逆流性食道炎で悩んでる方必見! 効果的な漢方の使用方法は?

十字屋平蔵薬局 薬剤師 富居博典

記事監修
十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典
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最近、逆流性食道炎に悩む方が増えているようです。30年前と比べると、6倍近く増えているというデータもあります。逆流性食道炎は常に不快感がありますので、日常生活にも大きな悪影響を及ぼす病気です。そんな方には、漢方薬による治療方法をおすすめします。

そこで今回は、逆流性食道炎と漢方についてご紹介します。

  1. 逆流性食道炎の基礎知識
  2. 逆流性食道炎の主な対策、治療法
  3. 逆流性食道炎と漢方について
  4. 逆流性食道炎の漢方薬について
  5. 逆流性食道炎の漢方薬の購入方法・飲み方
  6. 逆流性食道炎の予防法
  7. 漢方薬にまつわる質問

この記事を読むことで逆流性食道炎と漢方薬に関する基本的な知識を得ることができます。逆流性食道炎に効果のある漢方薬もご紹介していますので、ぜひ最後までお付き合いくださいね。

1.逆流性食道炎の基礎知識

1-1.逆流性食道炎とは?

逆流性食道炎とは、胃液や吐瀉物(としゃぶつ)などに含まれる胃酸によって食道が傷つき、炎症を引き起こしている状態のことをいいます。

1-2.主な症状

主な症状としては、呑酸(どんさん)・胸やけ・胸の痛みが挙げられます。呑酸(どんさん)とは、口や喉に酸っぱい胃液がこみ上げてくる症状のことです。呑酸(どんさん)はほかの病気では発生しません。呑酸(どんさん)が発生していれば、まず間違いなく逆流性食道炎でしょう。

1-3.主な原因

胃液には強い酸性の胃酸や消化酵素が含まれているため、胃はダメージを受けないように粘液で保護されています。しかし、食道には粘液のような保護剤がありません。その代わりに、胃液が食道に逆流しないように、食道にはいくつかの機能があるわけです。代表的なものは、下部食道括約筋(かぶしょくどうかつやくきん)でしょう。下部食道括約筋(かぶしょくどうかつやくきん)とは、食道と胃のつなぎ目にある筋肉です。食べ物を取り込んだ際には緩み、それ以外は閉じています。いわば門のような働きをして、胃酸や内容物が逆流するのを防いでいるのです。また、ぜん動運動によって逆流を阻止したり、唾液によって食道を洗い流したりするなどして守られています。

しかし、加齢などが原因となって、これらの機能が低下してしまうことがあるのです。すると、逆流を阻止できなくなり、頻繁に食道へ胃液などが入ってきてしまいます。強い刺激性を持った胃液によって、食道はダメージを受け、結果として逆流性食道炎になってしまうのです。

1-4.日常生活への影響は?

逆流性食道炎になってしまうと、非常に強い不快感にさいなまれるようになってしまいます。結果として、以下のような悪影響を引き起こすでしょう。

  • 不眠症
  • 食欲不振
  • イライラ
  • 集中力の低下
  • 気分の落ち込み

1-5.関連する病気

実は、逆流性食道炎は放置しておくと合併症のリスクがあります。逆流性食道炎の合併症として有名なのは『バレット食道』と『食道がん』です。バレット食道とは、食道の下部にある扁平上皮(へんぺいじょうひ)と呼ばれる部分が、胃の粘膜に似た円柱上皮というものに置き換わってしまった状態を指します。さらに、バレット食道になると食道がんのリスクが非常に高くなるでしょう。バレット食道になると、80%の確率で、食道がんと関連性の高い『腸上皮化生(ちょうじょうひかせい)』というものが含まれているからです。

1-6.なりやすい人

逆流性食道炎は、もともと日本人には少ない病気でした。というのも、日本民族には『ヘリコバクターピロリ菌』と呼ばれる菌を保有しており、胃酸の量を抑える働きをしています。しかし、食生活の欧米化などによって、ヘリコバクターピロリ菌の保有数が少ない人が増えているのです。そのため、逆流性食道炎の患者は増加傾向にあります。30年前までは内視鏡検査をした人のうち、たったの5%しか見られなかった逆流性食道炎が、現在では30%もの割合で発見されているのです。

2.逆流性食道炎の主な対策、治療法

2-1.一般的な対策法

逆流性食道炎の対策で重要なのは、食生活の改善をすることです。実は、飲食物の中には、逆流性食道炎を悪化させてしまうものが含まれています。たとえば、栄養豊富な万能野菜として有名なトマトは、酸味が強いので食べ過ぎると症状が悪化するでしょう。また、ビールなどの炭酸も、やはり酸性なので、逆流性食道炎にはよくありません。以下に、避けた方が良い飲食物をご紹介するので、参考にしてみてください。

  • 炭酸飲料(炭酸水も含む)
  • 清涼飲料水
  • 甘いもの
  • 辛(から)いもの
  • 酸っぱいもの
  • カフェインの入っているもの
  • アルコール
  • 脂分の多いもの
  • 繊維質のもの
  • 生野菜全般

2-2.主な治療法

治療の方法としては、主に2種類あります。すなわち、薬物療法と手術です。薬物療法では、主に胃酸の分泌を抑える薬を使用します。以下の薬が一般的に使用されるものです。

  • ヒスタミンH2受容体拮抗薬(きっこうやく)
  • プロトンポンプ阻害薬(PPI)
  • 粘膜保護薬
  • 制酸薬

これらの薬を使用しても改善が見られなかった場合に手術が行われます。手術方式としては、内視鏡の一種である腹腔鏡手術(ふくくうきょうしゅじゅつ)が主流です。

3.逆流性食道炎と漢方について

3-1.漢方・漢方薬とは?

漢方とは、中国から伝来した中医学がもととなり、日本で独自に発展した『日本の伝統医療』です。江戸時代に日本で影響力を強めてきた西洋医学を『蘭方(らんぽう)』と名付けたことに対して、漢の時代に伝わった東洋医学として『漢方』と名付けられました。

西洋医学が主流の今日では、漢方をうさん臭く思う方も多くなっています。漢方独特の『気』などの用語もその原因の一つでしょう。しかし、実際にはちゃんとした医学として認められており、漢方外来が設置されている病院も多くなってきています。西洋医学ではなかなか改善することができなかったり、改善するには重い副作用が発生する薬を飲まなければいけなかったりする際に、別のアプローチとして利用されることが多いでしょう。たとえば、ガンなどの病気で発生する腹水は、西洋医学においてはひたすら我慢するしかない、というのが一般的な考え方です。薬で腹水を抜くことはできません。しかし、漢方薬の場合は、腹水に改善効果のあるものもあるのです。

また、漢方薬は西洋薬に比べると、比較的副作用が少ないといわれています。もちろん、副作用がないわけではないので勘違いしないでくださいね。ほかにも、漢方薬は西洋薬と違い、体質を改善する効果があるのも大きなメリットでしょう。つまり、西洋薬は病気を治すだけですが、漢方薬は病気を治すと同時に病気になりにくい体質に改善してくれるということですね。

しかし、もちろん漢方薬にもデメリットがあります。代表的なものには、肝臓を悪くしている人は使用できないという点でしょう。漢方薬はそのほとんどを肝臓で代謝するため、肝臓に負担をかけます。肝臓が健康な方には問題がなくても、肝硬変や肝不全、肝臓がんなどで肝臓を悪くしている人が使用すると逆効果になってしまうことが多いでしょう。また、即効性が低いというデメリットもあります。西洋薬のように、飲んですぐに効果があるような漢方薬はあまりありません。

3-2.漢方と逆流性食道炎

逆流性食道炎は、食生活の乱れなどが原因となって発生します。人の体質に直接作用する漢方薬は、非常に効果的と言えるでしょう。ただし、漢方薬というのは西洋薬と違い、万人に同じ効能を与えられるものではありません。漢方は人それぞれの体質に合わせて飲むことで初めて最大限の効果が発揮されます。そのため、時には直したい症状とは全く関係のないように思える漢方薬を飲むことで、症状が改善することもあるのです。

3-3.向いているのはどんな人?

一番重要なのは、肝臓が健康であることです。すでにお話したように、漢方薬は肝臓に負担をかけるので、肝臓に持病を持つ人には向いていません。もっとも、負担がかかるといっても、健康な人であれば何ら問題ないので安心してくださいね。

また、西洋薬ではイマイチ効果が改善しない人や、なるべく手術をしないで改善したい人、副作用を少なく治療したいと考えている人などにおすすめです。

3-4.注意点

漢方薬は副作用が少ないとされていますが、多少はあるということを頭に入れておきましょう。用法用量を守らずに使用したり、素人判断で複数の漢方薬を使用したりすると、時として重大な副作用を引き起こすことがあります。できれば、漢方医や漢方薬局などに相談してから取り入れるのがよいでしょう。

4.逆流性食道炎の漢方薬について

4-1.効果のある漢方薬の種類について

逆流性食道炎に効果がある、代表的な漢方薬は以下のとおりです。

  • 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
  • 六君子湯(りっくんしとう)
  • 半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)は、喉のつかえや食道部の違和感、胃炎、吐き気などに効果があります。六君子湯(りっくんしとう)は胃炎や胃痛、食欲不振、消化不良、嘔吐(おうと)に効果的です。半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)は、胃腸炎や胸やけ、吐き気、げっぷなどを解消してくれるでしょう。

4-2.漢方薬を効果的に利用するために

漢方薬は服用者に適したものを使用すれば、とても効果的です。しかし、適した漢方薬を選ぶというのは、知識のない方には難しいと思います。漢方薬の効果を最大限に引き出したいのであれば、やはり漢方医の診察をうけるのが重要です。大きな病院には漢方外来が設置されていることが多いので、ぜひ診察を受けてみてくださいね。

もしも、病院に行くのが戸惑われる場合は、漢方薬局で相談してみるのも良いでしょう。しっかりとした漢方薬局であれば、症状などを聞いてアドバイスをしてくれますよ。

4-3.市販の漢方薬について

市販の漢方薬と病院で出される漢方薬は、実は基本的に同じものです。たとえば、病院で処方される漢方薬はツムラの製品が主流(シェア83%)ですが、病院で出されるものと全く同じものが市販されています。ですので、病院で処方されたからと言って必ずしも優れているわけではありません。とはいえ、メーカーによって配合は変わるので、同じ名称の漢方薬でも効能に差は出てきます。

4-4.副作用について

すでに軽く触れたように、漢方は西洋薬に比べて副作用が少ないことで知られています。しかし、皆無というわけではありません。体質にもよりますが、時として重い副作用を引き起こすリスクが有ることを念頭に置いておきましょう。

5.逆流性食道炎の漢方薬の購入方法・飲み方

5-1.漢方薬局や漢方医への相談が必要

漢方薬は西洋薬とは違い、体質によって効く効かないがあります。ですから、それぞれの体質にあったものを選ぶことが大切です。しかし、漢方の知識を持っていない人では、なかなか選択するのが難しいでしょう。ですので、漢方を使う際には漢方薬局や漢方医に相談することが大切です。特に、漢方薬局は、電話やインターネットから簡単に相談ができるのでおすすめします。

5-2.体質タイプについて

漢方においては、以下のように、さまざまな体質タイプがあります。

  • 気虚(ききょ)
  • 血虚(けっきょ)
  • 気滞(きたい)
  • 瘀血(おけつ)
  • 陰虚(いんきょ)
  • 痰湿(たんしつ)
  • 陽盛(ようせい)
  • 陽虚(ようきょ)
  • 腎虚(じんきょ)

体質によって使うべき漢方薬は変わってきます。漢方薬局や漢方医に相談した際には、積極的に自分の体の状態について説明し、自分がどのような体質なのかを知ることが大切です。

5-3.使用方法

使用方法は、基本的に西洋薬と同じです。水や白湯(さゆ)などと一緒に飲みましょう。ただし、漢方薬は基本的に粉なので、むせないように気をつけてください。

5-4.使用期限について

基本的に、包装紙などに使用期限が書かれていますので、その期限を守るようにしましょう。期限を過ぎても大丈夫なことがほとんどですが、保管環境などによっては湿気などを吸って成分が変質してしまっていることもあります。ですので、できる限り使用期限を守りましょう。また、病院で処方された漢方薬など、使用期限が記載されていないものの場合は、処方された日数を使用期限と考えます。たとえば、10日分の処方をされたら、10日が使用期限だと考えるようにしましょう。

5-5.価格

漢方薬の種類にもよりますが、1日あたり500円程度が相場です。ただし、年齢が低いと、処方される薬の量が減るため、300円程度まで下がります。

5-6.漢方薬局の選び方のポイント

重要なのは、しっかりと相談にのってくれるかという点です。すでに何度も触れているように、漢方は体質や症状などによって最適な薬が変わってきます。つまり、薬局側もしっかりとヒアリングをしなければ、最適な薬を提供できないということです。にもかかわらず、しっかりと相談に乗ってくれないような薬局は信用できません。最悪の場合、副作用で苦しむことになることもありえます。電話やインターネットで相談ができる薬局で、かつ親身になってくれるところを選ぶのがよいでしょう。

たとえば、十字屋平蔵薬局では、ホームページに24時間対応の無料相談窓口を設置しております。また、電話からの相談も受け付けているので、ぜひ利用してみてくださいね。

6.逆流性食道炎の予防法

6-1.予防法

逆流性食道炎の予防として一番大切なのは、生活習慣の改善です。脂肪分やタンパク質、糖分を多く含んでいるものや、レモンなどの酸味が強いものには胃酸を増やす作用があります。逆流が起こりやすくなるので、過剰に摂取しないようにしましょう。また、アルコールやカフェインも胃酸の分泌を促進してしまうので、できるだけ避けてください。特にアルコールは下部食道括約筋を弛緩(しかん)させるので、逆流を起こしやすくします。

タバコも吸わないことが重要です。タバコの煙を吸い込むと、胃を刺激して胃酸を増やしてしまいます。さらに、タバコを吸うことで腹圧が高まり、胃液を上に押し戻す力が発生しやすくなるでしょう。タバコは百害あって一利なしです。健康を維持するためにも、禁煙しましょう。

6-2.注意点

逆流性食道炎は完璧に予防しようとすると、食べることが可能なものが非常に限定されてしまいます。あまり厳密にやりすぎると、今度は栄養が偏ってしまい、健康を害してしまうのです。ですから、ほどほど、を心構えに行いましょう。ただし、アルコールとタバコに関しては、完全に断っても健康には何ら問題はありません。むしろ、健康的になります。できるのであれば、禁酒・禁煙を行ってくださいね。

7.漢方薬にまつわる質問

Q.漢方薬はどのぐらい続けるべきなのでしょうか?
A.漢方薬というと、西洋薬に比べて即効性に掛け、長く使い続けなければいけないようなイメージがあるでしょう。しかし、実際には急性疾患であれば短い期間の服用で済みますし、慢性疾患であれば長くなります。つまり、西洋薬と同じで、病気によって長さは変わってくるのです。

Q.漢方薬はどのタイミングで飲めばいいのですか?
A.食前か食間に飲んでください。おすすめは食前に飲む方法です。同じタイミングになるので、飲み忘れを避けることができます。

Q.漢方薬はオブラートなどと一緒に飲んでも大丈夫ですか?
A.問題ありません。オブラート以外でも、専用のゼリーなどと一緒に飲んでも大丈夫です。また、白湯(さゆ)に溶かして飲むこともできます。

Q.妊娠中でも漢方薬を飲むことはできますか?
A.漢方薬も西洋薬と同じ『薬』です。妊娠中の服用は避けたほうがよいでしょう。特に、妊娠初期は危険なので気をつけてください。

Q.漢方薬はどうやって保存すればいいのですか?
A.高温多湿を避け、直射日光の当たらない場所に保管してください。おすすめは冷蔵庫です。

まとめ

今回は漢方薬と逆流性食道炎についてご紹介しました。逆流性食道炎は主に生活習慣が原因となって発症します。刺激の強いものや脂っこいもの、アルコール、タバコなどを避けることで予防が可能です。発症してしまったら、生活習慣を見直すと同時に、薬物治療を行います。薬物治療では主に西洋薬が使われますが、漢方薬を使って改善することも可能です。漢方薬は西洋薬に比べて副作用が小さいのが特徴となります。また、症状を改善させるだけでなく、体質の改善もしてくれるでしょう。いかがでしたか? 今回ご紹介した情報をもとに、ぜひ漢方薬の導入を検討してみてくださいね。

十字屋平蔵薬局 店主 富居 博典

監修者

富居 博典
十字屋平蔵薬局 店主

所属研究会・勉強会
東洋漢方研究会/伝統漢方研究会緑健会日本中医薬研究会

東京薬科大学卒業後、総合病院・調剤薬局での実務経験を経て、漢方専門薬局『十字屋平蔵薬局』を開業。

漢方薬だけでなく病気や症状・治療薬・医療全般についても精通しており、一人一人の治療経過や薬歴を踏まえた提案・養生指導が好評を得ている。地域情報誌にて健康コラム『平蔵の漢方相談』を連載。15年以上続く長寿コーナーとなっており、長きにわたって地元の人々に親しまれている。


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