動脈硬化が心配な方必見!動脈硬化の改善・治療・予防7つのポイント

十字屋平蔵薬局 薬剤師 富居博典

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十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典
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40代になると気になる症状のひとつに「動脈硬化」があります。動脈硬化は命にかかわる病気を引き起こす……ということは知っていても、具体的にはどうしたらいいのかと、お悩みの方も多いようです。そこで、ここでは、知っておきたい動脈硬化の基礎知識や、セルフチェック方法、治療法をご紹介しましょう。また、動脈硬化の改善や治療、予防方法なども取り上げています。

  1. 動脈硬化の基礎知識
  2. 動脈硬化の原因
  3. 動脈硬化の症状
  4. 動脈硬化の治療方法
  5. 動脈硬化の改善方法
  6. 動脈硬化の予防について
  7. 動脈硬化~よくある質問~

この記事を読むことで、動脈硬化対策がおわかりいただけるでしょう。ご自身の健康管理のためにもお役立てください。

1.動脈硬化の基礎知識

動脈硬化とはどのような症状なのか、どのような問題が生じるのか……それを探る前に、まずは、動脈が本来持っている役割を知りましょう。

1-1.動脈の役割

1-1-1.動脈とは

人間の身体には、すみずみまで血液を循環させるために3種類の血管がめぐっています。それが、動脈・静脈・毛細血管です。

  • 動脈:ポンプで押し出されるように心臓から送られる血液が流れるのが動脈です。動脈を流れる血液は、勢いよく身体のすみずみまで運ばれます。この勢いに耐えられるように、動脈は厚く弾力性に富んでいるのです。
  • 静脈:静脈は、動脈から送り出された血液が心臓に戻るときに通る血管です。動脈に比べると薄く血液の逆流を防ぐために、ところどころに「弁」がついています。
  • 毛細血管:体中を網目のようにめぐっている血管で、動脈と静脈をつなぐ役割を果たしています。

動脈は、心臓に直結している「大動脈」部分は直径3センチほどもあり、そこから分岐した動脈は徐々に0.5ミリ~1センチほどの太さになります。そして、一番細い「細動脈」は、0.3ミリ以下の細さになるのです。

1-1-2.動脈の役割とは

動脈の役割は、心臓から大動脈を通じて身体のすみずみまで血液循環して酸素や栄養素を臓器や細胞に届けることです。また、動脈は自分で収縮を繰り返しながら、血液をスムーズに流す手伝いもしています。

1-2.動脈硬化とは

動脈は、心臓から勢いよく送り出される血液の圧力に耐えるために、しなやかさと弾力性に富む構造となっています。しかしながら、加齢や病気などさまざまなことが原因で弾力やしなやかさを失うと、血管が硬くなってしまうのです。また、動脈内側の壁にさまざまな物質が付着し、積み重なって血流が悪くなることもあります。このような状態を「動脈硬化」と呼ぶのです。

動脈硬化とは、病名ではなく上記のように動脈が硬くなったり詰まってしまったりしている「症状」の名前になります。動脈硬化という症状が恐れられているのは、動脈硬化が命にかかわる病気を引き起こすからなのです。

1-3.動脈硬化になるメカニズム

動脈は、一番内側は「内皮細胞」と呼ばれる細胞でおおわれ、その次に、内膜→中膜→外膜の順番で3層が重なってできています。動脈硬化は、生活習慣病などで血管に負担がかかり内皮細胞に傷がつき、動脈硬化を防ぐ働きが衰えることで引き起こされるのです。

  1. 傷ついた内皮細胞から内膜に、血液中のLDL(悪玉コレステロール)が入り込み酸化する。
  2. 酸化したLDLを排除するため、単球(白血球の一種)も内膜に入り込みマクロファージに変化する。
  3. マクロファージがLDLと戦った結果、コレステロールや脂肪が残骸(ざんがい)として沈殿する。
  4. 内膜が沈殿物によりどんどん厚くなる。

このような経緯でできた沈殿物の塊をプラーク(粥腫/じゅくしゅ)と呼び、プラークができた状態を粥状(じゅくじょう)動脈硬化、または、アテローム性粥状(じゅくじょう)動脈硬化などと呼びます。そして、このプラークが大きくなって破れると血栓(血の塊)が血液の流れを止めてしまうのです。

1-4.動脈硬化にも種類がある!?

動脈硬化は、動脈がある部位のどこにでも発生します。そして、原因もさまざまです。ひとくちに動脈硬化といっても、発生した部位や原因によって種類が異なります。どのような種類があるのでしょうか?

1-4-1.アテローム性粥状(じゅくじょう)動脈硬化

「1-3.動脈硬化になるメカニズム」で挙げたように、動脈内部がプラークによって塞がれしだいに厚くなり、動脈の内側が狭くなるのがアテローム性粥状動脈硬化です。

1-4-2.中膜硬化

3層構造の真ん中の「中膜」が硬くなる動脈硬化です。血液中のカルシウムが増大し、中膜に石灰質がたまり「骨化」することで動脈が硬くなります。また、中膜がもろくなり血管壁が破れることもあるのです。中膜硬化は「メンケルベルグ型硬化」とも呼ばれ、心臓に近い大動脈や下半身・首の動脈に多く発生します。

1-4-3.細動脈硬化

高血圧などが長引くことで、細い動脈が硬化し血流が滞ることによって起こるのが細動脈硬化です。主に、脳や腎臓などの細い血管に発生し、血管壁が破れやすくなってしまいます。

2.動脈硬化の原因

2-1.動脈硬化の主な原因

動脈硬化を引き起こす原因のことを「危険因子」と呼びます。危険因子は、「日常的な生活習慣によるもの」と「生活習慣病によるもの」があるのです。

2-1-1.肥満

体重が増加し内臓脂肪が増えると、血液中のLDL(悪玉コレステロール)や中性脂肪が増え血管が傷つきやすくなります。そして、HDL(善玉コレステロール)が減少し、「脂質異常症」になるリスクも高くなるのです。さらに、内臓脂肪が増えることで脂肪細胞が増殖し、動脈硬化を防ぐ働きがあるアディポネクチンの分泌量も減ってしまいます。

2-1-2.喫煙

日常的に喫煙していると、活性酸素が血液中に増加します。そして、活性酸素が血管内壁の細胞を傷つけLDLが侵入しやすくなるのです。さらに、プラークが血管の内側にたまり、血管内壁が狭くなることで動脈硬化を引き起こします。

2-1-3.過度の飲酒

適切な飲酒(成人男性の場合は、1日日本酒1合ほど)は、新陳代謝を高めHDLが増加するので身体にいいといわれています。しかしながら、毎日深酒をすると血圧の上昇を引き起こすのです。また、飲酒時にカロリーの高いつまみを食べたり、飲んだあとに脂質の高いラーメンを食べたりすることにより肥満も招きます。

2-1-4.そのほか

ほとんど運動をしない生活・脂質や糖質、塩分が多いかたよった食生活・ストレスの多い日常・加齢なども動脈硬化の原因になります。

2-2.「生活習慣病」から引き起こされる場合

上記のような生活習慣を続けることにより引き起こされる「生活習慣病」も動脈硬化の原因になります。

2-2-1.脂質代謝異常

肥満によりHDLが減少すると、小型LDL(超悪玉コレステロール)が血管の内壁に入り込み、酸化して動脈硬化を引き起こします。

2-2-2.高血圧

血圧が高い状態を放置していると、血管を流れる血液の圧力により血管内壁に傷がつきやすくなります。そして、血管にかかる圧力に負けまいと血管壁が分厚くなっていくのです。それによって、動脈が狭くなる→ますます圧力が強くなる→血管壁が圧力に負けまいとさらに厚さを増す……という、「負のスパイラル」が起こり、動脈硬化が促進されてしまいます。

2-2-3.高血糖(糖尿病)

通常、食後は血液中の血糖値が上昇します。そして、上昇した血糖値は、すい臓から分泌される「インスリン」というホルモンの働きかけにより速やかに下がるのです。ところが、さまざまなことが原因でインスリンの働きが悪くなると、血糖値が上がり血液中の糖分や脂質が増加してしまいます。そうなると、動脈内壁が傷つきやすくなり、プラークが付着して動脈硬化を引き起こしやすい状態になるのです。

3.動脈硬化の症状

動脈硬化は、はっきり「動脈硬化になったな!」と自覚できるような症状がないところが怖いところです。また、「2-1.動脈硬化の主な原因」で挙げた、動脈硬化を引き起こしたり悪化したりする脂質代謝異常・高血圧・高血糖などの生活習慣病も、最初は自覚症状がありません。そのために、多くの人は動脈硬化が進行していることに気がつかないのです。

3-1.動脈硬化が進行するとどうなるの?

本人の自覚がないままに、動脈硬化や脂質代謝異常・高血圧・高血糖などの症状も続くと、命にもかかわる病気を引き起こします。

3-1-1.脳卒中

「脳卒中」とは、脳梗塞・脳出血など、脳の血管障害によって起こる病気の総称です。

  • 脳出血:動脈硬化が進行し、脳の血管がもろくなり破れて出血した状態。
  • 脳梗塞:動脈硬化が進行し、脳の血管が細くなり塞がってしまう状態。

3-1-2.虚血性心疾患(きょけつせいしんしっかん)

虚血性心疾患とは、冠動脈(かんどうみゃく/心臓をとりまいている動脈)に動脈硬化が起こり、心臓が「虚血」(血がない状態)することで起こる病気の総称です。

  • 狭心症:運動時に胸の痛みや息苦しさを感じる状態。
  • 心筋梗塞:冠動脈がアテローム性粥状動脈硬化(「1-3-1.アテローム性粥状動脈硬化」参照)を引き起こし、詰まってしまう状態。

3-1-3.大動脈瘤(りゅう)

大動脈は、人体では最大の動脈です。心臓の左心室から出て身体の中心を走り、下腹部で分岐して終わります。この大動脈に「瘤(こぶ)」ができるのが大動脈瘤です。主に胸部・胸腹部・腹部に起き、瘤が破裂すると大出血して死亡することも少なくありません。

3-1-4.閉塞(へいそく)性動脈硬化症

動脈硬化により手足の血管が狭くなったり、詰まったりする症状です。血液に含まれる酸素や栄養素が末端まで届けられなくなり、手足の冷えやしびれ、痛みなどの症状が起こります。

3-1-5.腎硬化症

腎硬化症とは、高血圧を放置し腎臓の血管に動脈硬化を起こした状態です。血流が悪くなり、腎機能が低下して慢性腎不全にいたります。腎硬化症を起こしている人は、同時に心臓や脳にも動脈硬化を引き起こしている危険性も高くなるのです。

3-2.動脈硬化のセルフチェック

3-2-1.動脈硬化になりやすい人とは

ご紹介したように、動脈硬化は生活習慣や生活習慣病と大きくかかわっています。以下のような生活を送っている人は、通常よりも動脈硬化になるリスクは高くなるので注意してください。

  • 40歳以上の人
  • 日常的にまったく運動をしていない人
  • 数年間と比較すると10キロ以上体重が増えた人
  • 味の濃い料理や脂っこい料理を好む人
  • コンビニエンスのお弁当やファストフードばかり食べている人
  • 毎日、適切な量以上の喫煙・飲酒をしている人
  • 日々のストレスが蓄積している人(ストレスは細胞を傷つける活性酸素を大量発生する)

3-2-2.動脈硬化と足の痛みとの関係

以下のような「足の痛み」を感じたことはありますか?

  •  一定の距離を歩くとふくらはぎが痛くなり、休むと痛みが消える。
  • しびれるような痛みを感じる。
  •  夜、寝ているときに足が痛い。

このような症状があったら「閉塞性動脈硬化症」(「2-3-4.閉塞(へいそく)性動脈硬化症」参照)の可能性があります。

最初は、歩いたときにふくらはぎの痛みを感じても休憩すると治るので日頃の運動不足や年齢のせいだろうと、放置してしまう人が多いのです。また、手足の冷えもともなうので単なる「冷え性」だと思ってしまう人も少なくありません。「閉塞性動脈硬化症」が怖いのは、足に動脈硬化を起こしているだけではなく、脳や心臓にも動脈硬化が起きているケースが多いことです。

3-2-3.動脈硬化~セルフチェック項目~

  • 毎日、血圧が高め。(最高血圧140~159/最低血圧90~99以上)
  • 肥満気味である。(BMI=25以上、または腹囲が男性85センチ・女性90センチ以上)
  • 寝不足の日が多い
  • 毎日ストレスを感じている
  • ほぼ毎日お酒を飲んでいる
  • 日常で運動不足を自覚している
  • 座り仕事が多い
  • 味付けが濃い食事を好む
  • 肉料理や揚げ物、洋食が好き

以上の項目が2~3個当てはまる人は要注意です。

4.動脈硬化の治療について

動脈硬化はどのように発見して、どのような方法で治療すればいいのでしょうか。

4-1.病院へ行くべき症状

「2-2.動脈硬化の症状」でご紹介したように、動脈硬化も悪化する生活習慣病も自覚症状がありません。特に自覚症状がなくても、30代になったら自治体や会社などの定期検診は必ず受けて自分の身体の状態を把握しておきましょう。

また、「3-3.動脈硬化~セルフチェック項目~」で2~3個当てはまる項目がある人は、定期健診まで待たずに1度医師の診察を受けるのがおすすめです。

4-2.何科に行けばいいのか?

動脈硬化は、循環器内科や心臓血管外科が専門です。けれども、内科であっても、基本的な動脈硬化の検査を行う病院やクリニックも増えてきました。循環器内科や心臓血管外科が近くにない場合は、近所のかかりつけ医に相談してみましょう。

4-3.動脈硬化の主な診断方法

動脈硬化を調べる検査としては、まずは基本的な検査として血液検査や血圧測定を行います。さらに、患者さんの状態によっては以下のような検査を行うこともあるのです。

  • 眼底検査:眼底の動脈を見て、脳の動脈硬化を調べる。
  • けい動脈エコー検査:けい動脈(首に走る太い動脈)の血管壁の厚みをエコーで調べ、動脈硬化の状態を医師が直接目で見て確かめる。
  • CAVI検査:ベッドにあお向けに寝て、両腕・両足首の血圧と脈波を調べる。血管の詰まりや硬さを正確に調べることができる検査。
  • CT・MRI・血管造影:より精密検査が必要な場合に行う検査。血管の状態や動脈硬化の進行度を細部まで明確に画像で調べる。

4-4.動脈硬化の治療方法

動脈硬化の治療は主に以下の3つです。

  1. 食事療法:患者さんの日常的な食事内容を聞いたうえで、過剰なエネルギーをおさえバランスのとれた食事をするように指導します。また、アルコールの量を制限することもあるのです。
  2. 運動療法:動脈硬化だけではなく、動脈硬化の原因となる肥満・高血圧・糖尿病・脂質異常などを予防します。患者さんの年齢や生活スタイルに合った運動療法を指導します。
  3. 薬物療法:食事療法や運動療法を行っても改善しない場合は、併せて薬物療法も行います。患者さんの状態に合った薬を処方して、定期的に検査をしながら症状を観察するのです。

4-5.投薬について

動脈硬化の状態や程度に合わせて、以下のような薬が用いられます。

  • コレステロールを低下する薬:血液中の余分な悪玉コレステロールを下げる薬で、HMG-CoA還元酵素阻害薬・陰イオン交換樹脂・プロブコールなどがあります。
  • 血圧を下げる薬:血圧を下げて正常な数値にして動脈硬化を防ぎます。医師は、患者さんの血圧の数値や年齢、体調などに合わせた最適な薬を処方します。
  • 血糖値を下げる薬:糖尿病で血糖値が高い患者さんの場合は、動脈硬化の発生や進行のリスクが高くなります。そこで、経口血糖値降下薬を用いて血糖値を下げるのです。
  • 血液中の尿酸値を下げる薬:血液中に尿酸が増え「高尿酸血症」になると、動脈硬化になりやすく悪化もしやすくなります。ほかにも、さまざまな合併症が起こるので、尿酸を下げる尿酸降下薬を処方するのです。

4-6.手術・入院・費用について

動脈硬化により血管が狭くなったり、詰まったりなど症状が重くなった場合は手術をすることもあります。

4-6-1.カテーテル手術

ふとももの付け根・手首・ひじなどに穴をあけ、血管に細い管状になったカテーテルという器具を通します。そして、異常のある動脈まで届けて治療を行うのです。カテーテル手術にはいくつか種類があります。

  • バルーン治療:カテーテルを通じて、血管にバルーン(風船)を送り込み、ふくらまして血管を広げ血液の流れをよくする方法です
  • ステント治療:ステンレスのメッシュ状の筒(ステント)をバルーンにかぶせ、動脈が狭くなった場所に通して広げ、そこにステントを残すことで血流を正常にする方法です
  • ロータブレーター:血管に内側に石灰質がたまり硬くなっている場合に行います。カテーテルの先端に金属の小さいドリルがついているロータブレーターという道具が回転し、石灰化した部分を砕くのです
  • カテーテル血栓溶解療法:動脈硬化により血栓ができている部分までカテーテルを送り込み、高濃度の血栓溶解剤を流し入れて溶かす方法です

4-6-2.手術の日数や費用について

カテーテル手術の日数や費用は、手術の内容や患者さんの年齢、症状などによっても異なります。一般的には、日帰り~3日程度と短くて済むのです。ただし、急な心筋梗塞の治療でカテーテル手術を行ったときなどは、経過観察も必要なので10~20日ほどの入院が必要になります。

カテーテル手術は、高価な器具を使うので安くても数万円、高くなると200万円ほどかかることもあるのです。けれども、保険が適用されるので、自己負担分は20万円前後といわれています。

4-7.動脈硬化の治療 注意点

動脈硬化は、定期的な健康診断で早期発見をするのが一番です。そのためには、きちんと自治体や会社で行われる定期検針診を必ず受けるようにしましょう。

また、40歳になり「3-3.動脈硬化~セルフチェック項目~」で複数当てはまる項目がある人は、血管を専門的に調べる「血管ドック」を受けるのもおすすめです。特に、高血圧症や高脂血症、糖尿病などの持病がある人は、けい動脈エコー検査などを積極的に受けるようにしてください。

5.動脈硬化の改善方法

動脈硬化や、動脈硬化が悪化する生活習慣病を改善に導くためには、生活習慣を変えることが一番大切です。

5-1.動脈硬化を食べ物で改善

動脈硬化の治療法として「食事療法」は必ず用いられます。動脈硬化の発生には血液の状態が影響するのです。血液中のコレステロール・ブドウ糖・尿酸などが増えないように食事を改善しましょう。以下のようなことに気をつけてください。

  • コレステロールや脂肪が多い食事は控える
  • 糖分はとり過ぎないように気をつける。(甘いお菓子などだけではなく、砂糖の入っている飲料にも注意)
  • 高カロリーな食事を控える
  • 塩分を制限する
  • ビタミンやミネラル(野菜や海藻類)を積極的に食べる
  • おなかいっぱいまで食べず「腹八分目」を心がける

高血圧や高脂血症、糖尿病ほか病気を発症している場合は、医師のアドバイスに従ってください。

5-2.運動で改善

動脈硬化の治療法として、食事療法に併せて「運動療法」も用いられます。基本的には気軽に始められるウォーキングやジョギング、サイクリングなどがおすすめです。しかしながら、患者さんの年齢や体力、合併症などの状態によって「1日に、どのような運動をどれくらいすればよいか」は異なります。医師のアドバイスに従ってください。

特に、閉塞性動脈硬化症の人は「歩く」ことが中心になります。閉塞性動脈硬化症の改善のためには、最低でも1日30分週3回が必要といわれていますが、患者さんの状態によっても異なるのです。医師に適切な量を相談してください。

5-3.喫煙

動脈硬化や、動脈硬化の原因となる生活習慣病がある人は喫煙は禁物です。喫煙は動脈硬化が悪化するだけではなく、がんになるリスクも高めます。また、自分だけではなく、たばこを吸わない周囲の人にも「受動喫煙」による健康被害を及ぼすのです。自分のためにも周囲の人のためにも禁煙してください。

5-4.漢方やサプリメント

5-4-1.漢方

漢方薬局では、問診・触診などによってその人の体質・年齢・性別・症状に合わせた漢方をオーダーメイドで調合します。動脈硬化を引き起こす原因となる、高血圧症や高脂血症、糖尿病などを改善しながら、動脈硬化になりやすい体質そのものを改善し自然治癒力を高めてくれるのです。

漢方は自己判断で市販の薬を買わないで、まずは漢方薬局でカウンセリングを受け自分に合った漢方薬を用いることが大切でしょう。医師から投薬治療を受けている人の場合は、西洋医学の薬にも詳しい薬剤師がいる漢方薬局がおすすめです。

5-4-2.サプリメント

血管の柔軟性を高めたり、血液をサラサラにしたりなどが期待できる……という動脈硬化改善サプリメントは、たくさんの種類があります。代表的なのは、納豆やにんにく、玉ねぎ、DHA・EPAを用いたサプリメントでしょう。

しかしながら、動脈硬化にはさまざまな種類があり、人によって度合いも異なります。中には合併症が進行中の人もいるのです。サプリメントを服用したいときには、必ず医師に相談してからにしてください。

5-5.そのほか

ストレスの多い生活をしている人は、できるだけストレスを解消するようにしてください。映画鑑賞・読書・スポーツほか、無理なく楽しみながら続けられる趣味を持つのもおすすめです。ストレス解消のために、お酒を飲んで好きなだけ食べてカラオケで夜中まで歌って発散は、肥満や疲労、寝不足を招くので逆効果になります。

6.動脈硬化の予防について

動脈硬化を予防するには、どのようなことに気をつけたらよいのでしょうか。

6-1.動脈硬化を食事で予防

一番気をつけたいのは食事です。動脈硬化を予防する食事法は基本的には「5-1.動脈硬化を食べ物で改善」と同じになります。また、「動脈硬化の予防効果が期待できる」とされている、以下のような食品を積極的に食べるようにしましょう。

  • 大豆製品:大豆や大豆製品には、コレステロールを下げるレシチンやイソフラボン、血管を修復する作用がある良質のたんぱく質がたっぷり含まれています。特に、納豆は血栓の予防効果も持つスーパー食材なので毎日食べましょう
  • ごま:ごまに豊富に含まれるセサミンは、脂肪の酸化や、血管のさび付きを招く活性酸素を除去します
  • 玉ねぎ:コレステロールや中性脂肪を下げ、血液をサラサラに保ち高血圧や血栓を予防します
  • にんにく:コレステロール値を下げ、血管を広げ血圧を下げる作用を持っています
  • 青魚:さば・あじ・いわしなどの青魚は、コレステロールや中性脂肪を下げるDHAやEPAをたくさん含んでいます
  • トマト:トマトには活性酸素を除去するベータカロテインをたくさん含んでいいます。また、血管壁を丈夫にするビタミンC・E・Pも含むので動脈硬化予防には最適です

6-2.動脈硬化を運動で予防

動脈硬化や生活習慣病を予防するには、日々の運動が大切です。激しい運動よりも、ウォーキング・ジョギング・サイクリング・水泳など全身を使う有酸素運動が効果があります。

運動をしたりジムに通ったりする時間がないという人は

  • 通勤のときにはひと駅分歩く
  • 電車やバスの中では座らないで立つ
  • 会社内では階段を使う
  • ランチ後は10~15分ほど散歩をする

など、こまめに身体を動かしましょう。

6-3.漢方やサプリメント

6-3-1.漢方

「5-4-1.漢方」でもご紹介したように、漢方薬はオーダーメイドで調合します。動脈硬化や生活習慣病を発症している人と、特に問題はないけれども予防したい人など、その人によっても最適な漢方薬は異なるのです。1度、漢方薬局にご相談ください。

6-3-2.サプリメント

  • DHA・EPAを配合しているサプリメント

  • 納豆のナットウキナーゼを配合しているサプリメント
  • セサミンを配合してるサプリメント

購入するときには、値段の安さではなく、成分の含有量が多い製品を選びましょう。

6-3-3.そのほか

動脈硬化の改善「5-4-3.そのほか」と同じです。寝不足・肥満・ストレスをためないなどに気をつけて、心身ともにすこやかな生活を送るのが一番の予防になります。

6-3-4.NG行為

「2-1.動脈硬化の主な原因」で取り上げた危険因子、肥満・喫煙・過度の飲酒・糖分や脂質の多いかたよった食生活はすべてNG行為です。

そして、面倒だからと健康診断を受けないのは一番大きなNG行為になります。動脈硬化は放置すると危険です。命にかかわる病気になったり、手術が必要な状態になったりすることを防ぐためにも、必ず定期的に検診を受けましょう。

7.よくある質問

7-1.動脈硬化を予防できる外食

Q:低カロリーで、脂質や糖質が少ない食事をしたいのですが、外食がほとんどです。どんなお店を選べばいいでしょうか。

A:ファストフード・肉料理・揚げ物・ラーメンなどはさけてください。一番おすすめなのは「和食」店です。栄養のバランスがよくカロリーが低い、焼き魚定食、刺身定食などを選びましょう。量が物足りないときは、冷ややっこ・納豆・おひたし・酢の物などを追加するといいでしょう。また、パスタやラーメンではなく、そばに切り替えてください。山菜そばやおろしそば、とろろそばなど低カロリーなメニューがおすすめです。

7-2.動脈硬化は何歳から始まるの?

A:動脈硬化は中高年になると発症するのですか?

Q:実は、動脈硬化は小学生高学年からすでに始まるといわれています。歳月をかけて徐々に血管の内壁にプラークなどが蓄積し、30代後半~40代で発症するのです。喫煙や飲酒習慣のある人、肥満や高血圧の症状がある人は、より早く発症して悪化するリスクが高まります。

7-3.閉塞性動脈硬化症について

A:足に痛みを感じて病院に行ったところ、閉塞性動脈硬化症といわれました。食事と運動、投薬で経過観察しますが、日常で気をつけることはありますか?

Q:閉塞性動脈硬化症の方が、特に気をつけたいのは足のケアです。足の血流が悪くなると、足の皮膚が弱くなり傷が治りにくくなります。日々、足の裏をチェックして毎日入浴をし清潔を保ちましょう。また、傷をつけないように厚手の靴下を履くようにしてください。

7-4.動脈硬化と入浴の関係

A:動脈硬化の予防と入浴は関係あるのでしょうか?

Q:入浴は身体の疲れをとり、血流や新陳代謝をアップし、ストレスを解消してくれます。ただし、高血圧の人や血糖値やコレステロール値が高く動脈硬化がある場合の人は要注意です。

  • お湯の温度を高くしすぎない(40℃以下)
  • 飲酒後や運動直後に入浴しない
  • 脱衣室や浴室を温めておき、お湯と室温の温度差を少なくする
  • いきなり湯船に入らず、足元から徐々にかけ湯をして、身体をお湯にならしてから入る

7-5.漢方薬局で相談したい

A:動脈硬化を改善するために漢方を用いたいのですが、漢方薬局ではどのようなことを聞かれるのでしょうか。

Q:漢方薬局では、症状の発症経緯や経過、現在の状態などと、身体全体の状態や体質などを問診します。自分で気になる症状があれば、メモをしておき、忘れずに伝えるようにしてください。また、現在飲んでいる医者から処方された薬やお薬手帳、飲んでいるサプリメントなども持参しましょう。

8.まとめ

いかがでしたでしょうか。

動脈硬化の怖さや検査・治療方法、予防・改善方法などがおわかりいただけたかと思います。動脈硬化は、最初まったく自覚症状がないので気がつきません。また、動脈硬化を引き起こす生活習慣病も自覚症状はなく、痛みもないので放置されがちです。動脈硬化は、命にかかわる合併症を引き起こします。けれども、定期検査や日常生活の見直しで改善できるのです。面倒に思わず、まずは気になったら検査や診察を受けてください。

十字屋平蔵薬局 店主 富居 博典

監修者

富居 博典
十字屋平蔵薬局 店主

所属研究会・勉強会
東洋漢方研究会/伝統漢方研究会緑健会日本中医薬研究会

東京薬科大学卒業後、総合病院・調剤薬局での実務経験を経て、漢方専門薬局『十字屋平蔵薬局』を開業。

漢方薬だけでなく病気や症状・治療薬・医療全般についても精通しており、一人一人の治療経過や薬歴を踏まえた提案・養生指導が好評を得ている。地域情報誌にて健康コラム『平蔵の漢方相談』を連載。15年以上続く長寿コーナーとなっており、長きにわたって地元の人々に親しまれている。


十字屋平蔵薬局