漢方薬にも副作用がある? 起きる原因・症状など5つのポイント

十字屋平蔵薬局 薬剤師 富居博典

記事監修
十字屋平蔵薬局 店長・薬剤師 富居博典
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「漢方薬を飲みたいけど副作用が心配」「漢方薬の副作用にはどんなものがあるのか?」という疑問を持っている方は多いでしょう。漢方薬の副作用は少ないですが、全くないわけではありません。「どのような副作用があるのか」「どのように服用すれば安全なのか」という知識を紹介していきます。

目次

  1. 漢方薬で副作用が起きるケース(原因)
  2. 漢方薬の副作用で起きる症状一覧
  3. 漢方薬のメリット・デメリット
  4. どういう人におすすめなのか
  5. 漢方薬を購入する時の注意点

1.漢方薬で副作用が起きるケース(原因)

1-1.使う生薬に対し、アレルギーがある

漢方薬の副作用の一つは「アレルギー」。卵や大豆などの自然食品でもアレルギーがありますが、同じように漢方薬の材料の「生薬」にもアレルギーがあります。「自然由来だから何も起きない」ということはありません。「卵アレルギーと同じ原理で、漢方薬にも副作用がある」ということです。

1-2.用法・用量を守らない

用法・用量を守らなければ、漢方薬でも当然副作用が起きます。「水」ですら、限度を超えて飲んだら危険です。当たり前のことですが、それでも「漢方薬を飲み過ぎてしまう」方は意外といます。

  • 「漢方薬は副作用がない」という思い込み
  • すぐに効果が実感できない

…というのが飲み過ぎの原因。漢方薬が悪いわけではありませんが、こういう原因での副作用もあります。

1-3.医師・薬剤師が「様子見」した

「飲む人の体質を見極める」ために薬を出すケースです。漢方医療の理論には「証(しょう)」というものがあります。これは、簡単にいうと「タイプ」。あなたの「タイプ」に合わせて、「こういう生薬を配合しよう」と医師・薬剤師が判断し、オーダーメイドの漢方薬を処方します。たとえば食欲についていえば、

  • 少ない…虚証(きょしょう)
  • 強い…実証(じっしょう)

といい、どちらも良くありません。こうした「証」が、その人の中でどちらに偏っているかを見極め、それに合わせて薬を処方します。

1-3-1.この「証」がわかりにくいことがある

上の「食欲」は、わかりやすい例で、実際の証は、もっと難しくなっています。診察しても「この症状は、どっちの証かわからない」というケースも多いんですね。その場合、医師が「様子見」として、軽い薬を処方することもあります。それによって「体がどう反応するか」を見るわけです。証とズレていたら副作用が起きるので、「これは違う。逆の方を処方しよう」と判断できます。このように「想定内の軽い副作用」というのもあります。この場合、医師が事前に伝えてくれますし、軽度なので問題はありません。

1-4.医師が処方を誤った

医師も人間なので、処方を誤ることはあります。上に書いた通り、証の見極めは難しいケースも多いのです。難しい仕事ですから当然ミスもありますし、運が悪ければ「そもそも実力不足の人」に当たってしまうこともあります。そういうこともあるので、「信用できる医師」「信用できる薬局」と、出会うことが大切なのです。

2.漢方薬の副作用で起きる症状一覧

2-1.むくみ・胃腸障害

ここまで書いた通り「証(体質)に合わない」「多量に服用した」という場合、「肌のむくみ」が起きることがあります。胃腸障害については、もともと胃腸が敏感な方などに起きやすい症状です。漢方薬は吸収をしやすくするため、「食前」か「食間」に服用します。ほとんどの方はこれで問題ないのですが「胃腸が空の状態」で薬を飲むと、胃腸が敏感な方は軽くダメージを受けることもあるのです。

2-2. 血圧上昇・間質性肺炎

交感神経を興奮させるタイプの漢方薬は、血圧が上がりすぎることがあります。「間質性肺炎」は風邪によく似た症状です。発熱・空咳・息苦しさがあります。症状が発生する時期は「服用2~4週間後」程度です。

2-3.尿量の減少

これが起きる方は、主に高齢者の男性。麻黄(まおう)という生薬が含まれた漢方薬で、起きることがある副作用です。麻黄は「解熱・利尿・関節痛の改善・咳や喘息の改善」…などに用いられます。

2-4.偽アルドステロン症

偽アルドステロン症とは、カリウム不足によって、むくみ・体重増加・高血圧などが起きる病態のこと。甘草(かんぞう)という生薬が含まれる漢方薬で起きることがある症状です。甘草は「肝炎や潰瘍の改善・咳の鎮静」などの効用がある生薬。しかし、飲み過ぎや過剰反応によって「カリウムが体外に多く排出される」場合があります。これによって、偽アルドステロン症の症状が現れてしまうのです。

3.漢方薬のメリット・デメリット

それぞれ分けて書くと、下の通りです。

3-1.漢方薬のメリット・長所

3-1-1.副作用が少ない

ここまでいろいろな症状を書きましたが、西洋薬に比べれば、漢方薬の副作用のリスクはかなり低いです。特にアレルギーは「食品でも起きる」ものですから、これが危険なら「食事だって危険」ということになります。

3-1-2.体の自然回復力も、向上させられる

漢方薬は「生薬の配合」で作られる薬。ナチュラルな薬なので、人体が持つ自然回復力も高めることができます。「特定の成分だけを含む」西洋薬と違い、自然物の生薬は「あらゆる成分」を含んだもの。このため、体を総合的に健康にできるのです。このような特性から、漢方薬は「一つの症状を治しながら、他の症状の予防にもつながる」メリットがあります。

3-2.漢方薬のデメリット・短所

3-2-1.即効性が低い

即効性では、西洋薬が上。限られた「有効成分だけ」を配合しているからです。「特定の症状の治療に特化」しているので、効果もすぐに出ます。代わりに、そのように「特定の成分だけが合成されたもの」は自然界には存在しないので、西洋薬は副作用も起きやすいです。

3-2-2.味が苦い

西洋薬はカプセルが多いですが、漢方薬は粉末か錠剤が基本。漢方薬は「香りも薬効のうち」なので、カプセルに入れるのは望ましくありません。そのため、粉末で飲むことが多いのですが、あの味が苦手…という方は多いです。

4.どういう人におすすめなのか

漢方薬は以下のような方におすすめです。

4-1.即効性が必要ない(緊急の症状ではない)方

症状が重く、すぐに治療する必要があるなら、西洋薬がベスト。そうでなく「ゆっくり治す余裕がある」方は、漢方薬がおすすめです。

4-2.体の自然治癒力、免疫力を高めたい方

漢方薬は西洋薬と違って不自然な部分がほとんどないので、体を自然に強くできます。先に書いた通り、あらゆる成分を含むので、他の症状の予防にもつながるのです。

4-3.西洋薬だと副作用が起きることが多い方

緊急の症状では西洋薬の方がいいのですが、西洋薬で以前に副作用が起きてしまった…という方もいるでしょう。その場合、漢方薬では副作用が起きないなら、漢方薬を用いた方が安全です(当然ですが、医師の指示を仰ぎながら服用しましょう)。

5.漢方薬を購入する時の注意点

漢方薬を購入する時は、下のような点に注意してください。

5-1.症状以外でも、体や生活で気になっていることは全部話す

漢方薬の処方は「その人の証(体質)を見極める」ことが最重要。もちろん、ドラッグストアで単純に買うだけの漢方薬なら、そこまで必要ありません。しかし、専門の薬局で薬剤師に処方してもらうなら、この「見極め」が重要なのです。その時、症状と直接関係ないことでも、日頃自分の体や生活で気になっていることは全部話すのがいいでしょう。こういう話の中にその人の体質を見極めるヒントがあるからです。

5-2.市販の精力剤や、滋養強壮剤には、危険なものもある

「漢方薬」を名乗る、主に男性向けの精力剤や滋養強壮剤。大抵はまっとうなものですが、中には怪しいものもあります。こうしたものを通販で買う時は、特に注意しましょう。基本的に「ナチュラルなものは、効果が出るのに時間がかかる」という大前提を忘れないようにしてください。

6.まとめ

以上、漢方薬の副作用を中心に、メリット・デメリットなども絡めてご紹介しました。ポイントだけもう一度まとめると、下の通りです。

1.漢方薬で副作用が起きるケース(原因)

  • 使う生薬に対し、アレルギーがある
  • 用法・用量を守らない
  • 医師が「様子見」した
  • 医師が処方を誤った

2.漢方薬の副作用で起きる症状一覧

むくみ・胃腸障害・血圧上昇・間質性肺炎・尿量の減少・偽アルドステロン症…など。

3.漢方薬のメリット・デメリット

  • メリット…副作用が少ない、体の自然回復力も高められる…など。
  • デメリット…即効性が低い、味が苦い…など。

4.どういう人におすすめなのか

  • 即効性が必要ない(緊急の症状ではない)
  • 体の自然治癒力、免疫力を高めたい
  • 西洋薬だと副作用が起きることが多い

5.漢方薬を購入する時の注意点

  • 症状以外でも、体で気になっていることは全部話す(処方のヒントに)
  • 市販の精力剤や、滋養強壮剤には、危険なものもある

ポイントは上の通りです。このように、漢方薬は副作用のリスクも少なく、体をナチュラルに強くしてくれるもの。特に健康を長い目で見るなら、西洋薬よりも、できるだけ漢方薬に頼る習慣をつけたいですね。


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