ノロウイルスの予防に漢方が効果的!? その理由や処方方法を解説

十字屋平蔵薬局 薬剤師 富居博典

記事監修
十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典
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寒くなると、さまざまな感染症が流行し始めます。その中でも、激しい嘔吐(おうと)や下痢(げり)が症状として現れるノロウイルス胃腸炎は、感染力が強く何度も感染をくり返す可能性もある厄介な病気です。「去年はノロウイルスに感染して大変苦しい思いをしたので、今年は何とかして予防したい」と考えている人もいるでしょう。現在のところ、ノロウイルスのワクチンはありませんが、漢方薬が予防に効果的なケースもあります。

そこで今回は、ノロウイルスの予防や対策に効果が期待できる漢方薬を紹介しましょう。

  1. ノロウイルスの基礎知識
  2. ノロウイルスを予防することは可能?
  3. 漢方を用いたノロウイルス対策
  4. 漢方薬局の利用方法
  5. ノロウイルスの予防や漢方薬に関するよくある質問

この記事を読めば、自分に合った漢方薬を処方してもらう方法もよく分かります。ノロウイルスの予防法を知りたい人は、ぜひ読んでみてくださいね。

1.ノロウイルスの基礎知識

はじめに、ノロウイルスの症状や厄介な特徴を紹介します。

1-1.ノロウイルスの特徴

ノロウイルスは、小腸粘膜で繁殖してノロウイルス胃腸炎の原因となるウイルスです。11~3月にかけて流行しやすく、100個以下のウイルスが体内に入っただけで症状が現れることもあります。感染力もとても強く、学校・病院・老人ホームなどで集団発生することも珍しくありません。

1-2.ノロウイルス胃腸炎の症状

ノロウイルス胃腸炎を発症すると、腹痛・下痢・吐き気・嘔吐が主な症状として現れます。熱はそれほど上がりません。激しい吐き気や腹痛が突然起こることが特徴で、重症の場合は1日十回以上も水のような下痢が続くこともあります。感染から発症まで12~48時間で、症状は1~2日で治まるのが一般的です。嘔吐や下痢が激しいと脱水症状を起こし、命に関わる可能性もあるでしょう。特に、幼児や高齢者は脱水症状が出やすいので注意が必要です。

1-3.ノロウイルスの厄介な特徴

ノロウイルスは感染力が強く、嘔吐物や便に含まれたウイルスが空気中に舞い上がり、新しい感染者を増やしていきます。そのため、家庭に1人感染者が出ると、家族全員に感染することも珍しくありません。また、感染しても症状が出ない「不顕性感染(ふけんせいかんせん)」でも、便などにウイルスが排出されます。ですから、自覚症状がないまま感染源になってしまうこともあるのです。
さらに、ノロウイルスは長期免疫ができないため、何度も感染する可能性もあります。

1-4.ノロウイルス胃腸炎の治療方法

ノロウイルス胃腸炎の特効薬はありません。脱水症状を防ぐために水分を補給しながら、ウイルスが体外へ排出されるのを待ちます。下痢や嘔吐の症状がひどく、脱水症状の危険がある場合は、病院で輸液などの治療を受ける必要があるでしょう。なお、下痢止めや吐き気止めなどを服用するとウイルスが腸内に長くとどまり、症状が改善しにくくなります。安静にして症状が治まるまで待ちましょう。

2.ノロウイルスを予防することは可能?

この項では、ノロウイルスを予防する方法を紹介します。

2-1.身近に感染者が出た場合の予防方法

家族などに感染者が出た場合、嘔吐物や便からの感染を防ぐことが大切です。嘔吐物の処理は、手袋やビニール製の使い捨てエプロン・マスクなどをつけて行い、素手で絶対に触らないようにします。また、ノロウイルスの駆除には、水1Lに対し、塩素系漂白剤20mlを入れた「塩素系漂白剤調製液」を用いましょう。嘔吐物を処理したら、そこを塩素系漂白剤調製液で掃除します。嘔吐物がかかった衣服や患者が使ったトイレも、塩素系漂白剤調製液で洗濯・掃除してください。
また、患者にはできるだけ近寄らないようにし、患者と接触したらノロウイルスを駆除する効果のある除菌スプレーなどで消毒しましょう。

2-2.感染を防ぐ予防方法

ノロウイルスにワクチンはありません。体の抵抗力や免疫力をアップして、体内でのウイルスの繁殖を防ぎましょう。睡眠をしっかりとり、ビタミン類やタンパク質を含んだ栄養バランスの優れた食事をとることが大切です。ノロウイルスが流行する時期は、クリスマスや年末年始などで、食生活や生活習慣が乱れがちになるので十分に気をつけてください。
また、外から帰ってきたらうがいや手洗いを徹底しましょう。トイレから出た後も流水だけでなく石けんで手洗いすることが大切です。

2-3.貝類に注意する

ノロウイルスは、カキなどの貝類内で繁殖することがあります。加熱用の生ガキを十分に加熱せずに食べると、感染の危険があるでしょう。また、生食用のカキでもノロウイルスに汚染されていることもあります。寝不足で体調が悪いときや食生活が乱れているとき、疲れているときなどは貝類は避けましょう。

3.漢方を用いたノロウイルス対策

この項では、ノロウイルス胃腸炎の改善や、感染・発症の予防が期待できる漢方薬を紹介します。

3-1.東洋医学における「未病」の考え方

東洋医学とは、中国を中心に東アジアで発展してきた医学です。西洋医学とは異なり、体を気(生命エネルギー)・血・水(血以外の体液)が規則正しく巡っていることが健康と考えます。また、東洋医学には「未病」という考え方がありますが、これは、冷えやだるさなど自覚症状はあるが病気にまでは至らない体の不調の総称です。漢方薬を用いて未病を改善すれば、病気を予防できると考えます。ノロウイルスの場合、胃腸の不調を改善し体力を高めることで、予防効果が期待できるでしょう。

3-2.ノロウイルスの治療にも漢方薬が用いられる

漢方薬は、体全体の働きを整えることで症状を改善する効果も期待できます。そのため、ノロウイルス胃腸炎を発症しているときに、嘔吐や下痢に効果のある漢方薬を服用することにより、症状を早期に改善できる可能性があるでしょう。

3-3.漢方薬の使用が向いている人

昔から胃腸が弱く風邪をひきやすい人や、体力がなく食が細い人は、漢方薬による胃腸の調子が改善や免疫力の向上効果が期待できます。たとえば、仕事が忙しく胃腸の調子がずっとよくないという人や、年を取るにつれて食欲が落ち、風邪をひきやすくなった人、病気をした後でなかなか体力が回復しない人などにおすすめです。

3-4.ノロウイルスの対策に使われる漢方薬

ノロウイルスの予防や症状改善には、以下のような漢方薬が使われます。

  • 人参湯(にんじんとう):やせて体力がない人、下痢をしやすい人、胃腸の弱い人の体質改善に用いられる
  • 五苓散(ごれいさん):嘔吐や下痢の改善、むくみの改善などに用いられる漢方薬。ノロウイルス胃腸炎の際、体内の水の巡りを改善し、ウイルスを速やかに体外に排出するために用いられる
  • 真武湯(しんぶとう):胃腸虚弱や風邪などの後に感じやすい「けん怠感」の改善に用いられる

ここでご紹介した漢方薬はあくまでも一例です。漢方薬局を利用すれば、これ以外にもいろいろな漢方薬を紹介し、処方してくれます。なお、漢方薬はれっきとした薬なので、すでに薬を服用している人が新しく利用する場合は、薬局にお薬手帳を持参してください。

4.漢方薬局の利用方法

この項では、漢方薬局の特徴や利用方法を紹介します。

4-1.漢方薬局の特徴

胃腸の不調や虚弱体質は、人によって症状や改善方法が異なります。そのため、漢方薬を服用して改善を試みる場合は、自分に合った漢方薬を服用することが大切です。個人の体質や症状に合わせた漢方薬の処方を希望する場合、漢方薬の調剤や販売を専門に行う漢方薬局を利用してみましょう。漢方薬局には、漢方薬に詳しい薬剤師が常駐しています。現在は、相談専用の窓口を設けたり、サイトで相談予約ができたりする漢方薬局も増え、初心者にも利用しやすくなりました。プライバシーは万全に配慮してくれるので安心して悩み、改善したい症状を相談してください。

4-2.漢方薬の服用法と費用

体質改善などを目的に漢方薬を服用する場合、2週間以上服用しないと効果が実感しにくいものもあります。ですから、最初は2週間分の漢方薬を処方してもらい、効果が実感できたら続けて服薬しましょう。十字屋平蔵薬局では、1日分500円前後で漢方薬を処方しています。

5.ノロウイルスの予防や漢方薬に関するよくある質問

この項では、ノロウイルスの予防や漢方薬に関するよくある質問を紹介します。

Q.ノロウイルス予防のために漢方薬を服用することで、ほかの感染症の予防も期待できるでしょうか?
A.はい。胃腸が丈夫になって免疫力が高まれば、ほかの感染症も予防できる可能性が高まります。

Q.ノロウイルスは、身近に感染者がいれば必ず発症するのでしょうか?
A.そうとも限りません。前述したように発症してもウイルスを排出するだけの人もいます。しかし、それも感染を広げる一因になるでしょう。

Q.漢方薬は苦くて飲みにくいイメージがあり、苦手です。
A.オブラートや薬を服用するためのゼリーなどを用いると飲みやすくなります。

Q.ノロウイルス胃腸炎の発症を予防するため、子どもに漢方薬を服用させることは可能ですか?
A.はい。ただし、親が処方してもらった薬を分け与えるようなことはできません。必ず本人に処方されたものを服用してください。

Q.手指の消毒などに漢方薬を用いることはできますか?
A.いいえ。漢方薬は服用することで効果が出るもので、消毒薬としての効果はありません。

まとめ

いかがでしたか? 今回は、ノロウイルスの症状や原因、漢方薬を用いた予防方法などを紹介しました。胃腸が弱く、冬になると何度も風邪をひいたり、ノロウイルスにかかったりする人は、ぜひ一度秋から漢方薬を服用してみてください。免疫力が高まれば、感染しにくくなる効果が期待できます。また、長い間病気をしたことで体力が落ちている人なども、食生活を整えながら、漢方薬を用いた体力回復方法がおすすめです。

十字屋平蔵薬局 店主 富居 博典

監修者

富居 博典
十字屋平蔵薬局 店主

所属研究会・勉強会
東洋漢方研究会/伝統漢方研究会緑健会日本中医薬研究会

東京薬科大学卒業後、総合病院・調剤薬局での実務経験を経て、漢方専門薬局『十字屋平蔵薬局』を開業。

漢方薬だけでなく病気や症状・治療薬・医療全般についても精通しており、一人一人の治療経過や薬歴を踏まえた提案・養生指導が好評を得ている。地域情報誌にて健康コラム『平蔵の漢方相談』を連載。15年以上続く長寿コーナーとなっており、長きにわたって地元の人々に親しまれている。


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