中耳炎を治すポイントは?症状・原因・漢方薬について

十字屋平蔵薬局 薬剤師 富居博典

記事監修
十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典
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「耳が痛い」「耳から膿(うみ)が出始めた」などの症状は、中耳炎になっている可能性があります。中耳炎は子どもに起きやすい症状と言われていますが、大人がかかってしまうと耳の痛みが強くなりがちです。日常生活が困難になるほどの痛みに襲われるため、早めに処置を施さなければなりません。中耳炎の正しい治療を受けるためには、知識を習得することが大切です。中耳炎の治療法は薬物療法が一般的ですが、体質が合わない場合は副作用が表れます。そんなときは、副作用の少ない漢方薬が効果的です。また、漢方薬は体質改善を目的としているため、中耳炎の根本的な改善ができるでしょう。

そこで本記事では、中耳炎の基礎知識や漢方の選び方・飲み方について説明します。

  1. 中耳炎の基礎知識
  2. 中耳炎と漢方について
  3. 漢方薬の飲み方と購入方法について
  4. 中耳炎と漢方に関してよくある質問

この記事を読むことで、中耳炎の症状や原因・改善法などについて知ることができます。知りたい方や治療したい方は、ぜひ参考にしてください。

1.中耳炎の基礎知識

中耳炎を改善するためには、どのような病気なのか基本情報を知ることが大切です。症状や原因・種類・なりやすい人・放置の危険について詳しく説明します。

1-1.中耳炎とは?

耳は、外側から外耳(がいじ)・中耳(ちゅうじ)・内耳(ないじ)と3つの区画にわかれていることをご存じでしょうか。それぞれの区画が役割を果たすからこそ、外の音をひろい認識することができます。中耳炎は、中耳(ちゅうじ)の部分が炎症状態になることです。中耳(ちゅうじ)は空洞になっており、内腔(ないくう)は粘膜で包まれています。この粘膜があるからこそ、聞こえという機能を保つことができるのです。また、中耳(ちゅうじ)は、換気機能と菌を排出する機能があります。

1-2.主な症状

中耳炎の主な症状は、痛み・耳垂れ(膿が出ること)・発熱などが挙げられます。耳に違和感があり、聞こえづらくなるケースもあるようです。また、常に耳の中に水が入っている感覚になるため、気持ち悪くなる場合もあります。耳の状態が気になりすぎて集中力が落ちたり、ぼーっとしたりすることが増えるでしょう。

1-3.主な原因

中耳炎の原因は人によってばらばらですが、1番に考えられるのは細菌です。細菌が耳や鼻から耳管(じかん)をとおって入り、中耳(ちゅうじ)まで行きわたって炎症を起こします。風邪の悪化による中耳炎がほとんどです。そのため、風邪を引いたときは、中耳炎にも気をつけなければなりません。

1-4.種類について

中耳炎は、急性中耳炎と滲出性(しんしゅつせい)中耳炎の2種類があります。急性中耳炎は、風邪や感染症が原因で急に耳が痛くなり、発熱や耳垂れなどの症状が現れるでしょう。短時間で症状が治まるケースがほとんどです。一方、滲出性(しんしゅつせい)中耳炎は、痛み・発熱・耳垂れなどの症状が現れず、なかなか気づきにくい傾向があります。急性中耳炎とは異なり、治療に時間がかかるでしょう。

1-5.なりやすい人

中耳炎になりやすい人は、免疫力が低下している人です。もとから虚弱体質で、すぐに風邪を引くという方も多いでしょう。また、不規則な生活習慣や疲れで免疫力が低下することもあります。免疫力の低下は、外部からやってくる菌を退治する力が弱まるため、風邪を引きやすく、中耳炎にもなりやすいのです。

1-6.放置するとどうなるか

中耳炎を放置すれば、慢性中耳炎・癒着性(ゆちゃくせい)中耳炎・真珠腫性(しんじゅしゅせい)中耳炎に進行するリスクが高まります。それぞれの特徴を以下にまとめました。

  • 慢性中耳炎:鼓膜に穴が開いた状態。聴力の低下や耳垂れの症状が悪化する
  • 癒着性(ゆちゃくせい)中耳炎:鼓膜が中耳(ちゅうじ)とくっつき、空洞がなくなる。耳鳴りやめまい・頭痛などを併発しやすい
  • 真珠腫性(しんじゅしゅせい)中耳炎:鼓膜の奥に、耳垢(あか)の塊である真珠腫(しんじゅしゅ)ができる。顔面神経麻痺(まひ)や痛み・めまい・頭痛などを併発しやすい

治療が遅くなるほど、症状が悪化するため、治りも遅くなります。できるだけ、早めに病院へ行き、治療を受けましょう。

2.中耳炎と漢方について

中耳炎の治療法として、漢方薬が注目されています。漢方は体質改善を目的とした、中国由来の医学です。漢方における中耳炎の考え方や効果のある種類・副作用などについて詳しく説明します。

2-1.漢方における中耳炎の考え方

漢方の基本的な考え方は、気・血・水の3要素です。健康的な体は、3要素のバランスが成り立っているからこそ保ち続けられると考えられています。体に異常が現れたときは、どれかがバランスを失っている証拠です。中耳炎は、たまった膿(うみ)や入り込んできた菌・浸出液が原因となっているため、水毒(すいどく)と捉えています。水が滞っている状態です。改善するためには、水毒(すいどく)を体の外に出して、自然治癒力を高めなければなりません。

2-2.漢方治療が向いている場合

病院で行う治療は、基本的に薬物治療です。しかし、刺激に弱い体質の方は、薬物治療が大きな負担となります。薬物治療は負担がかかる・副作用が怖い・免疫力が低く虚弱体質という方は、漢方治療が向いているでしょう。漢方薬は、医薬品よりも副作用が少なめなので、体に大きな負荷はかかりません。また、飲み続けることで、虚弱体質が改善できる可能性もあります。

2-3.効果のある漢方薬とは

中耳炎に効果的な漢方薬は以下のとおりです。

  • 排膿散及湯(はいのうさんきゅうとう):熱・炎症を冷まし、化膿(かのう)した部分の膿(うみ)を排出する
  • 柴胡清肝湯(さいこせいかんとう):熱・炎症を冷まし、自律神経を整える。神経質で体力がない人向き
  • 柴苓湯(さいれいとう):体内の余分な水分を取りのぞき、熱・炎症を抑える。水の停滞が見られる人向き
  • 荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう):熱・炎症の冷却作用がある。化膿(かのう)・炎症を起こしやすい人向き
  • 黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう):胃腸の調子を整え、余分な水分を取りのぞく

2-4.効果について

漢方薬は即効性がありません。長く飲み続けることで、漢方の有効成分が体の中に蓄積され、少しずつ効果が現れます。効果が実感できるまで、最低3か月以上はかかるでしょう。中には、2週間で効果が現れる方もいますが、長期間を視野に服用してください。

2-5.副作用について

医薬品よりも副作用が少ないことは事実ですが、必ずしもないとは言えません。体質や症状に合っていない漢方薬を服用したり、間違った飲み方をしたりすれば、頭痛・めまい・吐き気などの副作用が現れます。副作用が見られたときは、すぐに服用をやめましょう。

2-6.子どもの場合

子どもは大人よりも免疫力が弱く、中耳炎になりやすいと言われています。子どもの中耳炎は、早めに改善することが大切です。いつの間にか、慢性中耳炎になってしまい、症状をくり返す恐れがあります。そのまま大人になれば、聴覚障害が起きることもあるのです。特に、意志表示がうまくできない赤ちゃんは注意しなければなりません。生後5か月~3歳までは、最も中耳炎になりやすい時期と言われています。常に、子どもの様子を見て、親が異変に気づくことが大切ですよ。

2-7.注意点

市販の漢方薬を服用している方は多いでしょう。しかし、市販は何が入っているのかわかりませんし、体質や症状に適切かどうかも判断しにくいのでおすすめしません。きちんと体質・症状に合った漢方薬を服用したほうが、スムーズに効果が現れるでしょう。

3.漢方薬の飲み方と購入方法について

漢方薬の飲み方と購入方法について詳しく見ていきましょう。

3-1.漢方治療の注意点

漢方の効果が実感できるかどうかは、飲み方・選び方にかかっています。正しい知識を把握することが大切ですよ。

3-1-1.飲み方

漢方薬を服用するタイミングは、食事30分前と2時間後がベストです。空腹時の胃は、酸性になっており、漢方薬の有効な成分の吸収率が高くなります。逆に、食事中に服用すれば、有効成分が吸収できなくなるので注意してください。また、漢方薬には、煎じ薬・錠剤・エキス製剤・散剤などと、さまざまな形状があります。独特の苦い味が苦手な方は、錠剤または丸薬がおすすめです。自分が飲みやすい形状を選んでくださいね。

3-1-2.効果の出方

「効果が現れないから……」と途中で服用をやめるのは、非常にもったいないことです。大切なことなので何度も言いますが、漢方は3か月以上飲み続けなければ効果が現れません。1か月でやめず、最低でも3か月以上飲み続けましょう。そうすれば、少しずつ体に良い効果が現れるはずです。もし、3か月以上飲み続けても変化がない場合は、漢方薬局に相談してください。

3-1-3.選び方

漢方の知識を持っている人に相談して、体質・症状に合った漢方薬を選びましょう。漢方薬局は、漢方に詳しい人が具体的な症状や体質を聞き、適切な種類を選び出してくれます。また、処方の経験と実績がある漢方薬局ほど、どのような相談にも正しく応えることができるでしょう。自分で選ぶのではなく、専門家に任せてくださいね。

3-1-4.体質チェック

自分がどのような体質なのかわからない場合は、以下のチェック項目を試してみてください。

気虚(ききょ)タイプ

  • 疲れやすく、体力がない
  • 運動が苦手
  • 食欲がなく、下痢をしやすい
  • ため息をよくつく
  • 胃腸が弱い
  • 抵抗力がなく、風邪を引きやすい

気滞(きたい)タイプ

  • 食べものの好き嫌いが激しい
  • ストレスがたまりやすい
  • イライラしやすい
  • 胃もたれ感がある
  • げっぷやおならがよく出る
  • 気分にむらがある

血虚(けっきょ)タイプ

  • めまいや立ちくらみがある
  • 疲れやすく、貧血気味
  • 肌荒れがひどい
  • 顔色が悪く、唇や爪が白っぽい
  • 髪にツヤがなく、枝毛が多い
  • 爪が薄く、折れやすい

お血(けつ)タイプ

  • 顔色が悪く、くすんでいる
  • 肌のくすみやシミが気になる
  • 目にクマができやすい
  • 生理痛がひどい
  • 肩や首・背筋がよく凝る
  • 手足の冷えがある
  • 陰虚(いんきょ)タイプ
  • のぼせやすく、手足がほてる
  • 口が渇きやすく、水分をよく摂(と)る
  • 冷たい飲みものを好む
  • 目の充血や乾きがある
  • 暑がりで冷房好き
  • 便秘気味

陽虚(ようきょ)タイプ

  • 寒がりで下半身の冷えやむくみがある
  • トイレに行く回数が多い
  • 胃腸が弱く、体力がない
  • 体を動かすのが苦手
  • 軟便で下痢をしやすい

3-2.価格について

漢方薬の価格は、種類や生薬の組み合わせなどによって異なります。平均価格は、1週間分でおよそ3,000円~5,000円です。毎日飲み続けることが大切なので、家計に負担がかからない程度の漢方薬を選びましょう。

3-3.漢方薬局選びのポイント

どこの漢方薬局に相談すべきか悩んだときは、以下のポイントに注目してください。

  • 丁寧かつスピーディーな対応か
  • 無料相談を受けつけているか
  • 漢方薬処方の実績と経験が豊富か
  • 医薬品の飲み合わせについてもアドバイスしてくれるか
  • 質の良い漢方薬がそろっているか

漢方薬局の「十字屋平蔵薬局」は、どのような悩みにも無料相談を受けつけています。ぜひ相談してみてはいかがでしょうか。

4.中耳炎と漢方に関するよくある質問

中耳炎と漢方に関するよくある質問を5つピックアップしてみました。

Q.中耳炎の予防法は?
A.1番の予防法は、風邪を引かないように体調管理をすることです。特に、季節の移り変わりは気温の変化で体調が崩れやすい傾向があります。また、鼻水が出たときはすすらないようにしましょう。鼻をすすることで鼓膜がへこみ、真珠腫性(しんじゅしゅせい)中耳炎になりやすいと言われています。

Q.日常生活で気をつけるべきことは?
A.基本的に、規則正しい生活を送ることです。栄養バランスが整った食事・睡眠の確保・適度な運動の3点を心がけてください。規則正しい生活習慣は、漢方の有効成分を体内に取り入れやすくします。基盤となる生活習慣が、大きなポイントとなるでしょう。

Q.漢方薬の間違った飲み方は?
A.1日の服用以上の量を摂取することです。たくさん飲むほど効果が現れると思いがちですが、1日の服用量を守ったほうが効果が期待できます。漢方薬を正しく飲むためにも、漢方薬局で教えてもらいましょう。

Q.慢性中耳炎でも漢方薬は効くのか?
A.慢性中耳炎でも漢方薬の効き目はあります。中耳炎をくり返す人は、免疫力低下など体質に問題があるでしょう。そのため、長期間服用する漢方薬は、体質改善が期待でき、少しずつ中耳炎になりにくい体をつくることができます。

Q.耳が痛くなったときの対処法は?
A.耳に痛みが出てきたときは、炎症がひどくなっている可能性があります。保冷剤をタオルに包んで、耳の周りを冷やしてください。少し冷やすだけでも中耳(ちゅうじ)の炎症を抑えることができます。どうしても痛みが治まらない場合は、すぐに受診してください。

まとめ

中耳炎は、中耳(ちゅうじ)と呼ばれる空洞部分が炎症を起こすことです。炎症を放置するほど痛みが悪化して、膿(うみ)がたれることもあります。免疫力が低下しているときや、もとから虚弱体質の方がなりやすいと言われているため、丈夫な体質に改善していきましょう。体質改善を目的としている漢方は、副作用が少なく、長期間服用することで少しずつ効果が現れます。日常生活を見直しながら、体質・症状に合った漢方薬を服用してください。きちんと知識を習得しておけば、漢方の効果が実感できますよ。

十字屋平蔵薬局 店主 富居 博典

監修者

富居 博典
十字屋平蔵薬局 店主

所属研究会・勉強会
東洋漢方研究会/伝統漢方研究会緑健会日本中医薬研究会

東京薬科大学卒業後、総合病院・調剤薬局での実務経験を経て、漢方専門薬局『十字屋平蔵薬局』を開業。

漢方薬だけでなく病気や症状・治療薬・医療全般についても精通しており、一人一人の治療経過や薬歴を踏まえた提案・養生指導が好評を得ている。地域情報誌にて健康コラム『平蔵の漢方相談』を連載。15年以上続く長寿コーナーとなっており、長きにわたって地元の人々に親しまれている。


十字屋平蔵薬局