冷え性に効果がある漢方薬について解説。治療に用いるメリットは?

十字屋平蔵薬局 薬剤師 富居博典

記事監修
十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典
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冷えは、多くの人が悩んでいる体の不調です。冷え性というと女性が悩む症状と思われがちですが、男性でも冷え性になることもあります。また、冷え性は月経不順・肩こり・腰痛などの原因にもなるため、何とか改善したいと思っている人も多いことでしょう。冷え性を改善する方法はいくつもあります。
今回は、冷え性の原因や種類、冷え性の改善に効果的な漢方薬について紹介しましょう。

  1. 冷え性の基礎知識
  2. 冷え性のセルフチェック
  3. 冷え性改善に用いられる漢方について
  4. 自分に合った漢方薬を処方してもらう方法
  5. 冷え性や漢方薬に関するよくある質問

この記事を読めば、冷え性改善の方法がよく分かります。冷え性に悩んでいる人は、ぜひこの記事を読んでみてくださいね。

1.冷え性の基礎知識

はじめに、冷え性の特徴や原因などを紹介します。なぜ、冷えが起こるのでしょうか?

1-1.冷え性とは何か?

冷え性とは、体の末端や芯などが冷たく感じる症状の総称です。「手足の先がすぐに冷えて感覚がなくなってしまう」「夏でも冷房が効いているところではすぐに体が冷え切ってしまう」といった自覚症状がある人も多いことでしょう。その一方で、「なんとなく体がだるい」「疲れやすい」といった症状は自覚しているものの、自分が冷え性だと気づかない人もいます。冷え性は体温や血圧には関係なく起こるものです。体温はやや高めでも手足が冷えやすいという人もいます。

1-2.冷え性の症状について

冷え性には、以下のような症状の種類があります。

  • 手足の末端が冷える
  • 下半身が冷える
  • 体全体が冷える
  • ほてりと冷えが交互に来る

次の項でご紹介する冷え性の原因によって、症状の出方が変わることもあるでしょう。この中でも、体全体が冷えるという場合は重症といえます。

1-3.冷え性の原因とは?

冷え性の主な原因には、以下のようなものがあります。

  • 自律神経の乱れ
  • 貧血
  • 女性ホルモンの乱れ
  • 身体的な原因(筋肉量の不足、肥満など)
  • 食習慣(冷たいものの取り過ぎ)
  • 運動不足

自律神経は、自分の意志では制御できない胃腸の動きや血管の拡張・収縮などをつかさどっている神経です。過度なストレス等によって自律神経が乱れると、血管の拡張や収縮がうまくいかなくなって冷え性になることがあります。
貧血は、血液中にある赤血球の濃度が低下している状態です。赤血球の濃度が低下すれば細胞に栄養や酸素を十分に運ぶことができず、冷え性になりやすくなるでしょう。
女性ホルモンが乱れると、冷えを自覚しやすくなります。生理前や更年期になると冷えやすくなったり冷え性がひどくなったりする場合は、女性ホルモンの乱れが原因かもしれません。
また、女性は男性よりも筋肉量が少なく、脂肪の量が多いので冷え性になりやすいのです。

2.冷え性のセルフチェック

この項では、原因別冷え性のセルフチェック項目を紹介します。原因別にどのような症状が出やすいのでしょうか? なお、複数の原因が絡み合っている場合もあります。

2-1.自律神経の乱れが原因の冷え性に現れやすい症状

  • 手足の末端が冷えやすい
  • 便秘や不眠などの症状もある
  • 強いストレスがかかっている自覚がある

2-2.貧血が原因の冷え性に現れやすい症状

  • 疲れやすい
  • 目まいや立ちくらみがする
  • 爪が白っぽく、顔色が青白い
  • 全身が冷えやすい

2-3.女性ホルモンが原因の冷え性に現れやすい症状

  • 生理前に冷え性が悪化する自覚がある
  • 更年期になったら冷え性が悪化した
  • のぼせた後で冷えがくることがある

2-4.冷え性が重症化した際に現れやすい症状

何年も冷え性に悩んでいる人の中には、冷え性が悪化して以下のような症状が現れることがあります。

  • 全身が冷え、入浴してもなかなか温まらない
  • 手足の末端が感覚がなくなるくらい冷える
  • 手袋や靴下をつけても冷えが治まらない
  • けん怠感・食欲不振などの症状が出る
  • 生理周期が乱れる
  • 夜間、トイレに何度も起きる

このような症状が出るようになると、日常生活にも支障が出ることがあるでしょう。

3.冷え性改善に用いられる漢方について

この項では、東洋医学における冷え性の考え方や、漢方薬を用いた治療に向いている人などをご紹介します。

3-1.東洋医学における冷え性の考え方

東洋医学とは、中国を中心に東アジア一帯で発展してきた医学です。西洋医学とは異なり、気(生命エネルギー)・血(血液)・水(血液以外の体液)が、バランスよく体を巡り、健康を維持していると考えています。東洋医学では、冷え性の原因を以下のように分類しているのです。

  • 気が不足した状態(気虚:ききょ)
  • 血液が体をうまく巡らない(瘀血:おけつ)
  • 体の中に余計な水がたまっている(水滞:すいたい)
  • 血液が不足している(血虚:けっきょ)

これらの原因を改善するために、漢方薬を用いた治療が行われます。

3-2.漢方薬を用いた治療のメリットや、治療が向いている人

漢方薬は、生薬と呼ばれる自然の草木や鉱物などを原料とする薬です。そのため、化学合成された薬に比べると副作用が出にくく、長期間服用することができます。長期間飲むことにより、今まで「体質だからしょうがない」と思われていた症状が改善することもあるでしょう。ですから、長年冷え性で悩み、いろいろな改善方法を試してみたけれどいまひとつ効果がなかったという人は、漢方薬を用いた治療に向いています。ぜひ一度試してみてください。

3-3.冷え性の治療に用いられる漢方薬

冷え性の治療には、以下のような漢方薬が用いられます。

  • 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん):とどこおった血の流れを改善する漢方薬。瘀血が原因で冷え性になった人におすすめ
  • 人参湯(にんじんとう):滋養強壮効果や胃腸を強くする漢方薬。気虚が原因で冷え性になった人向き
  • 真武湯(しんぶとう):冷えが原因で下痢をしやすい人向けの漢方薬。水滞が原因で冷え性になった人に用いられることが多い

ここでご紹介したのはあくまでも一例です。薬剤師に相談すれば、自分に合った漢方薬を紹介してもらえます。

4.自分に合った漢方薬を処方してもらう方法

この項では、自分に合った漢方薬を処方してもらう方法を紹介します。ぜひ、参考にしてください。

4-1.漢方薬を購入できる場所とは?

漢方薬はドラッグストアでも販売されています。しかし、あらかじめ調合されて販売されている漢方薬は、万人に効果が出やすいように調合されているため、人によっては効果が実感しにくいこともあるでしょう。自分に合った漢方薬を処方してもらうには、次にご紹介する漢方薬局を利用してみましょう。

4-2.漢方薬局の利用方法

漢方薬局は漢方薬の調合・販売を専門とする薬局です。現在は、体の不調や漢方薬に関する相談ができる窓口を設けている漢方薬局も増え、利用しやすくなりました。初めて漢方薬局を利用する場合は、相談窓口を設けているところを選びましょう。
漢方薬局では、薬剤師が患者の悩みや改善したい症状を詳しく聞き、漢方薬を調合してくれます。ですから、症状等はできるだけ詳しく説明してください。また、漢方薬は少量だけ処方してもらうことは難しいので、2週間分~1か月分くらい処方してもらうといいでしょう。費用は1万円代~が相場です。

4-3.注意点

漢方薬はれっきとした薬です。飲み合わせによっては副作用が出ることがあるため、現在服用している薬がある人はお薬手帳を持参しましょう。また、漢方薬局で処方された薬は同じ症状に悩む人でも共有はできません。薬は冷暗所に保管し、食間に服用しましょう。

5.冷え性や漢方薬に関するよくある質問

Q.漢方薬は、何歳からでも服用できますか?
A.はい。独特の苦みをがまんできるようになれば大丈夫です。

Q.漢方薬を用いた冷え性の改善は、効果が現れるまでにどのくらいの時間がかかりますか?
A.人によって異なりますが、2週間~1か月漢方薬を服用しても効果が実感できない場合は、薬剤師に相談してください。

Q.漢方薬は高価なものというイメージがあります。
A.確かに、高価な生薬を用いる漢方薬もありますが、ほとんどが1か月分1~2万円代です。

Q.冷え性は男性でもなるものでしょうか?
A.はい。中年になってくると男性も脂肪が増え、筋肉量が低下してくるため冷え性になりやすくなります。

Q.冷え性を治すとどのようなメリットがあるでしょうか?
A.体力がつき、行動が活発になったりだるさや不眠といった症状に悩まされなくなったりもします。

まとめ

いかがでしたか? 今回は冷え性の改善が期待できる漢方薬などについて解説しました。冷え性は悩んでいる人が多く、改善もなかなか難しい症状です。すでにいろいろな改善方法を試したが、あまり効果が実感できなかったという人は、一度漢方薬による治療を試してみましょう。

十字屋平蔵薬局 店主 富居 博典

監修者

富居 博典
十字屋平蔵薬局 店主

所属研究会・勉強会
東洋漢方研究会/伝統漢方研究会緑健会日本中医薬研究会

東京薬科大学卒業後、総合病院・調剤薬局での実務経験を経て、漢方専門薬局『十字屋平蔵薬局』を開業。

漢方薬だけでなく病気や症状・治療薬・医療全般についても精通しており、一人一人の治療経過や薬歴を踏まえた提案・養生指導が好評を得ている。地域情報誌にて健康コラム『平蔵の漢方相談』を連載。15年以上続く長寿コーナーとなっており、長きにわたって地元の人々に親しまれている。


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