体調不良などで「精」が減ると、尿が保持できず頻尿を生じます。腎の精を補う漢方薬を処方するのが一般的です。

3-1-3.「肝鬱気滞(かんうつきたい)」

体の諸機能を調節する五臓の「肝」の気が滞っている状態です。ストレスや緊張が続くことで、この証になります。肝気の流れの悪さが膀胱に影響すると、尿量が少なくても尿意を催しやすいのです。肝気の流れをスムーズにする漢方薬を用います。

3-1-4.「肺気虚(はいききょ)」

五臓の「肺」が衰え津液(つえき/人体に必要な体液)が全身を巡らず、膀胱に降りて頻尿になった状態です。過労や慢性的な体調不良が原因と考えられます。津液の流れを正常化させる漢方を用いるのが一般的です。

3-1-5.「寒凝(かんぎょう)」

寒凝とは、冷たい飲み物、寒い環境などにより、寒冷の性質を持つ病「寒邪(かんじゃ)」が体内に侵入した状態になります。寒邪が、膀胱に降りて機能を衰えさせるため頻尿になるのです。体を温める漢方で改善に導きます。

3-1-6.「湿熱(しつねつ)」

体内で過剰な湿邪(水の邪気)と、熱邪(熱の邪気)が結合することにより起こる証になります。脂っこいもの・刺激の強いもの・味の濃いもの・アルコールの大量摂取、尿路への細菌の侵入などが原因で、頻尿や排尿痛を引き起こすのです。漢方で湿熱を取り除き、頻尿を改善します。

3-1-7.「肝鬱気滞(かんうつきたい)」

緊張するとトイレに行きたくなる、行ってもまたすぐに行きたくなるなどの場合は、五臓の肝の気(肝気)の流れが滞っている証です。ストレスや緊張が持続すると、肝気の流れが悪化し、その影響が膀胱に及ぶことで尿意を感じやすくなります。

4.頻尿に用いられる漢方薬の例

ひとくちに頻尿といっても、前項でご紹介したように人によって原因や症状は異なります。それにより、処方される漢方も異なるので一例をご紹介しましょう。

4-1.「湿熱(しつねつ)」の証

尿の色が濃い・排尿痛・舌が赤い・黄色い舌苔があるなどの症状で膀胱炎にかかりやすいのは、「湿熱」の証です。この証の人には、湿熱を除去する漢方薬を処方します。代表的なのは、「五淋散(ごりんさん)」です。

4-2.「寒凝(かんぎ)」の証

体が冷えて頻尿になっている「寒凝」の人には、血行をあげ冷えた体を温めることが重要です。「当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)」や「人参湯(にんじんとう)」を用います。

4-3.「腎陽虚(じんようきょ)」の証

夜中、3回ほどまとまった量の排尿(尿の色は薄い)があり、昼間は少ない、手足が冷えるなどの症状は、「腎陽虚」の証です。体を温め腎陽を補う「八味地黄丸(はちみじおうがん)」を処方しますが、むくみがある場合は「牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)」を用います。

4-4.「腎隠虚(じんいんきょ)」の証

夜間の頻尿でも、尿の色が濃く量が少ない場合は、「腎陽虚」の証です。「六味地黄丸(ろくみじおうがん)」で頻尿を改善していきます。

4-5.「肝鬱気滞(かんうつきたい)」

ストレスによる頻尿は、ストレスや緊張による痙攣などを取り去り、肝気の流れをスムーズにする「四逆散(しぎゃくさん)」を処方するのが一般的です。さらに、いらいら・のぼせ・口渇などの熱証がある場合は「加味逍遙散(かみしょうようさん)」を処方します。

4-6.そのほか

そのほかにも、以下のような漢方薬もよく用いられます。

  • 猪苓湯 (ちょれいとう):排尿異常・排尿困難・排尿痛・残尿感・頻尿などの症状がある場合に用いる。体力に関わらず使用できる
  • 清心蓮子飲 (せいしんれんしいん):胃腸が弱い、全身にけんたい感があるなどの人で、残尿感・頻尿・排尿痛がある場合に用いる
  • 小建中湯 (しょうけんちゅうとう):体力虚弱ですぐ疲れる人で、頻尿や多尿に用いる

5.頻尿を予防するために心がけること

頻尿を予防するために、日常生活でできることをご紹介しましょう。

5-1.カフェインやアルコールの取り過ぎに気を付ける

お茶やコーヒーなど、カフェインが入っている飲み物は利尿効果があるため、大量に飲むと頻尿につながります。トイレが近いなと感じたら、カフェインレスの飲み物に変えましょう。また、アルコールも利尿効果が高いので控えめにしてください。

5-2.寝る前はリラックスをする

緊張やストレスが続くと、夜間の頻尿につながります。寝る前には心が休まるような音楽を聴いたり本を読んだりして緊張を解きほぐすようにしてください。

5-3.骨盤低筋を鍛える

膀胱・直腸・子宮などを支えている骨盤低筋肉群が緩むと、頻尿や尿漏れにつながります。そこで、骨盤低筋(※)を鍛える体操を毎日行ってください。

  1. おなかに力を入れず、ゆっくりと骨盤低筋を締める→緩めるを行う
  2. 1回10分ほど行う

3週間ほどで変化が出てきますので、毎日行ってください。

※骨盤低筋:骨盤の底にあるハンモック状の筋肉で、子宮や膀胱などの内臓を支える役目をする。椅子に座り、両方の手のひらを上向きにしてお尻の下に置くと指に触れる出っ張りが「坐骨結節」で、骨盤低筋はこの坐骨結節の間にある

6.漢方薬局について

漢方は、自分の体質や症状にあったものを選ぶ必要があります。市販の漢方薬を服用する人もいますが、きちんと効果を得るためには漢方薬局で相談をして処方をしてもらうのがおすすめです。
東京の漢方薬局・十字屋平蔵薬局では、総合病院の調剤薬局で薬剤師としての経験も持つ店長が、患者さん一人ひとりの症状にピッタリの漢方薬を処方します。

  • 体の悩みや漢方に関する疑問などに対する無料相談(電話・HPのフォーム)がある
  • 現在使用中の西洋薬との併用もアドバイスも行う
  • 再注文は専用フォームからでき、配達日時の指定が可能

などが特徴で、頻尿のお悩みはもちろんのこと、数多くのお悩みを解消してきた実績があります。ご相談ください。

まとめ

頻尿になると、夜間は何度もトイレに起きるので熟睡できず、昼間は常にトイレの場所が気になるので外出先や旅行先でも楽しめません。けれども、頻尿は漢方で改善に導くことができます。自己判断で市販の漢方薬購入して服用している人もいるでしょう。しかしながら、ひとくちに頻尿といっても、人により原因や症状は異なります。漢方薬局で相談をし、自分に合った漢方薬を処方してもらいましょう。東京の漢方薬局・十字屋平蔵薬局では、無料相談を行っています。頻尿でお悩みの人は、ぜひお気軽に利用してください。

十字屋平蔵薬局 店主 富居 博典

監修者

富居 博典
十字屋平蔵薬局 店主

所属研究会・勉強会
東洋漢方研究会/伝統漢方研究会緑健会日本中医薬研究会

東京薬科大学卒業後、総合病院・調剤薬局での実務経験を経て、漢方専門薬局『十字屋平蔵薬局』を開業。

漢方薬だけでなく病気や症状・治療薬・医療全般についても精通しており、一人一人の治療経過や薬歴を踏まえた提案・養生指導が好評を得ている。地域情報誌にて健康コラム『平蔵の漢方相談』を連載。15年以上続く長寿コーナーとなっており、長きにわたって地元の人々に親しまれている。


十字屋平蔵薬局