肝機能の改善法が知りたい! 効果的な漢方や飲み方・選び方とは?

十字屋平蔵薬局 薬剤師 富居博典

記事監修
十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典
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全身の倦怠感(けんたいかん)や食欲不振・足のむくみなどの症状に当てはまる方は、肝機能が低下しているかもしれません。肝臓は人間の体の中で1番大きな臓器であり、代謝機能・解毒作用・エネルギーの貯蔵・胆汁生成などの役割を担っています。肝機能が低下するほど、体にもさまざまな悪影響が現れるのです。近年、体質改善を目的とした「漢方」を用いる改善法が注目されています。しかし、漢方の効果を得るためには、基礎知識を身につけておかなければなりません。そこで、本記事では、肝機能の基礎知識や低下の原因・症状・漢方薬などについて詳しく説明します。

  1. 肝機能について
  2. 肝機能が落ちるとどうなるか
  3. こんなときは病院へ
  4. 肝機能の改善について
  5. 肝機能改善の薬・漢方薬について
  6. 肝機能と漢方に関してよくある質問

この記事を読むことで、肝機能の改善や効能のある漢方について詳しく知ることができます。改善したい方や症状で悩んでいる方は、ぜひチェックしてください。

1.肝機能について

肝機能を正常にするためには、その仕組み・良しあしの判断・低下する原因について知らなければなりません。ここでは、肝機能の基礎知識について説明します。

1-1.肝機能とは

肝臓の働きを肝機能と言い、代謝、解毒、胆汁の生成・分泌と3つの働きがあります。生きていくためには、必要不可欠な臓器の1つです。肝機能のメカニズムは3つが正常に働くことで成り立っています。それぞれの役割を以下にまとめてみました。

  • 代謝:食べものから吸収したたんぱく質・脂肪・糖を貯蔵し、必要なときにエネルギーとして供給する
  • 解毒:アルコール・薬・老廃物などの有害な物質を分解し、体に影響を及ぼさないように無毒化する
  • 胆汁の生成・分泌:肝臓で胆汁を生成・分泌し、老廃物を流して脂肪の消化吸収を助ける

1-2.肝機能の良しあしとは

肝機能の状態をチェックする場合は、肝機能検査を行います。肝機能検査の基本は血液検査であり、血液中の数値で肝機能の良しあしを判断する流れです。それぞれの数値と内容は以下のとおりになります。

  • AST(GOT)とALT(GOT):幹細胞に多く含まれる酵素/基準値35U/L以下
  • γ-GTP:幹細胞・胆管細胞にある酵素/55U/L以下
  • ALP:肝臓・胆管に多く含まれる酵素/340U/L未満
  • LDH:肝臓などさまざまな場所で作られる酵素/230U/L未満
  • 総ビリルビン:赤血球のヘモグロビンが寿命を終えたもの/1.1mg/dl以下
  • コリンエステラーゼ:肝細胞で作られる酵素/男性は234~493IU/L、女性は200~452IU/L
  • 総たんぱく:肝臓で合成を行っているたんぱく質/6.5~8.0g/dl

1-3.なぜ落ちてしまうのか

肝機能が低下する原因は、お酒の飲み過ぎとイメージする人が多いでしょう。確かに、お酒の飲み過ぎも原因の1つですが、不規則な生活習慣や偏った食生活・睡眠不足・ストレス・喫煙・便秘もよく見られます。

2.肝機能が落ちるとどうなるか

肝機能のよくある症状や自覚症状・セルフチェック・放置の危険性・関連する病気について説明します。

2-1.よくある症状

肝機能が低下したときは、黄疸(おうだん)が現れます。黄疸(おうだん)は、肝機能低下の最も特徴的な症状です。眼球や皮膚が黄色く変色する症状となります。また、体のだるさや倦怠感(けんたいかん)・脱力感・過度の眠気・微熱・不眠など全身に見られる疲労症状が代表的です。ほかにも、体重減少・吐き気・食欲不振・体のかゆみ・膨満感(ぼうまんかん)などが挙げられます。

2-2.自覚症状について

肝臓は、沈黙の臓器と呼ばれているように、自覚症状がほとんどありません。肝臓そのものが痛むことがなく、ほとんどの人がいつの間にか機能を低下させている恐れがあります。最も分かりやすい症状は、黄疸(おうだん)ですが、黄色人種である日本人は分かりにくいでしょう。そのため、肝臓の機能低下で見られるあらゆる症状をきちんと把握する必要があります。

2-3.セルフチェックはできるか?

肝機能が低下しているかどうか、以下の項目をチェックしてください。項目に当てはまる人ほど、肝臓に疲労がたまり、機能低下の可能性があります。

  • 目覚めが悪い
  • 疲れやすくなった
  • 食欲がないときがある
  • 吐き気やおなかの張りがある
  • 微熱が続く
  • 寒気がするときがある
  • のどの痛みを感じる
  • 関節が痛いことがある
  • 体がかゆい
  • 手の平が赤い
  • 爪が白くにごる・縦じわが入っている
  • 皮膚に赤い斑点ができる
  • 白目が黄色い

2-4.放置するとどうなるか?

肝機能の低下を放置すれば、肝機能障害が進行し、肝臓が硬くなる肝硬変や肝臓がんなどの病気へ発展してしまう恐れがあります。最悪な状態になれば、命を失うこともあるのです。また、肝硬変にまで進行してしまうと、さまざまな症状が現れるでしょう。たとえば、首や肩・胸などに赤い斑点が現れたり、おなか付近の静脈が浮き出たり、生殖器の機能が著しく低下したりする症状です。進行する前に、治療を始めなければなりません。

2-5.関連する病気について

肝機能低下によって起きやすくなる病気は、肝硬変・肝臓がんだけではありません。ウイルス肝炎・脂肪肝・非アルコール性脂肪肝炎(NASH)・自己免疫性肝疾患・胆汁うっ滞・胆石症などが挙げられます。さまざまな病気へと進行する恐れがあるため、早期治療が大切です。

3.こんなときは病院へ

症状によっては、すぐに病院へ行かなければならない場合があります。病院へ行くべき症状と検査・治療法について確認していきましょう。

3-1.病院へ行くべき症状

皮膚が黄色みがかっている・目の白目部分が黄色くなる「黄疸(おうだん)」が現れたときは、肝機能障害の初期症状となります。同時に、全身のだるさや食欲不振が見られる場合は、肝機能低下の可能性が高いのですぐに病院へ行きましょう。また、普段と異なる症状が数日間続く場合も、検査してもらったほうがいいです。

3-2.検査・治療法

肝機能が正常かどうか調べる方法は血液検査です。血液中にどのような成分が含まれているか、正常値と比較しながら検査します。また、基準値をはずれた場合は要精密検査となり、超音波エコー検査などを行うことになるのです。原因を突き止めた上で、適切な治療法を行います。主な治療法は、十分な栄養を摂(と)る・アルコールなどを避ける生活習慣の改善です。ウイルスや菌などを取りのぞく薬を用いることもありますが、ほとんどは規則正しい生活の指導になるでしょう。

4.肝機能の改善について

肝機能の改善が必要な症状や日常生活の改善ポイント・してはいけないことなどについて説明します。

4-1.改善が必要な症状

全身のだるさや食欲不振などの全身症状・黄疸(おうだん)が現れた場合は、早めの改善が必要です。放置するほど状態が悪化してしまうため、すぐに生活を見直し、肝機能を正常に戻す努力をしなければなりません。肝機能低下の症状が出てきた場合は、生活習慣を見直すべきときです。

4-2.日常生活での改善ポイント

日常生活でできる改善ポイントはたくさんあります。ここでは、食生活・生活習慣を中心に改善ポイントを押さえておきましょう。

4-2-1.食生活

まずは、食生活の改善です。ファストフードやコンビニ食品などのすぐに食べられるものはたくさんありますが、栄養が偏ってしまいます。できれば、自炊を心がけて、栄養バランスの良い食事を摂(と)りましょう。肝機能がアップする成分と言われているのは、アリシン・タウリン・セサミン・スルフォラファンです。アリシンは玉ねぎやにんにく、タウリンはシジミなどの貝類、セサミンはごま、スルフォラファンはブロッコリーや芽キャベツなどに含まれています。また、リンゴ・グループフルーツに含まれている成分も、肝機能アップに効果的です。

4-2-2.生活習慣

肝臓をいたわる生活を基本に、規則正しく過ごすことが大切です。栄養バランスの良い食生活はもちろん、適度な運動や十分な睡眠がポイントとなります。また、過剰なストレスにも要注意です。ストレスは自律神経が乱れる原因となり、肝機能が低下します。ストレスを感じたときはリラックスできる時間を確保するなど、ストレスフリーの生活が好ましいです。

4-3.してはいけないこと・注意点

規則正しい生活を送っていても、毎日アルコールを摂取すれば意味がありません。アルコールの成分は、肝臓に大きな負担をかけてしまいます。毎日飲めば解毒作用が間に合わず、肝臓が弱ってしまうのです。アルコールは程々にして、休肝日を設けてください。また、若い女性に多く見られるのが、過度なダイエットです。肥満は肝機能低下の原因となりますが、食事制限などの過度なダイエットは、逆に肝臓へ負担をかけてしまいます。あくまで、肝臓を休めることが大切です。

5.肝機能改善の薬・漢方薬について

肝機能をアップさせる方法として、漢方に注目が集まっています。漢方薬は体に負担をかけることなく、虚弱体質など本質的な部分の改善が可能です。ここでは、漢方の考え方や効果のある種類などについて説明します。

5-1.漢方における肝機能低下の考え方

漢方において、肝臓は「肝(かん)」と呼ばれています。肝は、エネルギーとなる「気」の流れをコントロールする場所であり、自律神経系・新陳代謝の機能・内臓の働きをスムーズに保つ役割を担っているのです。さらに、血を貯蔵し、必要に応じて供給する調節機能も担っています。つまり、肝(かん)は気と血の調和によって働きが保たれているのです。肝機能が低下するのは、気と血の乱れと考えられています。

5-2.どんな漢方薬があるか

肝機能低下に用いられる漢方薬は、体質・症状のタイプによって異なります。タイプに適した漢方薬を、以下にピックアップしてみました。

  • 星火逍遥丸(せいかしょうようがん):ストレスにより体調の変化が大きい人
  • 加味逍遥散(かみしょうようさん):精神的に不安定に陥りやすい人
  • 冠元顆粒(かんげんかりゅう):血液の質が低下し、肩こりや頭痛・生理痛などの痛みがひどい人
  • 杞菊地黄丸(こぎくじおうがん):潤いが足りていない人

ほかにも、小柴胡湯(しょうさいことう)・大柴胡湯(だいさいことう)・補中益気湯(ほちゅうえっきとう)・十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)などが使われます。

5-3.効果があるとされる成分とは

漢方薬は、複数の生薬が混ざり合っているものです。肝機能の低下に効果的な生薬と言えば、甘草(かんぞう)が挙げられます。甘草(かんぞう)に含まれるグリチルリチンが、肝機能障害の改善につながるのです。また、炎症を抑制する柴胡(さいこ)や黄ごん・半夏(はんげ)などもあります。

5-4.選び方

漢方の効果を実感するためには、体質・症状に合った種類を選ばなければなりません。市販でも手に入りますが、漢方薬局に相談して選んでもらったほうが安心して服用できます。「十字屋平蔵薬局」は的確な処方と養生指導を行っており、多数の人が訪れる漢方薬局です。薬の併用もアドバイスしているので、ぜひ1度相談してみてはいかがでしょうか。

5-5.飲み方

漢方は毎日飲み続けることが大切です。基本的に、いつ飲んでも構いませんが、効果的な時間帯は食事30分前と2時間後と言われています。空腹時が漢方の有効成分を吸収しやすいのです。また、漢方薬の形状も煎じ薬・散剤・丸薬・錠剤などさまざまな種類があります。漢方独特の味が苦手な方は、丸薬・錠剤を利用してください。

5-6.副作用について

漢方の副作用は、西洋薬よりも少なめです。しかし、まったくないとは言えません。体質・症状に合っていない種類を服用すれば、吐き気・発疹(ほっしん)・めまい・頭痛などの副作用が起きてしまいます。もし、副作用が見られた場合は、すぐに服用をやめましょう。

5-7.注意点

漢方は西洋薬とは違い、すぐに効果が現れません。長く飲み続けることで、少しずつ効果が出てくるものです。最低でも3か月は飲み続けましょう。「1か月飲んでも効果がないから」と服用をやめないようにしてくださいね。

6.肝機能と漢方に関してよくある質問

肝機能と漢方に関してよくある質問を5つピックアップしてみました。

6-1.早期発見のコツとは?

肝機能低下の症状を知り、疑いの目を向けることが早期発見につながります。また、肝機能低下による病気を見つけるためには、人間ドックや定期検診を受けることが大切です。年に1回は、定期検診を受けてください。

6-2.市販の薬を服用してもいいのか?

肝機能をアップするために、市販の薬を使う方がいます。しかし、自己判断で勝手に薬を服用するのは危険です。特に、市販の薬は刺激物が含まれているため、副作用が表れる可能性があります。市販ではなく、きちんと漢方薬局で処方されたものを服用してください。

6-3.漢方薬が不適な肝臓病とは?

肝臓病によっては、漢方治療ではなく西洋医学的治療を行うべきものがあります。それは、肝がん、肝性脳症、胃・食道静脈瘤、悪性腫瘍です。これらは、深刻な状態となるため、早めに西洋医学的治療を施さなければなりません。

6-4.肝機能障害とは?

肝機能の低下が長く続けば、肝臓へのダメージが大きくなり、修復が追いつかなくなります。そして、本来持っているはずの肝臓機能が著しく低下してしまうのです。今までできていた肝臓の機能が働かなくなる状態のことを、肝機能障害と言います。

6-5.漢方にかんする相談がしたい

漢方にかんする相談がしたいときは、「十字屋平蔵薬局」の相談窓口を利用してください。電話またはホームページのフォームから相談可能です。1人で悩みを抱えるよりも、漢方の専門家に尋ねたほうが安心して服用できます。

まとめ

いかがでしたか? 肝機能が低下すると、体のだるさや黄疸(おうだん)・食欲不振・不眠などさまざまな症状が出てきます。放置するほど症状が進行し、肝硬変や肝臓がんなどの病気に進展する恐れがあるのです。自覚症状がほとんどないので、いつの間にか悪化する可能性があります。早めに改善するためにも、症状を把握しておかなければなりません。また、肝機能低下の治療法として、漢方薬が挙げられます。西洋薬よりも副作用は少なめですが、体質・症状に合った種類を選ぶことが大切です。漢方薬局に相談した上で、適切な漢方薬を正しく服用してくださいね。きちんと知識を持っておけば、スムーズに効果を得ることができます。

十字屋平蔵薬局 店主 富居 博典

監修者

富居 博典
十字屋平蔵薬局 店主

所属研究会・勉強会
東洋漢方研究会/伝統漢方研究会緑健会日本中医薬研究会

東京薬科大学卒業後、総合病院・調剤薬局での実務経験を経て、漢方専門薬局『十字屋平蔵薬局』を開業。

漢方薬だけでなく病気や症状・治療薬・医療全般についても精通しており、一人一人の治療経過や薬歴を踏まえた提案・養生指導が好評を得ている。地域情報誌にて健康コラム『平蔵の漢方相談』を連載。15年以上続く長寿コーナーとなっており、長きにわたって地元の人々に親しまれている。


十字屋平蔵薬局