多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)・不妊症の悩みを漢方薬で乗り越えよう!

十字屋平蔵薬局 薬剤師 富居博典

記事監修
十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典
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可能な限り信頼できる情報をもとに作成しておりますが、あくまでも私見ですのでご了承ください。内容に誤りがあった場合でも、当ブログの閲覧により生じたあらゆる損害・損失に対する責任は一切負いません。体調に異変を感じた際には、当ブログの情報のみで自己判断せず、必ず医療機関を受診してください。

皆さんこんにちは十字屋平蔵薬局の富居です。今回は最近若い女性に増えている婦人病の一つ多嚢胞性卵巣症候群(PCOS: Polycystic ovary syndrome)についてのブログになります。

  1. 多嚢胞性卵巣症候群の基礎知識
  2. 多嚢胞性卵巣症候群のセルフチェック
  3. 多嚢胞性卵巣症候群の治療法・診断方法
  4. 多嚢胞性卵巣症候群と漢方について
  5. 漢方薬の購入方法・飲み方
  6. 漢方薬局の選び方のポイント
  7. 多嚢胞性卵巣症候群に関するよくある質問

1.多嚢胞性卵巣症候群の基礎知識

1-1.多嚢胞性卵巣症候群とは?

まずその前に生理の仕組みについて生理周期に沿って確認しましょう。生理は以下のホルモンの連鎖で分泌されていて月経が起きています。

  1. 月経期
    精子と卵子が結合し子宮内膜に着床しなければ、黄体ホルモン(プロゲステロン)が減少し子宮内膜がはがれ排出され月経となります。黄体ホルモン、卵胞ホルモンともに減少します。
  2. 増殖期(卵胞期)
    子宮内膜にとっては増殖期、卵巣にとっては卵胞が成長する卵胞期となります。脳下垂体からの卵胞刺激ホルモン(FSH)の働きにより、卵巣にある原始卵胞が発育します。また卵巣から分泌される卵胞ホルモン(エストロゲン)により子宮内膜が増殖します。
  3. 排卵期
    卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌がいよいよピークに達すると脳下垂体から黄体化ホルモン(LH)が刺激され卵胞が2cm程になると中から卵子が飛び出します。これが排卵です。
  4. 分泌期(黄体期)
    子宮内膜にとっては分泌期、卵巣にとっては黄体期と呼ばれています。卵子が飛び出した後の卵胞は黄体となり黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌され、子宮内膜は粘液やグリコーケンと言った栄養を蓄え受精卵が着床できるように準備をします。

多嚢胞性卵巣症候群は排卵期に卵胞がスムーズに成熟して破裂しないために卵巣のなかに溜まっていく排卵障害の症状です。通常20mm程に成熟した卵胞が排卵するのですが、超音波で卵巣を確認してみると10mm程で成長が止まった卵胞がネックレスのように複数並んでいるのが確認でき、これをネックレスサインと呼んでいます。

1-2.多嚢胞性卵巣症候群の症状について

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の自覚症状としては月経不順や完全に生理が止まったり、無月経があげられます。当然不妊の傾向にあります。男性ホルモンの分泌が多く毛深くなったり、ニキビが出易かったり、また過食していないにもかかわらず太ってしまう原因が多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)であることがホルモン検査で判明する場合もあります。

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の診断基準

  1. 無排卵あるいは稀発排卵である
  2. テストステロンが高く、多毛、にきびなど高アンドロゲン(男性ホルモン)の所見がある
  3. 多嚢胞性卵胞(PCO)・・・2~8mm程度の発育停止した嚢胞が12個以上あり、卵巣の体積が10ml以上ある

基礎体温表の特徴

程度によりますが、軽度の場合は比較的生理周期が長くなっても低温期と高温期の二相性になります。しかし症状が重い場合は高温期のない一相性になります。また、経血のような生理があっても無排卵(無排卵周期症)の場合があります。

1-3.多嚢胞性卵巣症候群の主な原因

はっきりとした原因はわかっていませんが以下に多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の特徴と原因について記します。

特徴1.卵胞で男性ホルモンが多くつくられる

女性のからだでも副腎や卵巣から男性ホルモンが分泌しています。しかしPCOSの場合は黄体化ホルモン(LH)そしてインスリンの分泌が多い状況があり、それが卵巣を刺激して男性ホルモンを多くさせてしまっていると考えられています。

特徴2.肥満傾向となる

肥満になると血中のインスリン値が高くなり、インスリン抵抗性つまりインスリンの効きが悪くなる傾向にあり、このことが排卵の妨げとなると考えられています。また体脂肪に男性ホルモンやエストロゲンが蓄えられホルモン分泌異常を起こすとも考えられています。

特徴3.排卵障害により不妊症となる

排卵しにくい状況となり生理周期も長くなる傾向にあります。それにより当然妊娠しにくくなります。

1-4.多嚢胞性卵巣症候群になりやすい人

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の1/3の方がBMI25以上と言われています。だからと言って無理なダイエットではなく、食事や運動など生活習慣全般の養生で体重のコントロールをお勧めいたします。

2.多嚢胞性卵巣症候群のセルフチェック

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)だからと言って排卵痛が酷いという事ではありません。主な症状としては生理不順や無月経、黄体ホルモンの異常により不正出血・不妊症・ニキビや多毛・声が低くなるなど男性的な特徴、肥満です。

3.多嚢胞性卵巣症候群の治療法・診断方法

ホルモン検査

GnRH負荷試験(LH-RHテスト)

GnRHが脳下垂体のLHやFSHを刺激し、LH・FSHの反応を調べる検査です。PCOSの場合はLHが過剰反応を示します。

抗ミュラー管ホルモン(AMH)

AMHとはanti-Mullerian hormoneの略で前胞状卵胞の数値を測定したものですが、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の場合はこのAMH 数値が高い傾向にあります。ですから病院によってはAMHを積極的に測定するようです。

卵巣の超音波検査

通常卵胞は原子卵胞が成長して主席卵胞(成熟卵胞)になると18mmから22mm程の大きさになります。しかしPCOSの場合は10mm程度の卵胞がネックレス状にたくさん確認(ネックレスサイン)できます。

薬について

排卵誘発剤

一般的に処方されている薬にはクロミッド、セロフェン(クロミフェン)があります。卵胞ホルモン(エストロゲン)のエストロゲン受容体をブロックすることにより、より多く脳下垂体からのFSHやLHの分泌を促します。ところが抗エストロゲン作用があるために頸管粘液(おりもの)が減少したり子宮内膜が薄くなる傾向にあります。

hMG-hCG療法

一般的には排卵誘発剤の服用によってうまく排卵、妊娠に至らない場合は次のステップとしてゴナドトロピン(hMG-hCG)療法があります。注射剤で強力に排卵を促します。そのため通常、手の親指第一関節より先ぐらいの卵巣が10㎝とかに腫れてしまう、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)の副作用を起こす場合があります。OHSSは腹水や胸水による様々な合併症を伴います。

4.多嚢胞性卵巣症候群と漢方について

4-1.漢方における多嚢胞性卵巣症候群の考え方

2000年の歴史とも言われる中医学ですが、古典医書にはもちろん多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と言う病名はありません。しかし臨床症状からみると「癥瘕(ちょうか)」の記載が当てはまります。PCOSは中医学的に考えて腎虚と気血の停滞が背後にあると考えられます。

4-2.効果がある漢方薬は?

多嚢胞性卵巣症候群の状態を中医学的に分類すると主に以下の3パターンが考えられ「肝」、「腎」、「脾」の視点で病因を捉えます。

  • 脾腎陽虚
    冷え性体質で胃腸や腎の働きが弱い方に当てはまります。それにより痰湿が停滞して子宮や卵巣の働きを阻害してしまうと考えます。
  • 肝腎陰虚
    陰虚とは内熱が発生して津液が消耗した状態です。特に五臓六腑で言うところの肝と腎は一体となって生殖器系の働きを阻害すると考えます。
  • 肝気鬱滞
    ストレスを受けると気の流れが停滞しますが、それに止まらず津液も消耗して痰湿を産み塊を形成すると考えます。

以上を踏まえ補腎薬、化痰除湿、疏肝理気剤などの漢方薬を組み合わせてお飲み頂きます。

参茸補血丸

商品名からもわかるように人参と鹿茸を主にした補腎薬です。しかもこの鹿茸、龍眼肉、唐当帰は補血薬でもあります。腎気の低下また血虚体質の方にお勧めしたい商品です。
成分は唐当帰(からとうき)・黄耆(おうぎ)・人参(にんじん)・龍眼肉(りゅうがんにく)・鹿茸(ろくじょう)・杜仲(とちゅう)・牛膝(ごしつ)・巴戟天(はげきてん)です。胃腸に対しての負担が少なく安心してお飲み頂けますが、体質的な判断は店頭にして直接お尋ねください。

効能効果

次の場合の滋養強壮:虚弱体質・肉体疲労・病後の体力低下・胃腸虚弱・食欲不振・血色不良・冷え

4-3.効果について

西洋薬のようにすぐに結果がでるものではありませんが、二、三か月で体調に変化を感じる方が多く、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)であったとしても妊娠出産されているケースはたくさんあります。是非症状と体質に合った漢方薬をお勧めいたします。

4-4.副作用について

排卵誘発剤にみられるような副作用は漢方薬にはありませんが、場合によっては胃の不快感や発疹などがあらわれる場合があります。但し頻度的には少なく、ほとんどの場合は安心してお飲み頂けています。

5.漢方薬の購入方法・飲み方

5-1.漢方治療の注意点

前述しましたように食生活の乱れやストレスがホルモンのアンバランスとなり発症している可能性が考えられます。からだがこれ以上は無理とサインを出しているのだと思われます。

5-2.価格について

PCOSで漢方薬を飲まれる方の中には、すぐに子どもが欲しいと願っている妊活中の方から生理不順を解消したいだけの方まで様々です。それにより服用期間や予算にも違いがあります。詳しくは漢方薬局に直接お尋ねください。またご予算がある場合は事前におっしゃって下さった方が薬局側としても助かります。

6.漢方薬局の選び方のポイント

6-1.ホームページのコンテンツを確認

漢方薬局と言いましても色々とあります。皮膚病や自律神経系、あるいは坐骨神経痛など痛み系に強い漢方薬局などです。事前にホームページやチラシなどで多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)についてある程度の情報の記載がある薬局が一つの目安としても良いと思います。ただし記載がないからと言って対応できないとは言えません。直接店頭にてご確認ください。

6-2.無料の範囲で薬局の対応を確認

何を相談するにしましても薬局の相談員とお客様との相性があると思います。話しやすさ信頼できると感じる薬局が良いと思います。

6-3.直接相談できる

今や気軽にインターネットで漢方薬を購入できる時代です。ですが体調に関してはやはり直接対面で相談したうえで商品を購入されることをお勧め致します。販売する側もより確信をもって販売できます。

7.多嚢胞性卵巣症候群に関するよくある質問

Q.多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)で漢方薬を購入される方は多くいらっしゃいますか。
A.当店の場合ですと、以前不妊外来でそのように医師に言われたといってご来店になられる方がしばしばおられ、特別なことではありません。安心してご相談ください。

Q.多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と医師より診断されています。漢方薬を飲んで効果ははありますか。
A.産婦人科でPCOSと診断されても症状の程度は様々です。比較的軽度の場合が多いようですが、その場合は漢方薬で改善します。漢方薬をお飲み頂いて二、三か月程で生理が来たり、数か月で妊娠される方は珍しくはないと思います。お悩みの方は是非ご相談ください。

Q.基礎体温表を付けた方が良いでしょうか。
A.できれば付けて頂いた方が良いです。基礎体温表から様々な情報が得られますし、妊活の方はタイミングを取るためにも必須です。

Q.多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)で排卵誘発剤を服用していますが、漢方薬も一緒に飲めますか。
もちろん併用して頂いても相互作用の問題はありません。

Q.漢方薬の効果が出るのには時間がかかりますか。
症状の程度により差はありますが二、三か月か月程で基礎体温表に変化が見られ改善を実感されるようです。またその場合はすぐに止めるのではなく暫く継続して、体質改善されることをお勧めしています。

まとめ

以上が多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)のブログでしたが、いかがだったでしょうか。ご来店の8割が女性だからでしょうか? PCOSに悩む方は意外に多くおられます。ホルモンバランスは自律神経系など、からだ全体に影響を及ぼしますので、かかりつけの専門医かお近くの漢方薬局で是非相談してみてください。

十字屋平蔵薬局 店主 富居 博典

監修者

富居 博典
十字屋平蔵薬局 店主

所属研究会・勉強会
東洋漢方研究会/伝統漢方研究会緑健会日本中医薬研究会

東京薬科大学卒業後、総合病院・調剤薬局での実務経験を経て、漢方専門薬局『十字屋平蔵薬局』を開業。

漢方薬だけでなく病気や症状・治療薬・医療全般についても精通しており、一人一人の治療経過や薬歴を踏まえた提案・養生指導が好評を得ている。地域情報誌にて健康コラム『平蔵の漢方相談』を連載。15年以上続く長寿コーナーとなっており、長きにわたって地元の人々に親しまれている。


十字屋平蔵薬局