漢方の効果・効能は? 漢方による診断方法など徹底解析!

十字屋平蔵薬局 薬剤師 富居博典

記事監修
十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典
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「漢方の効果について知りたい」「漢方薬ってどんなもの?」など、疑問に思っている方は多いでしょう。漢方の効果を実感するためには、漢方薬そのものについて知らなければなりません。漢方薬は生薬の組み合わせによって効果が異なります。

自分に合った漢方を選ぶためにも、漢方とは何なのか、薬効効果・効能や診断方法・漢方薬の飲み方など詳しく説明しましょう。

  1. 漢方とは?
  2. 漢方薬の薬効効果は?
  3. 漢方における診断方法
  4. 漢方をおすすめしたい人・症状
  5. 漢方薬の飲み方・購入方法
  6. 漢方に関してよくある質問

この記事を読むことで、漢方について深く知ることができます。そして、あなたの症状に合った漢方薬が選択でき、悩みが解決できるでしょう。

1.漢方とは?

漢方とは、一体どんなものなのでしょうか。漢方の歴史や西洋医学との違い・主な漢方薬・漢方医など詳しく説明しましょう。

1‐1.漢方の歴史

漢方の歴史は長く、もともとは中国で発達し海を渡って日本へやってきた伝統医学の1つです。16世紀以降西洋医学が入ってきたことで、西洋医学と区別するために漢方と呼ばれるようになりました。

1‐2.西洋医学との違い

西洋医学と漢方薬の主な違いは「考え方」です。病気や不具合の症状が起こったとき、西洋医学は「症状」に注目します。なぜ病気になったのか症状を観察することで解決法を探し求めるのです。一方、漢方薬は「原因」に注目しています。症状だけでなく全体の様子を見ているのです。なぜ病気になっているのか原因を見つけることで、根本的な解決策を見つけることができます。どこに注目しているかどうかが、西洋医学と漢方薬の違いです。

1‐3.主な漢方薬

漢方薬には主な種類が「湯剤」「散剤」「丸剤」「軟膏(なんこう)」「煎じ薬」と5種類あります。主な漢方薬としては、皆さんもよく聞くであろう葛根湯(かっこんとう)です。葛根湯(かっこんとう)は発熱や頭痛など風邪を引いたときに飲みます。ほかには、「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」「大建中湯(だいけんちゅうとう)」などが挙げられるでしょう。

1‐4.民間薬・生薬とは?

民間薬とは、ゲンノショウコやセンブリなど昔から使用されてきた薬草のことです。家庭で治せる範囲のケガや不調に使用されます。使い方に一定の基準がない点が特徴的です。一方、何種類もの生薬を組み合わせてできたものが漢方薬であり決められた分量でつくられます。また、生薬は天然に存在する薬効を持つ産物です。体質改善を目的として使うことが多く、伝統医学の中では多くの生薬が使用されています。

1‐5.漢方医について

漢方医とは、脈診(みゃくしん)や腹診(ふくしん)・舌診(ぜっしん)など伝統中国医学の手法で診察する者のことです。生薬で構成された漢方薬を使用して病気・不具合を治す医師を指しています。そのため、生薬ひとつひとつの効果や特徴を把握し患者さまの症状や体質に合わせて漢方薬がつくれるのです。つまり、伝統中国医学・漢方薬に特化している医師になります。

2.漢方薬の薬効効果は?

気になる漢方薬の薬効効果はどのくらいあるのでしょうか。漢方における薬効の考え方や西洋薬との違い・効果の現れ方など詳しく説明します。

2‐1.漢方における薬効の考え方

漢方は「原因」を突き止め、患者さまの症状や体質を第一優先に考えています。人はそれぞれ体質が異なるものです。病名が同じだとしても体質・体型・抵抗力・自覚症状などが異なるため、違いをしっかり認識しながら患者さまに合っている漢方薬を選びます。また、もともと体に備わっている自然治癒能力を引き出す目的も兼ね備えているのです。そのため、漢方における薬効は、人ごとに異なるものだと考えられています。

2‐2.西洋薬との違い

漢方薬と違って西洋薬は「症状を改善するため」につくられた薬です。そのため、症状が改善したとしても病気の根本である原因はなかなか改善できません。たとえ、悩まされた症状が改善されたとしても一時的な場合が多いのです。漢方薬に見られる自然治癒能力の向上は考えられていません。

2‐3.体質改善・自然治癒力について

漢方薬の目的は「体質改善」と「自然治癒力の向上」です。患者様の体質を全体的に捉え、今の体質からくる問題を挙げます。そして、その問題が解決できるように漢方薬を選び、体質改善をおこなうのです。また、もともと人間には免疫細胞があり自分の身は自分で守る力を持っています。漢方では自然治癒力が低下することで症状が起きると考えるところもあるのです。そのため、生薬を組み合わせて自然治癒力をあげていきます。

2‐4.効果の現れ方

体質改善と自然治癒力の向上は、そう簡単に効果がわかるものではありません。西洋薬のように即効性はないので注意してください。漢方薬の効果はおよそ3か月飲み続けていかなければわからないといわれています。体の根本的な部分から変えていくため効果が実感できるまでどうしても時間が必要なのです。ただし、人によっては1週間で効果が現れた人もいます。

2‐5.西洋医学にも取り入れられている漢方薬について

西洋医学にも漢方薬が取りいれられていることご存じでしょうか。近年では、西洋医学の医師でも漢方薬を使用するケースが増えてきているのです。漢方薬は西洋医学では治せない症状が改善できるため、西洋薬が効かない状態の人に使用されています。ただし、西洋医学の医師は漢方医よりも知識が浅いので、漢方薬を使用する際は詳しい人に尋ねてください。

3.漢方における診断方法

漢方における診断方法は西洋医学とまったく異なります。聞き慣れない単語も出てくるので、しっかりチェックしてください。

3‐1.体質=証(しょう)とは?

漢方薬において、体質は「証(しょう)」と表現しています。「証(しょう)」とは体質・体型・抵抗力・自覚症状など人によって異なるものです。漢方薬を処方する前に「証(しょう)」を確認しなければなりません。漢方医は患者さまから症状や状態を聞き出し、その違いを見つけていきます。漢方薬選びの判断材料として、「証(しょう)」はとても大切な要素です。

3‐2.診断方法

「証(しょう)」を得るためには四診をおこなわなければなりません。四診は「望診(ぼうしん)」「聞診(ぶんしん)」「問診(もんしん)」「切診(せっしん)」をまとめた呼称です。それぞれ詳しく説明しましょう。

  • 望診(ぼうしん):医師の肉眼による診察。顔色・体格・舌の状態などをチェックする。
  • 聞診(ぶんしん):医師の聴覚・嗅覚による診察。声や咳(せき)の音・排泄物(はいせつぶつ)の臭いをチェックする。
  • 問診(もんしん):西洋医学にもある診察。家族歴・離婚歴・現在の病気の有無などを聞く。
  • 切診(せっしん):直接患者様の体に触れる診察。脈から診断する脈診とおなかの状態から診断する腹診(ふくしん)が重要。

3‐3.陰陽について

古来の中国では思想の1つ「陰陽」を大切にしているところがあります。陰陽とは森羅万象・宇宙のあらゆるものを「陰」と「陽」の2つに分類することです。漢方薬においても陰陽を非常に重視しています。「陰」を「陰証」といい、生体反応が沈滞・減弱していることです。一方、「陽」は「陽証」といい、生体反応が発揚・増強しています。下記にそれぞれで見られる症状をピックアップしてみました。

  • 陰証:顔面蒼白(そうはく)・ふらふらする・言葉が少ない・活気がない・悪寒や冷えを訴えるなど
  • 陽証:顔面紅潮・活気がある・言葉が多い・手足を伸ばす・炎症・発熱・充血など

3‐4.症状別の薬と体質別の薬の違い

漢方において「体質」と「症状」は漢方薬を選ぶ大切な判断材料です。患者様の体質を見るときは「虚証」か、それとも「実証」かどうかを判断します。虚証は本来備わっていたものが失われた状態のことです。生命力・抵抗力が弱まり不健康になります。実証はそとからの有害物が体内に入り充満している状態のことです。体質別の薬は以上の2点を重視しています。一方、症状別に見られる薬は「気」「血」「水」の3点、どれに問題があるかどうかを判断するのです。「気」は人間の体の中を巡っている生命エネルギー、「血」は体内を巡っている血液、「水」は体液を現します。

4.漢方をおすすめしたい人・症状

西洋薬を使ってみても効き目がない、体質そのものを改善したいと考えている方に漢方薬がおすすめです。また、副作用・刺激が西洋薬よりも少ないため、影響が出やすい子どもや老人・妊婦にも良いといわれています。

4‐1.向いている症状

冷え性や肩こり・イライラ・不安感・頭痛・のぼせ・月経にともなう症状・不妊症などに漢方薬が向いています。ほかにも、ストレス性による不眠症やうつ状態、便秘・腹痛・慢性的な疲労・高齢者に多い複数の軽い症状がともなった状態にも効果的です。

4‐2.効果が高い体質の人は?

基本的に、漢方に効果がある人・効果ない人の違いはありません。ただ、「4‐1.向いている症状」に記した人には効果があるといわれています。あえて、効果が高い体質の人をあげてみると、もとから血の巡りが悪く冷える人などが効果的です。症状ではなく体質に問題がある人のほうが効き目はあるでしょう。

4‐3.年齢について

刺激が少ない漢方薬だとしても副作用はあります。副作用が起きやすい人は子どもや高齢者です。体質で極端に胃腸が弱っている人は漢方薬を控えたほうがいいでしょう。漢方薬に年齢制限があるのは、体に悪影響をおよぼさないためのものです。

4‐4.注意点

症状や状態によっては漢方薬が適さないケースがあります。実際、漢方薬を病院から処方され飲み続けた人にかゆみやむくみが出てめまいを起こしたという事例も起きているのです。そのため、“自分に合った漢方薬”を見つけることが最も大切なポイントになります。自分で判断できない場合は漢方医や漢方薬局の人に相談してから決めてください。

5.漢方薬の飲み方・購入方法

漢方薬を試したくても飲み方・購入方法がわからない……。そこで、漢方薬局への相談が必要なケースや副作用・使用方法など詳しく説明します。

5‐1.漢方薬局への相談が必要

漢方医がいる病院を受診する・漢方薬局へ相談することが大切です。どの漢方薬を飲めばいいのか悩んでいる方や専門知識を持っていない方は必ず相談してください。「これでいいや」と適当に決めてしまえば後悔することになります。専門知識を持っている人に自分がどんな状態で症状が起きているのかきちんと伝えましょう。

5‐2.副作用について

漢方薬による副作用は少ないですが、まれに起きることがあります。頭痛・かゆみ・発熱・めまい・むくみなどが代表的な副作用になるでしょう。もし、副作用に似た症状が現れた場合はすぐに漢方薬の服用をやめてください。そして、担当医師に相談しましょう。市販の漢方薬を使用した場合も病院・漢方薬局に相談してください。

5‐3.注意点

「友人に効果があったから」と同じ漢方薬を使用する人がいます。漢方薬はその人の体質や症状によって決めるため、友人のように効果があるとは限りません。体質は人それぞれ違うことを意識してください。友人にすすめられたから、効果があると聞いたから試すのではなく、きちんと自分の体質・症状を把握することが大切です。

5‐4.使用方法

漢方薬の使用方法は、種類によってバラバラです。「湯剤」「散剤」「丸剤」「軟膏(なんこう)」「煎じ薬」とさまざまな飲み方があります。一般的に多いのは「散剤」です。生薬を粉末にして混ぜたもので白湯(さゆ)やお水と一緒に服用します。急病を拡散・分散させる意味を持っているので、すぐに服用ができ即効性もあるのが特徴的です。「丸剤」は粉末にした生薬を丸く練り固めています。「丸剤」はほかの種類よりも長期保存に適しており持続性が抜群です。「軟膏(なんこう)」は外用剤で体に塗ります。「煎じ薬」はお湯で煎じて飲むタイプです。湯剤も煎じ薬の1つになります。

5‐5.使用期間・期限

漢方薬の使用期間はおよそ3か月間を目安にしてください。3か月飲み続けて効果が現れないときは別の漢方薬を試してみましょう。1か月飲み続けて効果がなかったからとやめてしまう人がいます。しかし、まだ効果が実感できない期間なだけです。辛抱強く飲み続けていけば自然と効果が出てきます。薬局で販売している漢方薬のほとんどは期限が「5年」に設定されているものです。しかし、漢方薬の種類によって異なるため、パッケージの使用期限、または漢方医に確認をとってください。

5‐6.価格

漢方薬の価格は1か月ぶんでおよそ3,000円~6,000円です。ただし、貴重な生薬を組み合わせている漢方薬などは価格があがります。1万円を超えるものもあるので、漢方薬を購入する前に値段を確認してください。

6.漢方に関してよくある質問

漢方に関してよくある質問を5つピックアップしてみました。ぜひ参考にしてください。

Q.漢方薬はダイエットに効くのか?
A.ダイエットを阻害する便秘やむくみを解消する「防風通聖散」がおすすめです。代謝をあげ、冷え性改善の「当帰四逆加呉しゅゆ姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)」も当てはまります。

Q.漢方薬はいつ飲むべきか?
A.食事の30分前~1時間前に服用するのが一般的です。

Q.漢方薬に健康保険は適用されるのか?
A.日本ではおよそ148種類の漢方薬が健康保険の対象になっています。

Q.西洋薬と一緒に飲んでも大丈夫か?
A.併用しても問題ないです。しかし、薬の種類によっては副作用の恐れもあるため、病院と相談してから服用してください。

Q.漢方薬の効果を高めるコツとは?
A.規則正しい日常生活を送ることです。基本である生活を正すことで、漢方薬も効力を発揮します。

まとめ

漢方薬のことを深く知ることができれば、自分に合った漢方薬を見つけることができます。症状や体質によって適した漢方薬は異なるものです。専門知識を持っていない方は漢方薬に詳しい漢方医か、または漢方薬局に必ず相談してください。効き目を早く感じるためにも、自分に合った漢方薬選びがベストです。

十字屋平蔵薬局 店主 富居 博典

監修者

富居 博典
十字屋平蔵薬局 店主

所属研究会・勉強会
東洋漢方研究会/伝統漢方研究会緑健会日本中医薬研究会

東京薬科大学卒業後、総合病院・調剤薬局での実務経験を経て、漢方専門薬局『十字屋平蔵薬局』を開業。

漢方薬だけでなく病気や症状・治療薬・医療全般についても精通しており、一人一人の治療経過や薬歴を踏まえた提案・養生指導が好評を得ている。地域情報誌にて健康コラム『平蔵の漢方相談』を連載。15年以上続く長寿コーナーとなっており、長きにわたって地元の人々に親しまれている。


十字屋平蔵薬局