今話題の温活って何? 妊娠しやすくなるって本当?

十字屋平蔵薬局 薬剤師 富居博典

記事監修
十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典
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「冷え性だから、寒い季節はつらい」このような悩みを抱えている人は、珍しくありません。冷え性になると厚着をしてもなかなか体が温まりにくく、体調も崩しやすいでしょう。そんな冷え性の人に注目を集めているのが、体温を上げる「温活(おんかつ)」です。妊娠にも効果が期待できるということで、妊活と併せて行っている人もいます。
そこで、今回は温活と妊娠の関係や温活のメリット・やり方を紹介しましょう。

  1. 温活の基礎知識
  2. 温活と妊娠の関係
  3. 温活の方法
  4. 漢方薬で冷え性を改善する方法
  5. 温活に関するよくある質問

この記事を読めば、冷え性を改善するヒントもつかめるでしょう。興味がある人や妊活中の人は、ぜひ読んでみてくださいね。

1.温活の基礎知識

初めに、温活の定義ややり方を解説します。どのようなことをするのでしょうか?

1-1.温活の定義

温活とは、基礎体温を適正な温度まで上げる活動のことです。人の平熱は平均して36℃台ですが、冷え性を自覚している人の中には、35℃台後半が平熱という人も珍しくありません。また、ここ20年の間に人の基礎体温は、0.5℃~1℃ほど低くなっているとも言われています。温活を行えば、基礎体温を36℃台に上げることもできるでしょう。

1-2.低体温のデメリット

基礎体温が低いということは、血行が悪く新陳代謝も鈍くなっているということです。そのため、冷え・むくみ・脂肪の増加・免疫力の低下など、さまざまなデメリットがあります。また、女性の場合は卵巣や子宮の働きも鈍くなり、生理不順や不妊の原因となることもあるでしょう。

1-3.冷え性とはどのようなものか?

冷え性というと、いつも寒さを感じて厚着をしている人、というイメージを抱いている人もいるでしょう。確かに、手足の末端を中心として、常に「冷え」を感じる人もいます。その一方で、自覚のない冷え性の人もいるのです。自分が冷え性かどうか、冷え性になりやすい生活をしているかどうか、以下のセルフチェックを行ってみてください。

  • 平熱が常に35℃台である
  • 手や足が氷のように冷たくなることがよくある
  • 一度体が冷えると、なかなか温まらない
  • 夏でも手足が冷たい
  • 生理不順である

このような人は、冷え性である可能性が高いでしょう。次は、冷え性になりやすい生活のセルフチェックです。

  • ストッキングやタイツをはかずに、素足にスカートという格好をすることが多い
  • 夏は、腹部を出すファッションをしたり、サンダルを履いたりすることが多い
  • 冷たい飲み物をよく飲む
  • 食べ物の好き嫌いが多い
  • 入浴はシャワーで済ますことが多い
  • ストレスが多い生活をしている
  • 喫煙者である
  • 夏は、冷房のよく効いた部屋で1日を過ごすことが多い

以上の項目に当てはまる人は、今は大丈夫でも冷え性になる可能性が高いでしょう。

1-4.温活のメリット

さて、セルフチェックをみれば、冷え性になりやすい生活がどのようなものか、だいたい想像がつくと思います。温活はただ単に基礎体温を上げるだけでなく、自分の生活を見直すきっかけにもなるでしょう。生活習慣を改めればぐっと健康になる人もいます。特に、病気ではないけれど体の不調を抱えている人は、温活がおすすめです。

2.温活と妊娠の関係

前述のように、冷えは内臓の働きを鈍くします。子宮や卵巣も例外ではありません。また、女性は月経後に体温が下がり、排卵が行われて月経が近づくにつれ、ホルモンの影響で体温が上がります。しかし、基礎体温が35℃台だと、体温が高温期の平均まで上がらないという人が多いでしょう。月経が終わってから次の月経まで基礎体温に変化がないと、無排卵月経が疑われます。
温活をすることで基礎体温が上がれば、子宮・卵巣の活動が活発化して、妊娠する確率も上がるでしょう。また、自分の体の不調も素早く気づくことができます。つまり、温活は妊活にも大いに役立つのです。

3.温活の方法

この項では、温活の一例を紹介します。ぜひ、参考にしてください。

3-1.服装で温活

温活では、下半身を温めることが大切です。特に女性の場合はスカートをはいていると下半身が冷えやすいので、スパッツやタイツを活用しましょう。また、手首・足首・首回りには太い血管が通っており、これが寒さで収縮すると血行が悪くなって手足が冷えます。ですから、手首・足首・首回りを温めましょう。靴下・手首部分が締まっている上着・マフラー(スヌード)などを利用するとよいですね。女性の場合は、腹部も保温しましょう。おすすめは腹巻です。今は薄手でかわいいものがたくさん販売されています。
なお、シルクは起毛によって血行を促進する効果があるので、絹の靴下・腹巻などを使ってみましょう。

3-2.お風呂で温活

温活目的でお風呂に入る場合は、40度前後のお湯に20分以上浸かるのがおすすめです。熱いお風呂のほうが効果的に思えますが、ぬるめのお風呂のほうが長時間入っていられるので、体の中心部まで温まります。保温効果のある入浴剤を使ってみてもよいでしょう。なお、日本酒やワインをコップ一杯入れると体を温める効果が期待できます。ただし、皮膚の弱い人は事前に洗面器などに日本酒やワイン入りのお湯を作り、3分ほどひじを入れてみてください。皮膚が赤くなるようでしたら、日本酒風呂・ワイン風呂はやめておきましょう。

3-3.運動で温活

血行を促進するには、適度な運動が有効です。ウォーキングが最も手軽にできる運動ですので、1日10~15分程度意識して歩くことから始めましょう。また、ヨガ・ストレッチなども筋肉をほぐし、血行を良くする効果があります。仕事などが忙しくて運動をする時間がないという場合は、マッサージを行ってみましょう。特に、足の指や足の裏を中心にマッサージをすると足のむくみも取れやすくなります。お風呂上りに筋肉をほぐす目的でゆっくりとストレッチを行い、仕上げにマッサージをしてもよいでしょう。

3-4.食べ物で温活

冷たい飲み物は、どうしても体を冷やします。温活中は夏も温かい飲みものがおすすめです。冷たいものを飲みたい場合は、氷抜きでゆっくりと飲みましょう。また、ショウガや唐辛子・ニンニクなどは体を温める効果があります。夏も冷房が効いている部屋で長時間過ごす場合は、ショウガをすりおろしたものをいれた温かいお茶を飲むなどすれば、体の中から温まるでしょう。ショウガは、料理だけでなくショウガ糖などのお菓子に使われていますので、おやつにもおすすめです。

3-5.漢方薬で温活

さて、今まで紹介した方法では、冷え性がなかなか改善しないという場合は、漢方薬を利用する方法もあります。漢方薬とは、草木の葉・根・茎や動物・鉱物を原料とした生薬を東洋医学の考え方に基づいて調合して作る薬です。病院で処方される化学合成された薬と比べると、効き目が穏やかな分、長期間飲み続けられるというメリットがあります。また、漢方薬には、冷え性をはじめとする病気未満の体の不調を改善する効果も期待できるでしょう。では、次の項で漢方で冷えを改善する方法や、漢方薬の購入方法について解説します。

4.漢方薬で冷え性を改善する方法

この項では、漢方薬の効果や使用する際の注意点、購入方法などを解説します。ぜひ、参考にしてください。

4-1.東洋医学による冷えの定義

東洋医学では、気(生命エネルギーや神経系統)・血(血液)・水(血液以外の体液)が、バランスよく体を巡っていることが健康であると考えています。一方、病気とは、何かの原因で気・血・水の流れがとどこおったり、量のバランスが崩れたりしている状態のことです。
東洋医学では、冷えの原因を気虚(ききょ:気が足りない状態)、お血(血がうまく巡らない状態)、水毒(体内の水分が多すぎる状態)などと考えており、それを改善するために、漢方薬を用いた治療が行われます。

4-2.冷えに効果的な漢方薬とは?

冷え性に効果的な漢方薬には、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)や人参養栄湯(にんじんようえいとう)などがあり、原因によって使い分けられます。漢方薬はドラッグストアでも調剤済みのものが販売されていますが、これは万人に効果が出るように調合されていますので、人によっては効果が薄いこともあるでしょう。一方、漢方薬局で自分の体質に合った漢方薬を処方してもらえば、より高い効果が期待できます。ドラッグストアで買った漢方薬を試してみたけれど効果が薄かったという人は、ぜひ、漢方薬局を利用してみましょう。

4-3.漢方薬を利用するうえでの注意点

漢方薬は生薬ですから、病院で処方される薬よりも効き目が穏やかな反面、即効性はありません。病気が原因で血行が悪くなっていたりする場合は、病院を受診して薬を処方してもらったほうがよいでしょう。
また、漢方薬はれっきとした薬です。副作用は起こりにくいのですが、絶対にないわけでもありません。ですから、持病があって薬を飲んでいる人は、必ず医師や薬剤師に相談したうえで漢方の服用を開始してください。また、妊活をしている人も同様です。妊娠を望んでいることを必ず伝えたうえで、漢方薬を処方してもらいましょう。

4-4.漢方薬局の利用方法

漢方薬局は漢方薬の調合を専門とする薬局のことです。現在は妊娠相談をはじめとして、体の不調と漢方による改善方法の相談に乗ってくれる薬局も増えたので、昔よりはぐっと利用しやすくなりました。
漢方薬局では、薬剤師が患者の悩みや改善したい症状を聞き、脈や舌の状態を確認してから調剤を行ってくれます。漢方薬の中には高価な生薬を原料としているものもありますが、薬代は平均して1か月分1万円代が相場です。効果があるかどうか試してみたいという人は、まず1か月分処方してもらいましょう。漢方薬はせんじ薬や粉薬で処方され、飲み方も教えてもらえます。
ちなみに、漢方薬は食間に飲むように指導されますので、食後から2~3時間後を目安に飲みましょう。

5.温活に関するよくある質問

Q.温活はどのくらい続ければ効果が現れますか?
A.まずは3か月続けてみましょう。基礎体温が上がっていなくても、肩こりや冷えなどが改善したなどの実感が得られます。

Q.温活は男性でも効果があるでしょうか?
A.もちろんです。むしろ男性のほうが冷えに無頓着な人が多いので、温活の効果が現れやすいケースもあります。

Q.温活におすすめのグッズはあるでしょうか?
A.冷房病対策グッズや、ヒートテックの下着・湯たんぽなどを活用してみてください。

Q.漢方薬は、やはり漢方薬局で処方してもらったほうが効果があるでしょうか?
A.はい。その人に合わせた処方をしてくれるので効果は出やすいでしょう。ただし、家族で薬を共有することなどはできなくなります。

Q.サプリメントと漢方薬は違うのですか?
A.全く違います。漢方薬はれっきとした薬であり、不用意に飲んではいけません。サプリメント感覚で使用しないように気をつけましょう。

6.おわりに

いかがでしたか? 今回は温活と妊娠の関係や温活のメリットを中心に解説しました。体を冷やすと妊娠をしにくくなるということは、昔から言われていることです。現在は空調が発達した分、夏でも冷えに悩まされる人が増えてきました。その一方で、オシャレなウォームグッズも増えたので、人目を気にすることなく温活にも励めます。最近体がだるい、寒さを感じることが増えたという人は、温活を試してみましょう。

十字屋平蔵薬局 店主 富居 博典

監修者

富居 博典
十字屋平蔵薬局 店主

所属研究会・勉強会
東洋漢方研究会/伝統漢方研究会緑健会日本中医薬研究会

東京薬科大学卒業後、総合病院・調剤薬局での実務経験を経て、漢方専門薬局『十字屋平蔵薬局』を開業。

漢方薬だけでなく病気や症状・治療薬・医療全般についても精通しており、一人一人の治療経過や薬歴を踏まえた提案・養生指導が好評を得ている。地域情報誌にて健康コラム『平蔵の漢方相談』を連載。15年以上続く長寿コーナーとなっており、長きにわたって地元の人々に親しまれている。


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