それはただのかすみ目? 白内障、緑内障、加齢黄斑変性症などの眼病と漢方薬について

十字屋平蔵薬局 薬剤師 富居博典

記事監修
十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典
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一般的に人間の五感(味覚、嗅覚(きゅうかく)、視覚、聴覚、触覚)の中で最も早くに衰えやすいものとして視覚が挙げられます。最近はパソコンやスマートフォンなど電子端末の普及により情報収集が便利となり、情報量も増えましたが結果としてかすみ目を感じる方も多くなっています。目から入る情報が8割とも言われるこの時代です。しかしその症状の背後に緑内障、白内障、加齢黄斑変性症などの病気が潜んでいる場合もあり、生活に様々な影響が懸念されます。かすみ目と関係する眼病とお勧めしたい漢方薬について書き綴ってまいります。このブログがかすみ目、疲れ目や目の病気に悩む方、事前に予防をとお考えの方の助けとなれば幸いです。

  1. かすみ目の症状について
  2. かすみ目の原因
  3. かすみ目の対処法
  4. かすみ目と漢方薬
  5. かすみ目の漢方薬を購入するには?
  6. 漢方薬局に相談するときのポイント
  7. よくある質問

1.かすみ目の基礎知識

1-1.かすみ目の症状について

目がかすむ・・・朝ははっきりと見えていたものが午後になり、あるいは長時間目を使っていると徐々に物がかすんで見えにくくなったり、焦点を合わせるのに時間がかかり目がしょぼしょぼする場合があります。これはかすみ目の症状ですが、個人差があるものの男女ともに40代から多くなります。またかすみ目に伴って目の充血や肩凝り、頭痛に悩まされる場合があります。私たちは物を見るときに眼球内の水晶体や毛様体を調節して焦点を合わせています。ところがこの調整機能が眼精疲労なとの原因により調整に時間がかかる場合があるのです。またこの症状は緑内障や白内障、加齢黄斑変性症などの疾患が背後に隠れている場合がありますのでたかがかすみ目と言って侮れません。

例)遠くを見るときは毛様体筋が弛み、水晶体が薄くなることにより屈折率を下げて焦点を合わせます。逆に近くを見るときは毛様体筋が収縮し、水晶体が厚くなることにより屈折率を上げて焦点を合わせます。

1-2.日常生活への影響

眼精疲労を起こしても、しっかりと休養を取って回復していれば良いでしょう。ところが目を酷使し続ければ様々な疾患を引き起こす原因にもなりかねません。目からの情報は多くを占めます。歩行や車の運転など生活への影響が懸念されます。漢方薬やサプリメントで早めの予防、対策が必要です。

2.かすみ目の原因

2-1.目の老化

かすみ目で一番に考えられるのが目の老化現象です。先に触れましたように五感の中で視覚が一番老化の早く進む部位と言われています。まず10歳位からレンズの役割を担っている水晶体の弾力が衰え始めます。それと共に水晶体を支える毛様体の働きも低下しますからピントが合いにくくなるのです。仮性近視は中学生頃に発症しますが目の調節機能が低下することによるものです。また遠くのものは見えるのに近くは見えにくくなることもあり、これは遠視や老眼と言われますがかすみ目に悩まされる方も多くおります。

2-2.眼精疲労

近くで長時間テレビやパソコンを見ているのは水晶体が厚く、毛様体筋が長時間緊張している状態とも言えます。これは老眼ではありませんが、近くのものがかすんでしまい老眼と似たような症状でスマホ老眼とも言われています。長時間のパソコン作業中は瞬き(まばたき)の回数も減り、目の乾燥(ドライアイ)など目に無理がかかった状態ですので肩の凝りや頭痛など周辺の症状にまで及ぶ場合があります。

2-3.コンタクトレンズなど

私たちの目とりわけ黒目部分は角膜により保護されています。非常に繊細な組織であり涙で絶えず覆われています。昨今コンタクトレンズが普及しましたが、この角膜を傷つけてしまうケースもあります。また冷暖房などの空調により角膜に傷が付きかすみ目になっているケースも考えられます。

2-4.目の病気

一番怖いのが背後に以下の眼病が隠れているケースです。以下の疾患の症状の一つとして目のかすみがでる場合があります。

2-4-1.白内障

目の中のレンズの役割を担っている水晶体が濁る病気です。水晶体の65%は水で残りはタンパク質などですがこのタンパク質が変性して不溶性となり濁りの原因と考えられています。原因の90%が加齢による加齢白内障そして糖尿病の合併症や紫外線の影響、ステロイド剤の副作用として現れる場合もあります。

2-4-2.緑内障

一口に緑内障といっても原因の特定できない「原発緑内障」、糖尿病やぶどう膜炎などの炎症が原因で緑内障となってしまう「続発緑内障」、生まれながらの「先天緑内障」があります。原発性緑内障には「原発開放隅角緑内障」と「原発閉塞隅角緑内障」の二タイプありますが、特に急性の原発閉塞緑内障の場合は房水の行き場を失い眼圧が一気に上昇、そして数日で失明に至るケースがあります。その際に目の痛み、かすみ目や目の充血、頭痛、吐気などが起きます。

2-4-3.加齢黄斑変性症

最近では高齢化、食生活の欧米化により疾患数が急激に増加している加齢黄斑変性症ですが、この病気は網膜の中心部にある黄斑部に障害が起き、物が歪んで見えたり中心部が暗く(中心暗点)見えたり、かすんで見えたりします。比較的男性に多く発症しています。

2-4-4.糖尿病性網膜症

生活習慣病の一つとしてしられている糖尿病ですが、自覚症状のないまま進行するケースが多くあります。三大合併症として知られているのが腎臓の働きが低下する糖尿病性腎症、末梢神経に痛みやしびれを感じる糖尿病神経障害、そして目の網膜の血管に障害を起こす糖尿病網膜症があります。糖尿病網膜症は網膜中の毛細血管が詰まってしまい目に酸素が供給されなくなってしまい、かすみ目になってしまうケースがあります。

他にもかすみ目の原因として視神経炎、眼底出血、ぶどう膜炎などもありえます。しっかりと休息を取っても症状が続く場合は眼科専門医にご相談ください。

3.かすみ目の対処法

3-1.漢方薬で未病先防

先にかすみ目の一因は目の老化という事に触れましたが、では手の打ちようがないのでしょうか。そうではありません。漢方医学で「未病先防(みびょうせんぼう)」ということばがあります。病気の前段階での不調を「未病」と言っていますが、先回りしてその未病を予防しようと言うのが「未病先防」というわけです。ですから適切な漢方薬などを服用することにより発症を事前に予防したり症状を緩和したりしてすることが可能なのです。

3-2.食生活を見直して体調管理

最近では偏った食習慣がからだの糖化、酸化を加速させと話題になっています。ですから過剰な糖質を控え、活性酸素をできるだけ増やさない食事が大切です。当店では日頃よりニンジンやピーマン、トマト、レタスなどの緑黄色野菜、納豆や豆腐など大豆食品、ゴマなどを積極的に摂取して頂き、インスタント食品を始め、スナック類、動物性脂肪を多く含む食品、麺類、スイーツは多くならないようにアドバイスしています。医食同源あるいは薬食同源とも言われますが、食養生あっての漢方薬だと考えています。

3-3.ホットパック、アイマスクで目を休ませる

先に触れました田が長時間パソコンでの作業が続くと目の水晶体が厚くなり、毛様体筋が疲労し、気づかないうちに作業効率も低下していることも考えられます。何はともあれ休憩を取ることが大切です。ホットパックやアイマスクあるいは蒸しタオルを目に当てて一定時間インターバルを置くことと充分な睡眠を取ることをお勧めいたします。

4.かすみ目と漢方薬

4-1.漢方におけるかすみ目の考え方

『肝は目に開竅(かいきょう)する』と言われ、五臓のなかの肝と目が深い関係にあるとされています。またその肝は血液の蔵と古書『黄帝内経』に記されています。肝血を補うことはかすみ目だけでなく体質的にも良い場合が多くあります。さらに肝と腎は「肝腎同源」とも言われ

腎を補うことが肝の手当てにもなると考えられています。ですから肝や腎に配当される漢方薬がかすみ目に多用されます。

4-2.どんな漢方薬が処方されるのか?

4-2-1.杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)

地黄(じおう)、山茱萸(さんしゅゆ)、沢瀉(たくしゃ)、山薬(さんやく)、牡丹皮(ぼたんぴ)、茯苓(ぶくりょう)、菊花(きくか)、枸杞子(くこし)以上8種類の生薬からなる処方で、基本処方は六味丸で目に良い菊花(菊の花)、枸杞子(クコの実)を加味した内容です。六味丸は代表的な補腎薬であり補肝作用のある菊花、枸杞子で肝腎一体となって目の症状に対応します。

4-2-2.婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)

当帰(とうき)、地黄(じおう)、芍薬(しゃくやく)、川芎(せんきゅう)、阿膠(あきょう)、党参(とうじん)、茯苓(ぶくりょう)、黄耆(おうぎ)、甘草(かんぞう)以上9種類の生薬からなる漢方処方です。漢方薬を選ぶには症状に焦点を合わせるのではなく体質に合ったものを合わせてお飲み頂くことも大切です。「肝は血を蔵す」と言いますが血虚体質は皮膚の乾燥、目の疲れ、生理の量が少ないと共にかすみ目などの症状が出ても不思議ではありません。

4-2-3.柴胡疎肝湯(さいこそかんとう)

柴胡(さいこ)、枳実(きじつ)、芍薬(きじつ)、甘草(かんぞう)、青皮(せいひ)、川芎(せんきゅう)、香附子(こうぶし)以上7種類の生薬からなる処方です。四逆散に青皮、川芎、香附子と言った気血の流れを良くする生薬を加えた処方構成になっています。「肝は目に開竅(かいきょう)する」と言われますが疏泄を主る肝にストレスが溜まった状態だと目にも悪影響を及ぼしかねないという事です。直接かすみ目に作用するものではありませんが、体質に合わせてお飲み頂くことがあります。

5.かすみ目の漢方薬を購入するには?

5-1.漢方外来など漢方の専門医から

専門医による処方で漢方薬をお飲み頂くことができます。多くの場合他の点眼薬と併用しても問題はありません。また疾患によってはお勧めできない漢方薬もあります。処方される漢方薬の多くはツムラ、クラシエになります。

5-2.漢方の専門薬局で相談する

漢方薬局や薬店でも漢方薬を購入することができます。専門店の場合は保険調剤で処方される漢方薬以外にも特色のあるメーカーがあります。また煎じ薬を提供している薬局もあります。東京、埼玉など首都圏にお住まいの方は是非当店十字屋平蔵薬局にお尋ねください。

5-3.インターネットや通販で

ご自宅に居ながらにして手軽に購入できるのが通販の良い所です。ただ健康食品を含めて体調管理のためにお飲み頂く場合は直接店頭にてご相談され、納得したうえで購入されるのがベストだと考えます。

6.漢方薬局に相談するときのポイント

6-1.かすみ目はいつから、どんな時に

かすみ目は眼精疲労の一つとして出る場合もあれば、急性緑内障や加齢黄斑変性症の自覚症状としてでる場合もあります。いつから症状が続いているのか、充分に睡眠を取っても症状に変化があるのかないのか、他の症状なども含めてご相談ください。

6-2.体質や生活環境はどうなのか

目のかすみは強度の近視の方や糖尿病の方、食生活、ストレス、蓄積した疲労によって症状が強く出る場合があります。目の症状以外にも教えて頂けるとより適当な漢方薬を提供することが可能です。

6-3.服用している薬は

白内障の原因の一つに薬剤性によるものがあります。膠原病やアトピー性皮膚炎などでステロイド剤を使用している場合など目に症状が出る場合も考えられます。漢方薬局でも薬剤師が西洋薬の内容を確認できますのでご相談ください。

7.よくある質問

Q.かすみ目に良いサプリメントはありますか?
A.飽食の時代ですが、生活スタイルによっては意外に低栄養状態(新型栄養失調)の方がいます。その要因として加齢や食事の不摂生そして仕事などの過度なストレスがビタミンを多く消費することもわかっています。忙しいと言う方にはビタミン、ミネラルをはじめ総合的なサプリメントも大切です。巷には様々なサプリメントがありますが、どれが良いものなのかがわからないと言う方、すでに数種類取っており本当にこれで良いのか不安と言う方にも丁寧にアドバイスしております。お悩みの方は十字屋平蔵薬局(西東京市)にご相談ください。

Q.食事はどのように気を付ければよいでしょうか?
A.先に触れましたようにかすみ目や目の疲れなどは普段の食生活とも関係があると言えます。お酒の飲み過ぎや高カロリーの食品や加工食品を多く摂取していますと代謝そのものが低下し、かすみ目など目の症状だけでなく、目の下にクマができるなど瘀血(おけつ)状態になると考えられます。バランスの良い食生活を心掛けましょう。

Q.日常で心得ておくべきことはありますか?
A.当店では漢方薬の服用と同時に目の遠近運動と眼球運動をお勧めしております。遠近運動は眼球内の水晶体を支える毛様体筋など内眼筋の緊張を緩めリラックスさせるためです。また眼球を定期的にぐるぐると左回転、右回転、あるいは上下左右運動をすることによって6つの外眼筋をほぐします。「疲れているな・・・」と思ったら是非試してみて下さい。

Q.目が充血するのはどうしてでしょうか?
A.よく眼精疲労やかすみ目とともに目の充血を訴える方がいますが、どうして目の疲れやかすみ目とともに白目(強膜)が充血するのでしょうか。それは強膜部分にある毛細血管が拡張し血流量が増えるために赤くなります。疲労すればそれだけ老廃物の処理と回復に多くの酸素を必要としますので、自律神経の働きにより強膜の血管を拡張させ結果的に充血するのです。目を休ませるサインと考え、ホットパックやアイマスクで目を休ませましょう。

まとめ

今回のテーマはかすみ目と漢方薬についてでしたがいかがだったでしょうか。老化現象の場合もまた白内障や緑内障、加齢黄斑変性症の場合でもまた予防にも漢方薬は昔から用いられています。目は大切な五感の一つ、お悩みの方は是非一度漢方薬をお試しください。症状と体質に合った漢方薬が必ずあるはずです。

十字屋平蔵薬局 店主 富居 博典

監修者

富居 博典
十字屋平蔵薬局 店主

所属研究会・勉強会
東洋漢方研究会/伝統漢方研究会緑健会日本中医薬研究会

東京薬科大学卒業後、総合病院・調剤薬局での実務経験を経て、漢方専門薬局『十字屋平蔵薬局』を開業。

漢方薬だけでなく病気や症状・治療薬・医療全般についても精通しており、一人一人の治療経過や薬歴を踏まえた提案・養生指導が好評を得ている。地域情報誌にて健康コラム『平蔵の漢方相談』を連載。15年以上続く長寿コーナーとなっており、長きにわたって地元の人々に親しまれている。


十字屋平蔵薬局