不眠症の改善方法を知りたい! 漢方薬が効果的なケースも解説

十字屋平蔵薬局 薬剤師 富居博典

記事監修
十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典
免責事項について

可能な限り信頼できる情報をもとに作成しておりますが、あくまでも私見ですのでご了承ください。内容に誤りがあった場合でも、当ブログの閲覧により生じたあらゆる損害・損失に対する責任は一切負いません。体調に異変を感じた際には、当ブログの情報のみで自己判断せず、必ず医療機関を受診してください。

「夜なかなか眠れず、朝がつらい」「一度目が覚めてしまうとその後眠ることができず、寝不足になる」。このような睡眠に関する悩みを抱えている人は珍しくありません。不眠が一定期間続くと不眠症と診断されます。不眠症になると眠気やけん怠感などに悩まされるだけでなく、高血圧や心筋梗塞などのリスクも高まるでしょう。不眠症の原因や改善方法はいろいろありますが、漢方薬が効果的なこともあります。今回は、不眠症の原因や漢方薬を用いた改善方法などを紹介しましょう。

  1. 不眠症の定義や症状
  2. 不眠の代表的な原因
  3. 東洋医学における不眠症の考え方
  4. 不眠症の改善に用いられる漢方薬
  5. 漢方薬局の利用方法

この記事を読めば、自分に合った漢方薬を処方してもらう方法も分かります。不眠症で悩んでいる人や漢方を用いた改善方法を試してみたい人は、ぜひ読んでみてください。

1.不眠症の定義や症状

はじめに、不眠症の症状や発症しやすい人の特徴などを紹介します。

1-1.不眠とは眠りの質が低下した状態

不眠とは、眠りの質が低下してけん怠感や眠気などの症状が出ることです。一例をあげると、以下のような症状があります。

  • 夜なかなか寝つけず、眠りが浅い
  • ちょっとしたことで目が覚めて、再び寝つくまでに長い時間がかかる
  • 真夜中~明け方にかけて目が覚めてしまい、再度眠ることができない(早朝覚醒)
  • 日中、けん怠感やだるさを頻繁に覚え、うたたねをしがち

ちなみに、睡眠時間の長さは関係ありません。理想の睡眠時間は7時間といわれていますが、それより短くても入眠や覚醒がスムーズで、日中に眠気がなければ不眠ではないのです。このような不眠の状態が1週間に2日以上、それが1か月以上続くと不眠症の可能性があります。

1-2.日本人の4人に1人が不眠に悩んでいる

今は、日本人の4人に1人が不眠に悩んでいるといわれています。不眠は、性別や年代に関わらず起きるもので、睡眠の長さとは関係ありません。7時間以上睡眠を取っていても入眠や覚醒がスムーズでなく、日中強い眠気やけん怠感を覚え、日常生活に支障が出ている場合は不眠です。

1-3.昼夜区別なく働いている人は不眠になりやすい

今は、昼夜を交代で働いている人も珍しくありません。質のよい睡眠を取るためには、規則正しい生活が大切です。日勤と夜勤をくり返し、寝る時間がまちまちな人は、不眠になりやすくなります。また、普段は規則正しい生活をしているけれど、長期休みのときは夜更かしと朝寝坊をする人も、通常の生活習慣に戻した際、不眠になりやすいでしょう。

2.不眠の代表的な原因

この項では、不眠になる主な原因を紹介します。

2-1.ストレス

ストレスは、質のよい睡眠の大敵です。強いストレスを受けていることを、不眠で自覚する人もいると思います。ストレスの原因を取り除くことができれば不眠が改善するケースもありますが、「未来に対する漠然とした不安」などがストレス源になっている場合は、改善まで時間がかかることもあるでしょう。

2-2.環境の変化

引っ越しなどで部屋が変わり、快適に眠ることができない温度や湿度になって不眠になるケースもあります。このほか、騒音や外からの光・振動などが不眠の引き金になることもあるでしょう。また、環境の変化に敏感な人の場合は、寝具が変化しただけで不眠になるケースもあります。

2-3.病気

かゆみや痛みが症状として現れる病気になると、不眠になる人もいます。また、睡眠時無呼吸症候群を発症すると、眠っている間に呼吸が止まるので、不眠になるのです。睡眠時無呼吸症候群の場合は「不眠になった」という自覚症状がないので、日常生活に支障が出るまで気がつかない人もいるでしょう。

2-4.生活習慣

今は、寝る直前までスマホを見ている人も珍しくありません。スマホやパソコン・携帯ゲーム機から出るブルーライトは、脳の感覚をマヒさせ、睡眠を促すメラトニンという物質の分泌を低下させてしまいます。そのため、寝る直前までスマホや携帯ゲームをしていると、不眠になる可能性があるでしょう。

2-5.加齢

年を取るにつれて、浅い眠りの時間が増える傾向があります。そのため、ちょっとした刺激で目が覚めて眠れなくなる人もいるでしょう。また、年を取ると運動不足になり、眠気が訪れにくくなる人もいます。そのため、年を取るほど不眠になりやすくなるのです。

3.東洋医学における不眠症の考え方

この項では、東洋医学における不眠症の考え方や漢方薬を用いた改善方法に向いている人などを紹介します。

3-1.東洋医学では不眠を気の滞りと考える

東洋医学では、西洋医学とは異なり体の働きや機能を「肝・心・脾(ひ)・肺・腎」の5つ(五臓)に分類しています。そして、五臓を気(生命エネルギー)・血(血液)・水(血液以外の体液)が規則正しく巡っている状態が健康と考えるのです。不眠とは、気が滞りや心や脾の衰えが原因と考えられます。

3-2.病院での治療に効果が実感できない人に漢方薬はおすすめ

漢方薬は、自然の草木や鉱物をそのまま使った「生薬」を原料に作られます。そのため、効き目が穏やかで長期間の服薬が可能です。病院で処方される薬は、主に患者が悩んでいる症状を改善するために用いられますが、漢方薬は症状の原因となる体質も改善する効果が期待できます。そのため、病院の薬で不眠症の治療を試みたが効果が実感できない人や、薬をやめるとすぐに症状がぶり返す人などは、漢方薬を用いた治療がおすすめです。

3-3.病院の薬と併用する際は薬剤師に相談する

漢方薬は、病院の薬と併用も可能です。ただし、薬の組み合わせによっては副作用が出ることもあるので、漢方薬を処方してもらうときにお薬手帳を持参し、薬剤師に相談してください。自己判断で漢方薬を服用しないように気をつけましょう。

4.不眠症の改善に用いられる漢方薬

この項では、不眠症の改善に用いられる漢方薬の一例を紹介しましょう。なお、これ以外の漢方薬も症状に合わせて用いられます。

4-1.黄連解毒湯(おうれんげどくとう)

黄連解毒湯は、体力が中程度でのぼせの症状が出る人に用いられます。イライラを鎮める効果があり、入眠障害の人に用いられることが多い漢方薬です。

4-2.加味帰脾湯(かみきひとう)

加味帰脾湯は、体力が中程度以下で血の巡りが悪い人に処方されることが多い漢方薬です。ささいなことで悩みやすく、漠然とした不安を抱えやすい人にも効果が期待できます。服用すると、精神が安定しやすいでしょう。

4-3.柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

柴胡加竜骨牡蛎湯は不眠のほか、高血圧・便秘・のぼせなどの症状がある人に用いられることが多い漢方薬です。心身の不安を和らげる効果も期待できます。

5.漢方薬局の利用方法

不眠症は1人1人原因や症状が異なるので、自分の体質や症状に合わせた漢方薬を服用することが大切です。自分に合った漢方薬の購入には、漢方薬の調合や販売を専門とする漢方薬局を利用しましょう。漢方薬に詳しい薬剤師が常駐しているので、症状や体質の相談をしたうえで、漢方薬を調合してもらうことができます。現在はサイトを開設している薬局も増え、より利用しやすくなりました。プライバシーは守られるので、安心して悩みを相談してください。なお、漢方薬を用いて体質を改善したい場合は、2週間以上服用しないと効果が実感しにくいものもあるでしょう。そのため、まずは2週間分処方してもらい、効果が実感できたら継続して服用してください。十字屋平蔵薬局では、1日分500円前後で漢方薬を処方しています。

まとめ

今回は、不眠の原因や漢方薬を用いた不眠症の改善方法などを解説しました。この記事を読んでいただくことで、治療の選択肢が広がったと思います。現在は、睡眠薬もよいものが出ていますが、より自然な状態で質のよい睡眠を取れるようになりたい人は、漢方薬の服用がおすすすめです。「できるだけ睡眠薬には頼りたくない」という人は、ぜひ漢方薬を試してみてください。

十字屋平蔵薬局 店主 富居 博典

監修者

富居 博典
十字屋平蔵薬局 店主

所属研究会・勉強会
東洋漢方研究会/伝統漢方研究会緑健会日本中医薬研究会

東京薬科大学卒業後、総合病院・調剤薬局での実務経験を経て、漢方専門薬局『十字屋平蔵薬局』を開業。

漢方薬だけでなく病気や症状・治療薬・医療全般についても精通しており、一人一人の治療経過や薬歴を踏まえた提案・養生指導が好評を得ている。地域情報誌にて健康コラム『平蔵の漢方相談』を連載。15年以上続く長寿コーナーとなっており、長きにわたって地元の人々に親しまれている。


十字屋平蔵薬局