授乳中でも漢方薬は問題なく飲めるもの?気をつけるポイントとは?

十字屋平蔵薬局 薬剤師 富居博典

記事監修
十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典
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病院で処方される薬が、病気に効く成分を化学合成して作られているのに対し、漢方薬は植物の根や葉・鉱物を原料とした生薬を元に作られています。そのため、「体に優しい」「副作用がない」というイメージを持たれている方も多いことでしょう。しかし、漢方薬にもまったく副作用がない、というわけではありません。体の状態によっては、禁忌になる薬もあります。さらに、妊娠中や授乳中に漢方薬を利用する場合も注意が必要です。

そこで、今回は授乳中に漢方薬を利用する場合の注意点についてご紹介しましょう。

  1. 授乳中と薬の利用について
  2. 授乳中でも飲める漢方薬
  3. 漢方薬局の利用方法
  4. 授乳と漢方薬に関するよくある質問

この記事を読めば、授乳中でも利用できる漢方薬についてもよく分かりますよ。妊娠中の方や授乳中の方は、ぜひ読んでみてくださいね。

1.授乳中と薬の利用について

はじめに、なぜ授乳中の服薬には注意が必要なのか、その理由を解説します。お母さんが薬を飲めば、赤ちゃんにはどのような影響があるのでしょうか?

1-1.授乳中の服薬に注意が必要な理由とは?

母乳は、血液から作られます。ですから、アルコールなど血中に溶け込む成分は母乳にも含まれ、赤ちゃんに影響が出るのです。血中から母乳に移行する薬などの成分は全体の1%以下といわれていますが、赤ちゃんは体が小さいので強い影響を受けてしまうこともあるでしょう。そのため、授乳中は食べ物や飲み物にも十分な注意が必要です。

1-2.市販薬は利用しない方がいいの?

ドラッグストアで販売されている市販薬の中には、「授乳中の服用は控えてください」と書かれているものもあります。このような薬は授乳中の使用を控えましょう。風邪などをひいて薬が必要だと思った場合は病院を受診し、授乳中であると伝えてください。医師が授乳中でも服薬できる薬の処方箋を書いてくれるでしょう。

1-3.授乳中に飲んではいけない漢方とは?

前述したように、漢方薬は自然の生薬を利用している分、市販薬や病院から処方される薬よりも副作用が出にくいという特徴があります。ただし、生薬が持つ成分によっては赤ちゃんに悪影響がでてしまうため、禁忌となっているものもあるのです。

1-3-1.大黄とセンナ

授乳中に飲んではいけない生薬のひとつに、大黄(だいおう)とセンナがあります。大黄の主成分はアントラキノン誘導体です。これには便秘解消の効果があります。そのため、ドラッグストアなどで市販されている漢方便秘薬には、大黄が入っていることが多いでしょう。大黄の成分が母乳に移行すると、それを飲んだ赤ちゃんが下痢になってしまうことが分かっています。ですから、授乳中は大黄が入った漢方薬は使用しないようにしてください。
センナは便秘薬だけでなく便秘解消の効果のあるお茶にも使われているので、注意が必要です。

2.授乳中でも飲める漢方薬

漢方薬の中には、授乳中でも服薬できるものもあります。葛根湯(かっこんとう)・麻黄湯(まおうとう)などがその一例で、葛根湯は授乳中に発症する乳腺炎の治療薬としても使われる漢方です。
ドラッグストアで販売されている市販の漢方薬を購入する場合は、薬剤師が常駐している時間に行って授乳中であることを告げ、服用できる漢方薬を選んでもらいましょう。
また、病院でも希望すれば漢方薬を処方してもらえます。かかりつけの病院がある場合は、授乳中であることと漢方薬を服薬したいことを医師に伝えましょう。

3.漢方薬局の利用方法

この項では、漢方薬局を利用して授乳中でも服薬できる漢方薬を処方してもらう方法をご紹介します。ぜひ参考にしてください。

3-1.漢方薬局とは?

漢方薬局とは、漢方薬を専門に処方・販売している薬局です。歴史ある店舗も多く入りにくいイメージを持っている方も多いことでしょう。現在の漢方薬局は相談窓口を設けているところも増え、初めての方でも入りやすくなっています。
漢方薬局を利用すれば、授乳中でも服薬できる自分の症状にあった漢方を処方してもらうことが可能です。

3-2.漢方薬局を利用するメリット

漢方薬局は、漢方薬の知識を持った薬剤師が顧客から体の状態や希望を聞いて、症状にあった漢方薬を調剤してくれます。市販の漢方薬よりも効果が期待できますし、授乳中でも服薬できるように調剤をしてくれますので安心です。また、薬局によっては体の不調などの相談に乗ってくれることもあるでしょう。かかりつけの漢方薬局を一つ作っておくと、いろいろと安心です。

3-3.漢方薬局の利用方法

漢方薬局を利用したい場合は、まず、相談窓口を設けている漢方薬局を探しましょう。最近はホームページを解説しているところも多いので、インターネットを利用すればすぐに見つかります。相談窓口では、改善したい症状の他、病歴や生活習慣、脈や舌の状態なども詳しく聞かれますが、これは漢方薬を調剤するために必要な情報です。正直に答えてください。お薬手帳を持っている方は、持参しましょう。漢方薬はクスリとの飲み合わせによっても副作用が出ることもあります。

漢方薬は、最低でも2週間は飲み続けないと効果が実感でません。ですから、最初は1か月分を処方してもらうのがおすすめです。漢方薬の値段は病院から処方される薬や、市販薬をほとんど変わりありません。数千円が目安と考えるとよいでしょう。漢方薬は一般的に粉薬か煎じ薬で処方されますが、薬局によってはカプセル処方を行ってくれることもあります。煎じ薬も煎じ方を教えてもらえますし、その他、分からないことがあったら何でも質問しましょう。

3-4.注意点

漢方薬はれっきとした薬です。健康食品やサプリメントとは異なり、決まった時間に服用し続けなければ効果は期待できません。1、2回服用して「効果がなかった」と断言するのは早すぎます。最低でも2週間は飲み続けてください。また、漢方薬は苦いので、オブラートなどに包んで飲む分には問題ありません。ただし、煎じ薬にはちみつや砂糖などを入れるのはやめましょう。余計飲みにくくなるだけです。

なお、漢方薬局で処方された薬は、病院で処方された薬と同じでその人にしか使用できません。同じ症状に悩んでいるからといって、共用はできないので気をつけてください。

漢方薬は生薬を利用している分、病院の薬より使用期限が短くなっています。1か月分として処方してもらった薬は1か月で飲み切りましょう。古い漢方薬は成分が変質している恐れがあります。

4.授乳と漢方薬に関するよくある質問

Q.授乳中に起こる体の不調で、漢方薬が効果的なものはなんでしょうか?
A.冷えや気分の不調、疲れやすさなどを改善するのに漢方は効果的です。

Q.漢方薬でも塗り薬ならば、授乳中でも使ってよいのでしょうか?
A.塗り薬ならば、成分が母乳に出ることはありません。ただし、授乳中は体質が変わっていることもあるので、心配な方は医師に相談してください。

Q.サプリメントと漢方薬の違いはなんですか?
A.漢方薬には薬効があることが科学的に証明されています。ですから、服薬方法に決まりがあり、医師や薬剤師の指示に従って服薬する必要があるのです。

Q.漢方薬より病院で処方される薬の方が効果的な症状などはありますか?
A.漢方薬に即効性は期待できません。ですから、痛みやかゆみなどをすぐに解消したい場合は、病院から処方してもらった薬を使用しましょう。

Q.漢方薬局は、医師が常駐していますか?
A.常駐していません。薬剤師だけです。

5.おわりに

いかがでしたか? 今回は授乳中に漢方を使用する際の注意点や禁忌についてご紹介しました。漢方薬は副作用がないというイメージがありますが、使い方によっては健康に悪影響が出るものもあります。また、現在はインターネットでも中国製の漢方薬を購入することが可能です。中国は漢方薬発祥の地ですが、使われている成分の中には日本では使用が禁止されているものもあります。漢方薬を利用する場合は、対面販売を利用しましょう。

十字屋平蔵薬局 店主 富居 博典

監修者

富居 博典
十字屋平蔵薬局 店主

所属研究会・勉強会
東洋漢方研究会/伝統漢方研究会緑健会日本中医薬研究会

東京薬科大学卒業後、総合病院・調剤薬局での実務経験を経て、漢方専門薬局『十字屋平蔵薬局』を開業。

漢方薬だけでなく病気や症状・治療薬・医療全般についても精通しており、一人一人の治療経過や薬歴を踏まえた提案・養生指導が好評を得ている。地域情報誌にて健康コラム『平蔵の漢方相談』を連載。15年以上続く長寿コーナーとなっており、長きにわたって地元の人々に親しまれている。


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