咳に効果的な漢方は? 咳を止めるためのポイント

十字屋平蔵薬局 薬剤師 富居博典

記事監修
十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典
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風邪でもないのに咳(せき)が続く原因がわからないといった症状で悩んでいる方は多いでしょう。咳(せき)が続くのは、何かしらの原因があります。改善するためには、原因を突き止めなければなりません。しかし、処方された薬を服用しても改善できない場合があります。また、薬では刺激が強すぎて、体に合わない場合もあるでしょう。そんなときに利用できるのが、漢方薬です。漢方薬を有効に使うためには、正しい選び方や飲み方などを把握しておかなければなりません。

そこで本記事では、咳(せき)の基礎知識や治療・通院、漢方の基礎知識、咳(せき)に効果的な漢方薬、注意点について説明します。

  1. 咳について
  2. 咳の治療・通院について
  3. 漢方と咳について
  4. 咳に悩んでいる方のための漢方薬
  5. 漢方薬についての注意点
  6. 咳と漢方に関してよくある質問

この記事を読むことで、咳(せき)の漢方治療について詳しく知ることができます。悩んでいる方や治療したい方は、ぜひ参考にしてください。

1.咳について

漢方治療について知る前に、咳(せき)の基礎知識を身につけることが大切です。咳(せき)を止めるためにも、主な原因や症状・考えられる病気・放置の危険について確認しておきましょう。

1-1.咳について

咳(せき)は、気道内の分泌物や異物を除去することを目的とした短く吐きだす強い息のことです。肺の防御反応の1つとなり、咳嗽(がいそう)とも呼ばれています。咳(せき)のメカニズムはシンプルです。異物が入り込むと、咽頭(いんとう)や気管・気管支などの粘膜表面にあるセンサー・咳(せき)受容体が感じ取ります。その刺激が脳の咳(せき)中枢へ伝わり、呼吸筋に指令が送られて咳(せき)が起こる仕組みです。この反射運動のことを咳(せき)反射と言います。

1-2.主な原因

咳(せき)の主な原因は、ウイルス・細菌です。外部からやってきたウイルス・細菌が気道粘膜に接触し、粘液と絡み合います。粘液は気道粘膜を潤しているもので、ウイルス・細菌と絡み合うことで「痰(たん)」が発生する仕組みです。痰(たん)を外に向かって追い出そうとするときに起きるのが咳(せき)であり、炎症が起きるほど痰(たん)が増えます。ほかにも、喫煙や大気汚染・病気なども原因の1つです。

1-3.主な症状

呼吸がうまくできない・空咳(からせき)が長く続く・のどの違和感が気になるなど、さまざまな症状があります。症状の現れ方によって、原因や考えられる病気がわかるでしょう。たとえば、痰(たん)を伴わない乾いた咳(せき)を乾性咳嗽(かんせいがいそう)・空咳(からせき)と言います。逆に、痰(たん)を伴う湿ったものは湿性咳嗽(しっせいがいそう)です。どのような症状が現れているのか、ぜひ確認してみてください。

1-4.考えられる病気

乾性咳嗽(かんせいがいそう)が長く続く場合は、間質性肺炎・異型肺炎・胸膜炎(きょうまくえん)などの肺炎を示唆することがあります。湿性咳嗽(しっせいがいそう)の場合は、肺水腫(はいすいしゅ)・炎症性病変を起こす可能性があるのです。また、咳(せき)が3~8週間以上続く場合は、咳喘息(せきぜんそく)・アトピー咳嗽(がいそう)・副鼻腔(ふくびくう)気管支症候群になっている可能性があります。

1-5.放置するとどうなるか

咳(せき)は、考えられる病気の症状として現れることがあります。よって、放置するほど病気が進行してしまい、咳(せき)の発作が激しくなったり、胸に痛みを感じたりするでしょう。最悪な状態になれば、失神することもあります。また、咳喘息(せきぜんそく)から本格的な喘息(ぜんそく)に移行してしまうこともあるため、早めに治療を始めることが大切です。

2.咳の治療・通院について

それでは、咳(せき)はどのように治療をすればいいのでしょうか。病院へ行くべき症状や受診すべき診療科・検査法・治療法・セルフケアについて説明します。

2-1.病院へ行くべき症状

風邪は治ったのに咳(せき)が続く・1週間以上咳(せき)が続くなどの場合は、病院での検査をおすすめします。咳(せき)が長引くほど、治療の選択肢も狭まるので早めに受診してください。また、咳(せき)の原因として、高血圧の薬に使われるACE阻害薬が関係している可能性があります。医療用の薬を服用している方も、担当の医師に相談してください。

2-2.どこへ受診するか?

咳(せき)が止まらない場合は、耳鼻咽喉科・内科・呼吸器科で診てもらう方が多いようです。症状によって、受診する診療科が異なるため、それぞれの特徴を把握しておきましょう。

  • 耳鼻咽喉科:痰(たん)が絡む・のどの調子が悪い・風邪の症状が見られた場合
  • 内科:咳(せき)の原因がわからない場合
  • 呼吸器科:咳(せき)が止まらず、症状がひどい場合

2-3.検査法

咳(せき)の原因は幅広いため、さまざまな検査が行われます。まずは、医師による問診・視診になるでしょう。どのような咳(せき)が出るのか、いつから出ているのかなど、できるだけ具体に伝えてください。それから、胸部レントゲン写真撮影や肺機能検査・血液検査・呼気中一酸化窒素濃度などの検査が行われます。

2-4.主な治療方法

主な治療法は、喘息(ぜんそく)の治療と同じく、気管支の炎症を抑える薬物治療となります。一般的に、気管支を拡張させる気管支拡張薬や吸入・経口ステロイド薬が使われることがほとんどです。咳(せき)がひどい場合は、先に気管支拡張薬を使います。そして、ある程度治まれば、吸入ステロイド薬を使用して炎症を抑える流れです。ほかにも、抗アレルギー薬や漢方薬を用いることもあります。

2-5.セルフケアについて

医療機関で行う治療と同時に、自分でできるケアもすすんで行うことが大切です。セルフケアの基本は、風邪・ウイルス・細菌に注意するとともに、規則正しい生活習慣を送ることとなります。栄養バランスの良い食事・睡眠・適度な運動の3点がそろった生活を送ることで、ウイルス・細菌が防止可能です。また、飲酒や喫煙を控え、ストレスをためこまないように注意してください。

3.漢方と咳について

薬物では刺激が強すぎて、治療が受けられない方がいます。そんな方には、副作用の少ない漢方治療がおすすめです。ここでは、漢方における咳(せき)の考え方や作用について説明します。

3-1.漢方における咳の考え方

漢方には、気・血・水という3つの要素があり、これらのバランスが整っているからこそ健康的な体が保(たも)てるとされています。気は生命エネルギー・神経機能、血は血液、水は血液以外の体液を指しているのです。咳(せき)が止まらないのは、体の水分が奪われている証拠となります。漢方でいうと、水のバランスが崩れた「水毒(すいどく)」が起きているのです。

3-2.漢方薬の作用について

漢方薬の目的は、気・血・水のバランスをもとに戻すことであり、体質改善です。咳(せき)が続く場合は、体の内側から水のバランスを整えて、気道を潤さなければなりません。足りていない水分を補い、気道を潤すことで咳(せき)を出にくくします。西洋医学は症状を改善しますが、東洋医学における漢方は体の内側から改善する考え方です。

4.咳に悩んでいる方のための漢方薬

それでは、咳(せき)に悩んでいる方のための漢方薬を紹介します。

4-1.おすすめの漢方薬

咳(せき)が長引くときにおすすめの漢方薬は以下のとおりです。

  • 麦門冬湯(ばくもんどうとう):気管支喘息(ぜんそく)や咽頭(いんとう)の乾燥感・痰(たん)が出る場合
  • 柴朴湯(さいぼくとう):気分がふさぐ・食道部に異物感がある場合など
  • 小青竜湯(しょうせいりゅうとう):やや虚弱体質で痰(たん)を伴う場合
  • 麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう):のどが渇くような咳(せき)が出る場合など
  • 五虎湯(ごことう):咳(せき)が強く出る場合
  • 神秘湯(しんぴとう):息苦しさが伴う場合

4-2.成分について

漢方薬は、複数の生薬が組み合わさってできています。水のバランスを保ち続ける生薬は、麻黄(まおう)や杏仁(きょうにん)・桂皮(けいひ)・甘草(かんぞう)という成分が代表的です。ただし、麻黄(まおう)は高齢者や心臓病をわずらっている人・胃腸が弱い人・腎機能障害のある人には刺激が強すぎます。吐き気・頭痛などの副作用が起きる可能性があるので注意してください。

4-3.効果について

漢方薬の効果に即効性はありません。服用すればすぐに症状が治まるわけではなく、長期間飲み続けることで効果が現れます。最低でも3か月は飲み続けてください。中には、2週間~1か月で効果を実感している人もいますが、長い目で見ることが大切です。

4-4.子ども・高齢者の場合

基本的に、漢方薬は副作用が少ないため、子どもや高齢者でも気軽に服用できると言われています。しかし、漢方薬の中には刺激的な生薬も含まれているので注意が必要です。その人の体質や症状によっては、副作用が起きる可能性があります。

4-5.注意点

薬物治療よりも副作用は少ないですが、まったくないわけではありません。症状や体質に合っていない漢方薬であれば、副作用が起きることもあります。漢方の効果を実感するためには、選び方が大切です。

5.漢方薬についての注意点

漢方治療を始めるために、漢方薬が処方される場所・漢方薬局の基礎知識・相談方法・費用・飲み方の注意点などについて詳しく知ることが大切です。それでは、早速確認していきましょう。

5-1.どこで処方されるか?

漢方薬が手に入る場所は、医療機関・漢方専門店・ドラッグストアです。近年は、漢方治療を取り入れる医療機関が増えてきています。ドラッグストアでも簡単に手に入りますが、おすすめしません。なぜなら、市販の漢方薬は体質・症状に合っているか判断しにくいからです。体質・症状に合っている漢方を服用するからこそ、順調に改善できます。自分に合っているものを選ぶためには、漢方専門店に相談したほうがいいでしょう。

5-2.漢方薬局とは?

漢方薬局は、漢方を専門とした薬局のことです。漢方に詳しく、症状や体質を判断して適した種類をピックアップします。処方の実績や経験があるところほど、安心して依頼できるでしょう。漢方薬局の「十字屋平蔵薬局」は、的確な処方と養生指導を徹底して行い、遠方からの来店者も多数います。

5-3.相談方法

咳(せき)の症状や漢方にかんする悩みを抱いている方は、漢方薬局に相談してください。「十字屋平蔵薬局」は、電話またはホームページのフォームにて相談を受けつけています。薬剤師も在籍しているため、薬の併用もアドバイスしている漢方薬局なので、ぜひ相談してください。

5-4.費用について

漢方薬=費用がかかる、と思っていませんか? 確かに、生薬によっては高めの漢方薬もありますが、平均費用は1週間でおよそ3,000~5,000円です。気軽に飲み続けることができる漢方薬もあるため、費用に関しても相談してみてください。長期的に飲み続けることが大切なので、家計に負担のかからない値段が理想的です。

5-5.飲み方の注意

飲み方によっては、漢方の有効成分が吸収しにくくなる恐れがあります。効果を実感するためにも、飲み方の注意点を確認しておきましょう。

5-5-1.いつまで飲むのか

漢方薬は、最低でも3か月間飲み続けることが大切です。長期的に飲み続けることで効果が実感できますが、3か月以上経過しても効果が得られない場合があります。その場合は、体質・症状に合っていない可能性があるため、漢方薬局に相談しましょう。

5-5-2.西洋薬との飲み合わせ

漢方薬は、西洋薬との飲み合わせが可能です。しかし、薬の種類と生薬によっては飲み合わせがNGとなる場合もあります。西洋薬を服用している方は、漢方薬を利用する前に担当医師へ相談してください。きちんと確認してから、漢方薬を利用しましょう。

5-5-3.副作用

体質・症状に合っていない場合は、副作用が出てきます。たとえば、麻黄(まおう)と呼ばれる生薬の場合、血圧上昇・動悸(どうき)・食欲不振・吐き気、桂皮(けいひ)は発疹(ほっしん)・かゆみなどです。甘草(かんぞう)は、血圧上昇・だるさ・むくみなどの副作用が現れます。飲み方が悪い可能性もあるため、副作用が現れたときはすぐに服用をやめて、漢方薬局または医療機関に相談してください。

5-5-4.消費期限について

副作用の消費期限は、処方された分となります。30日分の漢方薬となれば、その使用期限は30日間です。消費期限を過ぎた漢方薬に効果はないと言えませんが、できれば期限内で服用してください。処方されたときに、消費期限も確認しておきましょう。

6.咳と漢方に関してよくある質問

咳(せき)と漢方に関してよくある質問を5つピックアップしてみました。

6-1.咳の予防策とは?

規則正しい生活習慣にするだけでなく、のどのケアも積極的にしてください。たとえば、こまめなうがい・マスクの着用・部屋の掃除・水分補給・加湿などが挙げられます。気道の粘膜を乾燥させないこと・潤すことが大切なポイントです。

6-2.痰の色で原因がわかるのは本当か?

痰(たん)が出るときは、体が何かしらの異物に対抗している証拠です。痰(たん)の色がついている場合は、ウイルス・細菌が含まれている証(あか)しであり、色によって考えられる病気が挙げられます。たとえば、黄色・白っぽい黄色の場合は急性気管支炎・急性肺炎、緑色の場合は慢性気管支炎・気管支拡張症などが考えられるでしょう。

6-3.咳喘息の診断基準とは?

病歴を尋ねた上で、以下の項目を基準に、咳喘息(せきぜんそく)として判断します。

  • 喘鳴(ぜんめい)を伴わない咳(せき)が8週間以上続く
  • 喘鳴(ぜんめい)・呼吸困難などを伴う喘息(ぜんそく)に今までかかったことがない
  • 気道が過敏になっている
  • 8週間以内に上気道炎(風邪)にかかっていない
  • 気管支拡張薬が有効な場合
  • 咳(せき)を引き起こすアレルギー物質などに反応して、咳(せき)が出る
  • 胸部レントゲンで異常が見つからない

6-4.漢方薬はどのタイミングで飲むべきか?

基本的に、漢方薬はいつ飲んでも良いとされています。しかし、有効成分が吸収しやすい時間とされているのは食前と食間です。食前は食事の30分前まで、食間は食事の2時間後となります。空腹時は、漢方の有効成分が吸収しやすくなるのです。

6-5.漢方の効果をアップさせるコツとは?

規則正しい生活習慣を続けていきましょう。漢方は、体質改善を目的としています。基盤となる生活が不規則になれば、漢方を服用しても有効成分が吸収できず、効果が得られません。昼夜逆転生活を送っている方は、この機会に正していきましょう。

まとめ

いかがでしたか? 咳(せき)は「放置していれば自然と治る」と思う方が多いでしょう。しかし、ウイルス・細菌が気道内に入り込み、炎症を起こしている場合があります。気管支拡張症や急性気管支炎などの病気が原因となる場合もあるため、早めに治療を始めなければなりません。しかし、薬物治療が体質的に合わず、悩んでいる方も多いと思います。そんなときこそ、漢方薬を利用してください。漢方薬は、西洋薬よりも副作用が少なく、体に負荷がかかりません。ただし、体質・症状に合っている漢方薬を服用することが大切なので、漢方薬局に相談しましょう。きちんと基礎知識を身につけておけば、漢方の効果が実感でき、咳(せき)を止めることができます。

十字屋平蔵薬局 店主 富居 博典

監修者

富居 博典
十字屋平蔵薬局 店主

所属研究会・勉強会
東洋漢方研究会/伝統漢方研究会緑健会日本中医薬研究会

東京薬科大学卒業後、総合病院・調剤薬局での実務経験を経て、漢方専門薬局『十字屋平蔵薬局』を開業。

漢方薬だけでなく病気や症状・治療薬・医療全般についても精通しており、一人一人の治療経過や薬歴を踏まえた提案・養生指導が好評を得ている。地域情報誌にて健康コラム『平蔵の漢方相談』を連載。15年以上続く長寿コーナーとなっており、長きにわたって地元の人々に親しまれている。


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